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第271話 定例週間会議に三種族が参加

 大樹の森国の定例週間会議。

 そこには従来のメンバーに加え、樹海出身の三種族の代表者も参加。

 樹海の住民達が避難してきて10日ほどが経った。

 どうやら、全員このまま移住することになりそうだ。


 仕事に関しても、種族特性を活かした職に就く者が多いみたい。

 蛇人間(ラミア)族は狩人や軍人に、蜘蛛人間(アラクネ)族も同じく狩人や軍人に就く者も居るが魔蜘蛛(デビルスパイダー)の世話係も人気だと言う。

 鳥人族は全員が烏天狗からすてんぐの配下となり、ここ大樹の森の都の防空訓練を受けている真っ最中だ。

 天狗達の負担も減って、良いことだと思う。

 驚いたことに、蛇人間(ラミア)族全員が泳ぎが得意なこと。

 なんでも、樹海にはあちこちに池や泉が点在し、彼女達も水浴びが好きでよく泳いでいた、とのこと。

 まあ、女性だから綺麗好きなんだろうね。

 そういえば、蛇って水辺に生息してることが多いよね。あれはカエルなどの獲物が多いのと、たしか、脱皮に水分が必要なので湿気が多い場所を好むって話だったな。

 それでその特技を活かし、軍人希望の人達は水軍で活躍してもらうことに。

 漁師になる人も居るのかと思ったら、全員軍人兼漁師という図式。ああ、河童達もそうだから自然とそうなったみたい。


 そんな彼らも各種族の代表者が定例週間会議に参加させることになった。


◇◆◇


「ど、堂々としてなさいよ、ナーガ」

「貴女だって、足が十本とも震えてるじゃない」

「二人とも、一度深呼吸すると良いぞ」

 鳥人族のブラン族長が二人にアドバイスして、三人一緒に深呼吸したようだ。

 くす。ブランも緊張していたようだね。


 大樹の屋敷の会議室に全員揃ったようだ。

「では、これより大樹の森の定例週間会議を開催致します」

 進行役の後鬼ごきの宣言から始まった。


 会議は順調に進行し、最後の提案事項に移った。

「最後に、何か提案や意見のある者は居ますか?」

「はい」

 今回は珍しく、僕が挙手をした。

「じ……コホン。盟主様、どうぞ」

 後鬼ごき、いつものように次郎と言いそうになったのを無理矢理抑えた感じだね。別に良いのに。

「はい。

樹海の住民であった鳥人族、蛇人間(ラミア)族、蜘蛛人間(アラクネ)族の人達も大樹の森国に移住して、少しは落ち着いたと思う。

また、戦争は少し小康状態になりつつあり、経済も内需が拡大し、貿易も盛んになってきた」

 ここで一呼吸置く。

 小声で囁く声が聞こえた。

(盟主様があのお姿でああ言うことを仰ってるのが、凄く違和感があるわ)

(うんうん。どう見たって小さな幼児にしか見えないのに、小難しいことを言ってるのがねー)

(こら、二人とも。口を開くな。

一瞬、皆様の視線がこちらに注がれた。全部聞かれてるぞ)

((!!!))

 樹海の三種族の族長達がこそこそ話していたが、ここに居るメンバー全員にはよく聞こえてるよ。

 聴力に優れている大妖や獣人のハヤテ、エルフのナターシャは当然のことながら、常人のヤクトやアルメリアも聞こえてきた単語を組み合わせて会話を聞き取れてるみたいだ。頭良いからね。


「そこで、そろそろ良いと思うんだ。

大樹の森の東側の探索をね」

 そう、大樹の森の東の湖のその先の探索。

 そもそも、大樹の森は広大で東の湖から以東は未開の地になっている。

 狩人達にも湖より東側への侵入を禁じてある。

 何があるか、わからないからね。

 北山だって、調査隊以外の侵入を未だに禁じてる。

 あそこは恐竜ワールドの世界が広がってるから、住民には危険だ。

 まあ、そもそも、都からかなり距離があるから、たどり着くのも一苦労なんだけどね。

 東の湖の向こう側だって、同じように危険かもしれない。

 だが、いつまでも未開のままで放置しておくことも出来ない。

 例の真神まがみを追い詰めた鹿の集団も、どうやらその未開地から来たようだったし。


「ふむ。頃合いではないか?」

 前鬼ぜんきも前向きだね。

「では、北山調査の時のように少数精鋭で行かれるのか?」

 第一次北山調査隊の一員であった真神まがみも前向きのようだ。

「うん。

まずは、第一次調査隊を組み、大まかに把握しておきたい。

そして、その調査報告を踏まえた第二次、第三次の調査隊も組むつもり」

 何も一度で調べきることはできないと思う。それだけ広いのは、八咫烏やたがらすの飛行調査でわかっている。

「とすると、本格調査は第二次以降になるのじゃな。ワシらドワーフは第二次及び第三次の調査隊に同行するのが良かろうて」

 うん。第一次ではどんな危険があるのかわからないから、ドワーフ達を護衛しながらは無理かな。


「第一次調査隊で確定してるメンバーは、僕と雲外鏡うんがいきょうの二人だけ」

 第二次以降の調査効率を上げる為、転移能力は不可欠。また、マッピング機能スキルを持った僕も必須条件になる。

「あなたはどうして自ら危険に飛び込もうとするのかしら?」

 後鬼ごきママが僕を睨んでくる。

「いや、能力的に仕方なくない?」

 後鬼ごきママに牽制しておく。

「わかっているわよ!

