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入れ替わりの始まり
アニタの言葉に皆が言葉を詰まらせました。
「何をしているのですか? 早く王妃様のカツラを用意なさい!」
アニタは顔見知りの侍女を言葉で蹴りあげました。
「アニタどうする気? 私ははバルコニーになんて出たくないわ!」
正装をして民衆の前に出ろと言われたのかと思ったミレーチェはアニタに縋りつきます。
そこでアニタは優しく首を振ります。
「私が代わりに出るわ。夜と雨で暗いもの。この人参頭さえ隠せれば気付かれないでしょ」
アニタは髪を纏め上げて用意された王妃と同じ金髪のカツラを被ります。
そしてバルコニーで必死に民衆を説得する国王の隣に並びました。
「............」
ただの一礼。
ですがこの国の王妃がバルコニーからとはいえ民衆に深々と頭を下げたのです。
それに怒り心頭だった民衆は雨と共に頭が冷えていきました。
こうして民衆の宮殿進行は治りましたが、対価として首都にある別の宮殿へ移ることを余儀なくされたのでした。
その日の夜。
ミレーチェはアニタを寝室に呼びます。
そしてただ静かに抱き締めて、二人は子供の頃のように眠りました。




