児童養護施設
「・・・・・僕の事なんて、必要ないんだ。新しい子供が居ればそれで良いんだよね?」
意外な一言に弓子は面食らった。何故そんな考えになるのかが、全く理解できない。
「・・・・・お母さんも、お父さんもそんなこと思ってない。どうしてそんな事を考えるの?旅行だって、お父さんがみんなで行こうって行ってくれたんだよ。」
勇気の学校の卒業式が終わったら、台湾に新婚旅行に行く予定になっていた。勇気も連れて行こうと言ってくれたのは廉である。廉に家族から勇気を排除する意図は無い事を示している。
「お母さん、分からないの?あいつは旅行先で僕を売り飛ばして、厄介払いするつもりなんだ。」
「・・・・・売り飛ばすって?何処に売り飛ばすのよ?」
「臓器密売組織さ。志那人は質の高い日本人の子供を高く買い取るんだ。」
「お父さんは志那人じゃないでしょ。台湾人でしょ。」
弓子はげんなりして勇気を叱り飛ばす。志那人と台湾人を同一視し、挙句の果てに臓器密売組織が出て来た。SNSの影響だろうか?弓子はスマートフォンを小学生で持たせるのは早かったかと些か後悔した。
「もう、結構よ。あなたの妄想は。そういう人を陥れる事を平気でしたり、やったりするような子はうちには要らない。もう家を出て一人で生きていきなさい。」
「・・・・・・・。」
「あなたが態度を改めないなら、児童養護施設に入ってもらうわ。」
「・・・・・・・。分かったよ。」
勇気は母の廉に対する気持ちが揺るがないことを知り、力なく返事をした。




