087_蛇くんの星読み。
「夜、星を見て、その並びを絵に喩えて、
線をひき、見立てて、物語にするという手法が、
どこか遠くにあるらしいですね、
というかあるのですが、
書物でしか知らないわけではありますが、
ちょっと面白い風習ではあるかなと、
思ったりするわけです」
夜、満天の星空、
夏の前、梅雨空の晴れ間、
皐月晴かその手の部類な天候、
蛇くんことナギ少年は、ミカドと真言術の大家であり、
学園の特別顧問であり、幼少からの家庭教師、
いや何も教えていないのですけどね、とのたまわく、
男先生と共に、
会話を交わしています。
「動物とかに喩えたりするのですね、
私も目にしたことがあります、
一方こちらで、よく使われているのは、
近隣の大陸から流れてきた知識であるところの、
二十八宿とかですね、
星見にはこちらを主に使っていますが、
まあ、結構適当にこじつけていたりしますね」
さらりと、占いというものの実効性を、
否定しつつ、語る、男先生です。
「真正面から否定することは、催事を司る身としては困るのではあるけれども、
まあ、あれは見立てを利用して、群衆やら民衆やらその手の心理を、
誘導するための手管に過ぎないことは否定できず、
信じている体をとって、
政に利用していると、言われてしまうと、
まあ、その通りではあるわけであり」
ちょっと困った笑みを浮かべて語るミカド兼宗教的な中心人物です。
「最も、その見立てとか、解釈とか、
つまりは、星の動き、遠くにほぼ固定されているそれと、
そこを横切る惑星と、
太陽の位置関係やらで、作る物語が、
神話に、神様関係の物語に影響を与えることもまた事実であり、
こじつけた理屈を多くのものが物語として語ることによって、
間接的に吉兆を事実関わりのあるものにしてしまうのであるので、
占いに実効性が在るということも言えるわけなのですね」
蛇くんが、神様の立場から語ります。
「どちらが先かというと、見立ての方がくるわけであり、
在る意味神様を制御するために、星の読み方を決めるというやり口になるのですが、
それそのものの基準、やり口、方策、方法、理論を、
これまたしっかりと決めてしまったが故に、
自縄自縛的な厄介解釈をせざるを得なくなってしまって、
自らの首を絞めるという為政者も多いわけであり、
そこをどうにこうにか誤魔化してしまうところに、
行政と司るものの、占術に対する、方便の使い方の技術が必要になるわけである」
堂々と、都合の良いように星を読むと宣言するミカドでございます。
「実際のところ、星を動かしてしまう神威というものはあるのかな?」
男先生が純すいに疑問に思い尋ねます。
「あるなぁ、
要はそれを見ている人の意識全体を制御することになる、
この大地丸々を制御化、影響化において、
ぐるうりと、回すと、早回しがやりやすい、
逆回しは、物理的に労力が大きすぎる、
ゆっくりと全てを感じさせて、
人だけじゃないね、大地上の全ての海やら空やら含めた全ての、
認識を歪ませて、
こう、丸い大地を早回し、させるように見せるわけですね、
自転の速さは変わらないけれどもそれを見る方をかなり遅くする、
これで、天変地異的な星動を表現するわけですよ」
とうとうと、神威を語る半神様。
「出鱈目な」
「コツがあるそうですよ?
うちの親父殿ならできそうではありますね」
「「出鱈目だ」」
声が揃う、男先生とミカド様でした。
蛇くん星を詠む、詠んでないな、というお話でした。




