表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
皇宮呪師は護りたい!聖皇国列伝秘聞⑥ ~陰りの闇が刻む痕跡《あと》~  作者: norito&mikoto
第6章 絡み絡まれ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/42

第4話・真相語るは幼子の ~感じたもののその答え~

第6章 絡み絡まれ



      第4話・真相語るは幼子の ~感じたもののその答え~



 あの時、アインが使ったのは初級の『風』の精霊魔法。




 小さな風の刃を生み出し、対象を切る、ごく基本的な攻撃魔法の一種。




 それによって、アインは幻影人形を三体破壊したが……




「本来、空刃切裂(エウディヤ・ドゥグン)で発生する風の刃は()()()()()()効果はない。けれど、お前は三体の幻影人形をその一撃で破壊した……」




 ウスニーの言う通り、見えない風の刃を生み出すとは言え、最下級の攻撃魔法一回で複数の対象を完全に破壊できるはずなどない。




 実際に、効果として言うのなら、鋭い草の葉や紙の端で手を切る程度のもの。




 なのに、アインは全身を切り刻んだ上に、首を切り飛ばした。




「……確かに、使用した()()が多ければ成立する結果ではあるが、アレは別の魔法だ……」




 効果を高めたいのならば使う魔力を増やせばいい。




 けれど、そのためにはより複雑な呪文や呪印を必要とし、別の合図の言葉を用いることになる。




 それが魔法の基本原理であり、そこから外れているのは治療魔法だけ。




「かと言って、効果以外は正しく『空刃切裂エウディヤ・ドゥグン』だった……」




 正直、事前にインスから話を聞いていたウスニーもディオネラも、どうなっているのかと頭を抱えたくらい。




「で? 最初に戻すぞ? あの時、一瞬生じた魔力……あれには強い『風』を感じたが……お前はその力を()()()()()()な?」




 風の精霊魔法を使うのに、風の魔力を押さえ込んだ。




 それなのに、結果としては本来の、()()()()()()()()()風の魔力の範囲で、見合わない()()を引き起こしている。




 おかしいだろう!!




 声を大にして叫びたいのを堪え、もう一度問いかける。




「あの時、何が起きていて、お前は何をした?」


「…………っ!」




 繰り返されて、無意識にかアインが左腕を押さえた。




「アイン君」




 その様子に、インスが穏やかな声音で呼び掛ける。




「……私たちも、予測はできているんです……」


「……ぇ……?」




 言われて、アインは目を見開く。



 パッと、シリウムとウスニーを見ると、二人も頷く。




 情報の共有は、ウスニーからシリウムにもされていて、その授業に参加していなかったシリウムも同じ結論に達していた。




 神官呪師としての『授業』の一環という建前上、今日は同席できないディオネラも同様。




 だから、責めているわけではなく、まずは確認。そして。




「その予測の通りなら……アイン君の腕の怪我も、治る見込みが立ちます……」


「……ぁ……」




 心配そうに眉を下げたインスの言葉に、アインは目を見開いた。




 アインの左腕の怪我は、二か月半ほど前の事件で、風の神剣が放った光る刃に掠められてできたもの。




 風の神剣の契約者は、皇孫皇女(ジャンヌ)の専属護衛騎士団長であるファン卿ディアス。




 もちろん、意図的にアインを傷つけたわけでもなければ、まさかこんな風に、いまだに治っていないだなんて知りもしないだろう。




 けれど、現実には縫合手術を施してあるにもかかわらず、一切治っていかない。




 理由は、そこに強い魔力が宿っているから。




 今も、滲むような出血が続いていて、日に何度も処置が必要になっている。




 そのせいもあって、酷い貧血にもなっていて、元々白い顔はずっと青白く、唇も、爪にも血の気が薄い。




「……あの時……」




 俯いて、ポツリとアインが話し始める。




「……()()に、反応したのが、怪我に残ってる魔力……でした……」




 答える声音は落ち着いていて、その説明にインスたちも黙って頷く。




「……長く、()()にあるから、多分……僕の魔力にも、馴染んでいて……だから、最初に、動こうとしたんだと、思います……」




 けれど、ソレは通常の『風の精霊』の魔力ではない。




 アインの魔力と馴染んでいて、更に『風』の魔力ではあるのだから、構築すること自体はできる。


 


 でも、それは『指定された』魔法とは違ってしまう。




「……だから……違うから、邪魔しないでって……思ったら、止まってくれました……」




 むしろ、そうやって無理やり止めた。




 その結果……




「……無理に押さえ込んだ反動で、傷口は開いて、体調も崩した。と言ったところか……」




 重い溜め息と共に告げたウスニーに、初耳のインスは目を見張って絶句し、アインは小さく頷いた。


第6章第4話をお読みいただきありがとうございます。


アインが退院後すぐに受けた「あの授業」で、なぜ初級魔法があれほどの異常な威力を発揮したのか?


魔法を使う直前に湧き上がった異様な魔力。


それを必死に押さえ込んだ理由は治らない腕の怪我に残る「神剣の魔力」が反応してしまったからでした。


「違うから、邪魔しないで」と、無意識のうちに己の魔力に馴染みかけていた強大な力を無理やりねじ伏せた結果、傷口が開き、体調を崩してしまっていたアイン……。


彼がどれほどギリギリの状態で、それでも与えられた課題をこなそうと頑張っていたのか。


その痛ましいほどの健気さと 真実を知ったインスや大人たち。


あの魔力にはまだ別の解決策(消化の可能性)があるようですが……。


アインが一人で抱え込んでいた恐怖と痛みに、インスたちがどのように寄り添っていくのか?


次回もお楽しみに!


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日12時から、毎日昼と夜、1日2話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「面白い」「続きが気になる!」と感じていただけたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【第6弾は完結まで執筆済みです。よければ最後までお付き合いください。】


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