私も調査隊に入れておきなさい。あなたの護衛として」

 ありがとう、後鬼ごきママ。


「これからメンバーを選定したい。

本業に出来るだけ影響が出ないようにしたいね。

それから、八咫烏やたがらすからの報告で、大型の昆虫類の目撃報告が度々上がってきている」

「そうなんだ。

未開地の上空で、何度か大きい蝶が舞っているのを見たんだ。

例の飛蝗ばったの大きさなんて目じゃないよ。ボクの全長よりも大きかった」

 八咫烏やたがらすだけでなく、烏天狗からすてんぐや天狗達も度々目撃している。


「はぁぁ……。

ワシ、強制連行されるのですな。その魔虫の森に……」

 雲外鏡うんがいきょうが悲しげに呟く。

「ハハ、そう嘆くことも無いよ。

相手が昆虫類なら対策も取れる。

ウチには雪女の一族が居るからね」

 昆虫類には冷気が通用しそうだ。

「かしこまりました。

私は春の収穫期で同行することが難しいですが、適任を選抜しておきましょう」

 ユキが一切の表情を変えず、答えてくれた。

「なら、おユキや。

小娘も派遣してくれんか?

あやつは、口は悪いがなかなか見所がある」

 ああ、そういえば、北山調査の際も何度か雲外鏡うんがいきょうを助けてたな。

椿つばきを?

……まあ良いわ。スミレを派遣するつもりだったから。同じ職場なら動き易いでしょう」

「ってことは、ライデンも派遣した方が良い訳ね。一応、飛翔魔法が使えるし」

 ナターシャは、エルフからライデンを選出するようだ。

 椿つばき、スミレ、ライデンは同じ調味料研究所の職員だ。連携もイケルのかもしれない。


「あとは……」

「私が行こう」「あたしも行くにゃ」「あちきだって」「当然、我も行く」「ボクもボクも」

「自分も」「あんた、北山の時行ったじゃない」

 うわぁ、やっぱこうなっちゃったか。

それがしも行きたいところですが、鳥人族の訓練もありますからな」

 烏天狗からすてんぐは冷静だね。

「うーん、対空戦力は欲しいところなんだけど……」

「では、天狗からは太郎坊を出すこととしましょう」

 お、あの有名な愛宕山太郎坊。


 その後、揉めに揉めた末、メンバーが決定した。

 僕と雲外鏡うんがいきょう

 雪女から椿つばきとスミレ。

 エルフからライデン。

 天狗から太郎坊。

 大妖からアヤメと後鬼ごき

 そして、絡新婦じょろうぐも夜霧よぎり夜露よつゆ徹夜てつや

 また、「ここで存在感を示したい」と、樹海の三種族の族長達、ブラン、ナーガ、フラウローネが参加することに。

 無理すること無いのにね。

 まあ、地球ではなく、原住民の観点はライデンがカバーしてくれるだろうが、大樹の森の常識に囚われることの無い樹海ならではの指針もあっても良いかも?ということでメンバー入りに。


 さあて、準備しますか。


~~~ 余談 ~~~


「鈴木様。

太郎坊を宜しくお頼み申す。

力量的にも人徳もあるのですが、自らを抑えがちな者故」

「普段の仕事振りを見る限り、問題無さそうだけど?」

「妖力はそれがしに匹敵致しまする。

なのに、自分を出さなさ過ぎのところが……」

 たしか、太郎坊ってかなり旧い存在って聞いたことあるなぁ。一説には、伊邪那美命いざなみのみことの息子であるとの伝承もあるね。

 性格が問題なのね。

「わかった。よく見てることにするよ」

「お手数をお掛け致しまする」


~~~ 余談 ~~~


「勢いであんなことを言ってからに」

「だって、私達はあの模擬戦のイメージが残ってしまってるのよ」

「そうよ。汚名返上しなきゃ」

「悪くなかったと思うがなぁ」

「貴方は私への個人的感情が入ってるでしょ?

ダメよ。それじゃ」

「いや、まあ、否定は出来んがな……」

 ブランとナーガは見つめ合う。

「も~、二人の世界に入っちゃってぇ」

 フラウローネは深いため息をつくしかなかった。

 新章の始まり始まり~♪

 未開の地にはどんな発見が待ち受けているのか?

 第一次調査隊のメンバーはやる気も十分。


 さて、次話からしばらくこの探索のお話になります。

 お楽しみに。

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