王妃アニタ
それからというもの。
またもやミレーチェはアニタにベッタリになりました。
しかし民衆の宮殿襲撃のこともあり、公務を控えるようになり、代わりにアニタが国王と一緒に公務や会議に出るようになります。
アニタも少しでもミレーチェが子供たちと過ごせるように取り計らった結果でした。
いつしか周辺ではアニタを王妃代理と考えるようになり、崇め、奉りました。
アニタも長い間、ミレーチェと共に過ごしたのでミレーチェの性格や仕草、話し方を熟知しています。
まるで本物の王妃のように振る舞いました。
その間も外国に助けを求めたり、会議で協力してくれそうな人と接触したアニタでしたが、悉く失敗。
対して宮殿で暮らすミレーチェは毎日民衆の罵倒を聞いてしまい、トラウマになり心を壊してしまいました。
そこでアニタは決めました。
首都からミレーチェだけでも逃がそうと。
こうしてある深夜。
国王たちと家族を逃す馬車にミレーチェのことも誘います。
しかし、アニタにはひとつ考えがありました。
「国王陛下、ミリーと話したいので少し良いですか?」
アニタはある宿駅で馬を帰るときにミレーチェと話したしたいと馬車から降ろします。
そして別の馬車に無理やり乗せたのでした。
それは国王たちとは別の目的地へ向かう馬車。
御者はなんとカナリーでした。
「アニタ! これはどういうこと?」
「あなたを守るためなの。分かって。カナリー馬車を出して!」
「分かった! はっ!」
「アニタっ!」
こうして道を分けた二人。
そして最期の別れでした。
その後、隣国である別の王国へ逃げる直前にアニタたち国王家族の乗る馬車は革命政府に捕まってしまいました。
首都へ引き戻された国王家族とアニタ。
今度は逃げられないように厳重に監視下に置かれます。
悲しみに震える国王家族でしたが、ただ一人だけ、アニタだけはミレーチェが捕まったという報告が来ないことだけを祈りました。
そしてついにその日は訪れます。
王国のように王政が革命によって倒されないように周辺国は王国の革命政府を倒そうと戦争を仕掛けたのです。
飢餓と戦争によって国王と王妃に変装したアニタはあらゆる罪を被せられました。
そして革命政府によって二人は死刑になり、しかし最期まで毅然とした姿でギロチンの前に立ったのでした。
12時15分 それがアニタが最後に見た空でした
「という私たちの切なくて純愛の悲恋劇のお話を書いてみたんだけど、どうかしらアニタ!」
ミレーチェの自信作を見てアニタはワナワナと震える!
「私が最期死んでるじゃないですか!?」
少女のミレーチェとアニタ。
二人の未来はまだ決まってなどいない。




