第314話 開催1ヶ月前
読者の皆様へ、お知らせがあります。
現在、週2回の更新で投稿して参りましたが、今回より週1回の更新とさせて頂きたいと思います。
毎日投稿(それも数話ずつ)から始まり、週2回投稿に。そして、もう少しじっくり執筆したいと思い、毎週月曜日のお昼の12時に投稿することに致します。ご了承ください。
こうめいより
第二回武闘大会が始まる。
と、その前にルールを確認しよう。
今回はチーム戦は無し。チーム戦だと広い戦場が必要になるし、僕の能力制限にまだ不安があるしね。個人戦のみとした。
第一回の時と違い、予想される参加人数が多いと思われるので、予選と本戦に分ける。
予選は一組ごとに10名を放り込む。このバトルロイヤルに勝ち残った2名が本戦に進む。
もしかしたら、徒党を組む者も出るかもしれないが、戦況を見定める戦略もその者の能力と認め、黙認することにした。
本戦での対戦は一対一。
トーナメント方式を採用する。
リングの広さは直径100メートルの円形とした。
個人戦にしては広いかもしれないけど、各人の能力を鑑みて、この広さにした。
基本は地上戦。
飛んだり跳ねたりしても良いが、高さは50メートルに制限した。
空軍に所属する人にはハンデ戦となる。
高さに制限を掛けないと、空軍連中の圧倒的有利になってしまうから。
例えば、成層圏まで飛び上がっての急降下の体当たりとかあると、仕掛けられた方も仕掛けた方も大ケガで済まないから禁止。ヤタとかは平気でやらかしそうだしね。
実際に、ルール決め会議で、高さ制限を設けるのを八咫烏が猛烈に反対してた。あいつ、絶対に特攻するつもりだったね。
そして、今回もリングアウトは負け判定を設ける。しかし、空中には結界を張る為、こちらはリングアウトにはならない。
なお、空中の結界には、大樹さんが色付けが出来るとのことで、結界の視認性も良くしてくれる。
武器は訓練用のものを使う。持ち込みは禁止。例の大樹さんの枝とゴムのコーティングされたものを使うルール。
まあ、ウチの戦士達にかかったら、ケガをする時はする。極力、大ケガは避けましょうってこと。
だから、「降参」の意思表示や気を失うことも負けとなる。
また、肉弾戦に限らず、妖術や魔法も使用可能。威力は本来の十分の一に制限させてもらった。
魔力を身体強化に回す場合も同様だ。
ところが、大妖のみんなから、妖は制限を二十分の一とし、大妖認定されている者はさらに厳しい五十分の一としたいとのこと。
「え!?
そんなに制限しちゃって良いの?
いくらなんでもやり過ぎじゃない?」
「それくらいじゃないと、勝負になりんせん」
(じゃないと、アヤメの結界が強力過ぎて届かないじゃない!)
「まあ、いいんじゃにゃいかな?」
(タマモの鬼火はそのままだと、あたしの結界でも熱すぎるから、もっと制限掛けても良いくらいよ)
アヤメとタマモが睨み合ってた。
「それなら自分も大いに力が振るえますな」
「オオオオイラも、ちちち力を出せます」
「あっしは賛成でありますですはい」
「ピュピュピューイ」
「仕方ないわね。
この間の鬱憤を晴らさせてもらおうかしら」
「私はどちらでも」
「キュオ」
「まあ、天狗の我らからしたら、地上戦も空中戦もどちらでも構いませぬな」
「……結局、ボクだけが貧乏くじを引いたって訳ね。トホホ」
ヤタ、ごめんね。
「ところで、その武闘大会に景品は出るんかいのぅ?」
隠形鬼の一朗太だ。
「ああ。一応、参加者全員に小麦を包むつもりだよ。ちょうど時期だしね。
また、一戦勝つ毎に春の収穫の野菜類を積み重ねていく予定。
準々決勝辺りからお肉も付けるし、決勝進出者には豪華魚介類盛り合わせってとこ」
「「よしっ!」」「ミャオ!」
くすっ、大食漢の隠形鬼一家らしい反応だね。
もちろん、別途に賞金を付ける。
今回の運営は行政庁が行うが、観戦料を取るとのこと。運営にもお金掛かるからね。
なお、未成年は無料で観戦出来るようにした。エルフのような長寿の種族も居るから、各種族の定める成人年齢に達しているか否かで判別する。
賞金は僕ら政府が出すことになってる。
いやぁ、同盟国のカザフ王国とヤンバル国との貿易でかなり潤っているから余裕があるんだ。
彼らも支払ってるばかりではない。
カザフ王国は、ウチのドワーフ工房製品の転売で潤っているし、ヤンバル国なんてウチのグラナリー領の作物を転売して儲けている。
ついこの間まで食糧難に見舞われてたのにね。
同盟国の二国も他国との貿易で儲かってる、とのこと。
「問題は、椿と夜霧なんだけど……」
「「大妖と同じ制限で!」」
ユキと烏天狗の二人同時に声が掛かった。
