085_蛇くんの海についての認識。
「海が好き!」
叫んでみる。
波は穏やか、初夏の日差し、浜には誰もおらず、日はまだ高い。
蛇くんことナギ少年は、凪ではない海岸、目の洗い砂浜に、
一柱立っています。
都から北へ徒歩一日ほどの距離、
真言術と神術と精霊術、いずれかの移動方法であるなら、
ほぼ瞬時で到着する距離であるので、
移動に関する問題はほぼなく、
どこかの浜茶屋の店名かなという言葉を、波が白い海へ向かって、
叫んだところでございます。
特に理由はないのではありますが、
海にきました、
夏が来る前に、ちょっと涼みに、
海岸沿いを西に進むと、
故郷の御山に着くなぁとか、
大蛇に変化して泳ぐのも良いなぁとか、
塩を確保していくかなぁとか、
刺身がうまいかなぁとか、
雑多なことを並行して考えています、
休日で、遊びという認識ではあります、
なめくじ系の神族は、塩水に弱く、
近寄ろうとはしないので、のんびりとしています。
いやまあ、こようと思えば来れますし、
なんなら、塩水の中泳ぐこともできますが、
というか、局地から訪れた粘体の奉仕種族は、泳いで来てますし、
ある意味気分の問題と言えなくもありません。
海の先にも大地があるということは、
蛇くんの知識にあります、
むしろ大陸と呼ばれるほどの広々とした、ものがあり、
歴史も文化も古く発展した国々が、栄枯盛衰を繰り返していると、
知識では知っているわけです、
基本書物での知識ではありますが、
神族が生まれながらにもつ、刻まれた記憶とか知識でもあるのです、
蛇系の神族は、その普遍性、分布の広さから、
共有している知識も多く、
文化によっては、知恵を象徴する記号でもありまして、
共通の記憶領域が広く深く存在しているのです。
実際に行ってみたいかというと、
結構簡単にその気になったらば、
可能であるので、
かえっていかないという、
そんな状況ではあるわけであり、
さらには、他の神様の領域に、
無遠慮に入り込むのは、
面倒臭いなぁという、
気持ちもあり、
ただ、海と、その先を見ているだけという、
今の状況が生まれているわけでございます。
「先に何があるのかが、分かっている状態で、
海を渡ろうという気持ちが湧かないのは、
当然ではあるけれども、
どうにもこうにも、
思考を誘導されている気がして、
ならないですね」
独り言です。
ただそれでも、大陸へと進む気持ちが湧かないのも事実ではあり、
好奇心と、煩わしさの塩梅が、
ちょうどよく釣り合っているのかなとか、
ぼんやりと思考しつつ、
波間に見える、怪異、
あまびえに、手を振って、
心休まる休日を過ごす、蛇くんです、
「”あれ”も抱けるのものでありましょうかね?」
性欲が中心であるのは、やはり蛇神の血でありましょう。
蛇くんの海を見ての考察でございました。




