084_蛙ちゃんの親戚ってお金で増えますよね。
「私はお金持ちです、
そして、お金が好きです、
何度でも言いましょう、
私は、お金が大好きです」
高らかに宣言する蛙姫こと、ナダ姫です。
場所は、初夏の日差しを木々が遮る、
姫の実家、御所的な庭園です。
繊毛を引いて、野点というか、
野外炊事というか、
お茶というには、
あまりにも献立が豊富な、
肉やら魚やらが皿に取り分けられている、
食事会での最中です。
「ええと知ってます」
きょとんとした感じで、塩を振って、
いい感じに串焼きにしてある、
鮎を手に取った、兎娘が応えます。
「商売で儲けるのも好きですし、
不労所得で得るのも好きですし、
ご機嫌伺いで送られるのも好きですし、
季節の変わり目にそれなりの贈答品を受け取るのも、好きです、
それが換金しやすければなお良しです」
歌うように。
「つまり、守銭奴ですね」
冷静に指摘する、遠慮のない、顔に傷のあるメガネの侍女です。
「反対に、
お金が出ていくのは嫌いです、
次の儲けにつながると分かっていても、
手元のおぜぜが離れていくことは、
身を切る思いがしますし、
無駄遣いであると知ったならば、
手が震えるほどの、
怒りにも似た、
悲しみにも似た、
どうしようもない巨大な感情に、
激情に、
身が震えてなりません」
踊るように。
「ええ、けちなんですよね」
再度冷静に指摘する、侍女さんです。
「その割には、結構贅沢しているような気が?」
兎娘が、次のお肉に手を出していきます、
鶏肉と、豚肉と、食肉用に、品種を改良させた、
牛肉とが、並んでいます。
「これらは地肉になるので、
つまりはのちの利益につながるのでいいのです、
あと、食べることは好きですし」
「さようで、あ、豆腐が美味しいです」
濃厚なしっかりとした豆腐を、
お箸で摘んで食べる侍女です、
遠慮とかはありませんな。
「なので、ただただ、血のつながりがある、
親戚である、
縁があるとして、
厚い顔で近づいてきて、
お金の無心をする存在が、
結構許せないわけです!」
高らかに。
「あー、午前中に何軒かありましたね、
そのような来客というか、
問い合わせというか、
お断りの手紙を事務仕事で、
返した覚えがありますね」
侍女が私仕事してますよ、
と、積極的に、自分のやったことをひけらかします。
「祖霊にすら引っかからない、血族が、
なんで親戚面をするのですかね?」
兎娘が不思議そうに言います。
「普通の感覚で言えば、
親類縁者というのは、
血統が近いものをいうのですけれど、
貴族的には、つまりは、神様系譜、
祖霊関係で言えば、
少なくとも、水性類か両生類系の
血が発現していなければ、親族とは言わないのです、
それが分かっていないのか、
分かっていて、無視しているのか、
なんとも図々しい話ではあります」
ちょっと怒りつつ、姫様、げこげこと。
「まあ、こればかりは、
その親戚関係の感覚ばかりは、
祖霊の血を感じなければ、
わからないものではありますしねぇ」
これは、香辛料が効いていて、
ちょっと辛くて、
美味しいですね、とか、
感想を言いつつ、
しみじみと返答を返す、兎娘でございます。
かえるちゃんの親戚付き合い、その条件についてのお話でした。