そうか、二人共制御が苦手なだけで、力自体は大妖クラスだもんね。やむ無し。
「太郎坊も大妖と同じ制限で良いで御座るよ」
天狗の愛宕山太郎坊も玄武相手に力量を見せたからね。
とまあ、こんな具合。
前鬼パパと後鬼ママが何も言わず、終始黙ってたのが不思議だった。
ああ、そうそう。本戦の審判はサトリが行う。
サトリは肉体を持たないので、負け判定を下せないってのが主な理由。あと、彼女は冷静で公正な判断をしてくれるってのもある。
「サトちゃん、いつも面倒な事頼んじゃってごめんね」
『いいえ。
頼りにしてくださって、私は嬉しいですよ』
サトリには感謝しかない。
よって、サトリには能力制限を掛けないでおく。
何かあった際には、例の強制正座の術で闘いを止めることが出来る。
…………もう僕は喰らいたくないけどね。ぶるるっ。
あと、大会本戦にはトーナメント方式を採用。
組み合わせはくじ引きで決める。
予選を突破した者達で事前に運営本部側でくじ引きを行い、トーナメント表を埋めていく。これで大幅な時間の短縮が図れる。
と言うのも、この国は小国規模の人口しか居ないのに、結構戦闘好きな者が多いからね。
下手したら、出場希望者は100人を超えるかもしれないしね。
…………で、蓋を開けてみたら、1000人以上の出場希望者が集まっちゃったよ!
どうして、そんなに戦闘狂ばかりなんだ。
よく考えてみたら、職業軍人である銀狼師団だけでも6000人以上居るんだもんね。前回とは大きく違う。
これは予選だけでも何日続くんだ?
『良いじゃありませんか。
その間は都がお祭り期間になりますし、住民達も楽しめることでしょう』
とは、サトリの言。
ということで、予選の審判は大妖達で持ち回りで行う、ということになりました。
そして、今回の観戦にカザフ王国とヤンバル国の政府高官の一団を招待することも決定した。
同盟国交流の一環だね。
武闘大会の予選が始まるのは1ヶ月後。
それまで出場選手達は訓練に勤しむだろうし、ドワーフ工房の職員達も建築に忙しいだろう。
え? 何を建築するのかって?
それがさあ、ドアン達がコロシアムを造るって聞かなくて。
まあ確かに、観客席も高さがあった方が観やすいだろうけど。
今後の催し会場としても活用出来るメリットもあるので許可した。
猶予が1ヶ月しかないけど、カザフ王国の建築要員の応援を頼んで、期日までに間に合わせるってことらしい。
もうトンテンカン始まってる。
あとは任せよう。
行政庁の職員達は多忙の始まりだ。
従来の通常業務に加え、選手達への事前通達やらコロシアムに出店する出店の選定、観戦チケットの販売等々。
労働基準を守りながら、頑張って欲しい。
さあて、僕も訓練しますか。
~~~ 余談 ~~~
ヤンバル国首相官邸。
「アシモフ首相、大樹の森国の駐在大使がお見えになりました」
「通せ」
大樹の森国に派遣していた大使が執務室に入室する。
「首相。
今度、大樹の森国で大きな催しが開催されます。
我が国も招待されました」
「知っている。
……どうして、ビダン王のやつより遅いんだ!」
「はあ?
カザフ王国のビダン王ですか?」
「そうだ!
手紙で自慢までしてきたのだぞ!」
アシモフ首相の執務机の上にくしゃくしゃにされた紙束が散らばっていた。
ーーー 拝啓 アシモフ首相殿 ーーー
今度、盟主国の大樹の森国で武闘大会が大々的に開催されることはご存知でしょうか?
それだけでなく、カザフ王国はその会場のコロシアム建設に携わることが出来たもんね~。
あ、まだ知らないかもね~。
まあ、貴殿も大会観戦に招待されるだろうから、その際に旧交を温めようではないか。
貴殿のますますの活躍を祈っているよ。
ーーー 敬具 君の友 ビダン ーーー
「そ、それはある程度は仕方のないことですよ。
カザフ王国の大使は、ビダン王の弟君なのですから……」
「それも知っている!
ウチも大使館を設置したのだから、情報は素早く届けてくれなくては」
カザフ王国の大使フォルテは、相変わらず、ドワーフ工房に入り浸っており、コロシアム建設の情報もいち早く入手し、建築職人の応援も買って出たのだった。
「1ヶ月後だったな?」
「そ、そうです」
「ならば間に合うか……」
(ビダンのヤロー、見てろよ!)
大樹の森の都で第二回闘技大会が開かれます。
今回は人口増加に伴い、大規模になる模様。
果たして、誰が参戦されるのでしょうか?
……まあ、大妖達はみんな参戦するのでしょうね。
さて、次話は、ちょっと変わった方の視点でお届けします。ヒントは大樹の森国の住民ではありません。優秀な方です。
お楽しみに。




