083_蛇くんの神様族柄ってどこまでなんですか?
「都の結界は、規模と強度を高めるために、
ミカドの神族に対しては無効化しているわけです、
で、この神族血族の範囲についての、
擦り合わせというか、
共通認識の確認なのですが」
蛇くんことナギ少年が、
母親の弟であるところの、
伯父のミカドに話しかけます。
場所は、ミカドの政務室というか、私室に近い、
ざっくばらんな部屋であり、
肘掛けに寄りかかり、
畳に座り込んでいる、結構な美丈夫な方が、
主人のミカドです。
側には、色々いると便利な爺やが、
ひっそりと、
けれども、存在感を放ちつつという、
器用な気配を放ちつつ、座っています。
「まあ、そういうふうに落ち着くだろうな、
今までもそうであったし、
問題ないのではなかろうか?
その顔はちょっと問題があるのだな?」
ミカド、つらつらと述べつつ、
姉の息子、その眉目秀麗というか、
美少年顔を、観察して、不足があると判断します。
「そうですね、
基本、
国作りの男神、女神が、創り出した血統は、
その範疇に入るわけではありますが、
そこから、荒神やら狂神やら厄災神に転じてしまった、
対象も含まれてしまうので、
その手の対象と、近い眷属は弾けないわけですね、
別に悪意があるから弾いているわけではなく、
血統による選別でありますので」
こちらもまあつらつらと、
問題点を述べます。
「まあ、天津神でも乱暴者はいるものなぁ、
私自身が転ぶ可能性もないとは言えないし、
そうなった瞬間弾き出されるのは、
それはそれで問題ではある」
ちょっと愉快そうに、
弾き出されたらどうなるのであろうかな?
とか、訪ねつつミカド様。
「結界に弾かれて、空高く打ち上がる、若様、
これは、ひょうきんではありますな、
面白そうではあります、
是非に、
一度試されてはいかがです?」
心底面白そうに口を挟む爺様であります。
「国津神も、
大元は創造の男女大神からの派生、
ということになっているので、
もしくは、そのような物語に組み込んだので、
弾けないわけではありますね、
例えば、父上、
多頭大蛇の大神が、ミヤコに入ろうとしても、
これはすんなり入れてしまうわけです」
系統が別とかそのような物語を作れば、
跳ね除けられるのではあるけれども、
そうすると、地方を収める、
全てを束ねる、司る、根拠が、
薄弱になるという、問題が発生するわけであります、
と続けまるナギ少年です。
「そこはまあ、いいよ、
そもそも、そんな大神と、
対立するような事態になったらば、
ミヤコ程度の広さの結界なんて、
あってないが如しではある。
あくまでも、日常的に、
怪異やら、系統外の神威、妖怪から、
生活圏を守ることを主眼において作っていたものではあるしなぁ」
かんらからからと笑いつつ、
鷹揚に構えるところは、
まあ、流石に、ミカドらしいと言えます。
すっと頭を下げて、
賛同の意を表す、ナギ少年でありました。
蛇くんのミカドと神族血族の範囲を確認する話でした。




