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皇宮呪師は護りたい!聖皇国列伝秘聞⑥ ~陰りの闇が刻む痕跡《あと》~  作者: norito&mikoto
第6章 絡み絡まれ

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第2話・皇宮呪師のその系譜 ~血筋に呪われ絡まれて~

第6章 絡み絡まれ



      第2話・皇宮呪師のその系譜 ~血筋に呪われ絡まれて~



 疲労困憊のアインを少し休ませることになって……




 眠ったアインを腕に抱いたまま、ベッドに起き上がったインスがそっと、溜め息を漏らした。




「……それで? 拘束の痕に関しての心当たりは?」


「……ありますね……」




 シリウムの問いかけに、今度は案外あっさりとインスは答えた。




「……アイン君に、聞かせられるような話では、ないですからね……」




 溜め息混じりのインスの言葉に、シリウムもウスニーも無言で頷く。




 そっと、アインの頬に張り付いている髪をのけてやって、ぐっすりと眠っていることを確かめると、インスはゆっくり話し始めた。




「……お二人とも、私の『生家』が()()()()の家柄であることはご存じですよね?」




 問いかけに、無言で頷く。




 その、インスの生家に連なる、父方の親戚がほとんど全員、もれなく犯罪者として労役に就いていることも知っている。




「……私は、生まれる前から相当魔力が多いと判明していたらしく……自分たちの()()になると思われたのか……まあ、母が身籠っているうちから命を狙われていたそうです……」




 母親が、妊娠したこと自体は別段疎まれたわけではない。




 どちらかと言えば、呪師になる可能性のある子供の出産は推奨されているので、歓迎もされるし、祝福もされる。




 けれど、その生まれてくる『子供』が、自らの立場を侵したり、野心の妨げとなるようであるなら……表面上は慶びつつも、内心では複雑な感情を鬱屈させる者も出てくる。




 結果、出産前に『事故』で流れることを望まれたり、実際に色々と事故や事件が起こって……早い段階から母方の生家に一旦戻り、里帰り出産することになった。




「……それで、まあ、神官呪師の家柄ですからね……出産自体は無事に終わり、母子ともに健康な状態で一年ほどですか……母の生家で過ごしたらしいです……」




 もちろん、その間も父や、他の兄姉らもよく母方の生家を訪れ、時には泊りがけで遊びに来たりと、交流などはきちんと続けられていた。




 けれど……




「……上の方の兄や姉は既に神官呪師になっていたり、呪師学校で教育を受けていたりとしていたので、そちらの方には親戚だけではなく、それ以外からも……まあ、色々と接触があったようです」




 そうして、彼らは何の悪気も、どころか悪意に気づいてもいなくて……




「実家に戻って以降、私の身の回りには、ずいぶんと危険なものが多く運び込まれてしまっていたそうです」




 その当時のことは、流石にインスも聞いているだけで記憶にはない。




 けれど、まだ自分で自分の身を守る術もなく、ましてや相手は実の兄や姉。




 彼ら自体も知らずに運び屋をさせられていて……




 そのしわ寄せは、周囲でインスの世話をしている者に集まった。




 次々と起こる事故、原因不明の体調不良で倒れる者、そしてとうとう……




「……母が倒れて、儚くなったのが決定打、でしょうね……私が『呪われている』と言われて、家に居られなくなったのは……」




 当時のインスは三歳になる前。




 だから、むしろ父母を同じとする兄姉との交流はほぼない。




「「………………」」




 何の感慨もなさそうに、穏やかに微笑んだまま語るインスに、シリウムもウスニーも、何も言えずに押し黙る。




「……まあ、そうは言っても、三歳ですよ? 覚えていません」




 軽く肩を竦めたインスに「それはそうだろう。」と納得しつつも、軽く扱える内容ではない。




「で、結局。母の生家で育てられたわけなのですが……」




 それでもまだ、彼らは諦めていなかった。




「物心つく前にも、ついてからも……何度も誘拐されて、監禁されていましたね……彼らも、直接的に殺しには来ないんですよ……事故か病気に見せかけようとします」




 それを、行っていたのが()()呪師だというのだから、シリウムもウスニーも苦い顔しかできない。




「最終的には母方の遠祖……いえ、高祖母に引き取られて、そこで呪師学校の入学年齢になるまで()()()()()()()育ちましたか……」


「「………っ!? おいっ!! インス(おまえ)()()()って!!」




 さらりと言われて、ギョッとする。




「そうですよ? 教皇・ステラ=シアス猊下です」


「「………………」」




 あっさりとその名を口にしたインスに、シリウムとウスニーは白目をむいて絶句した。


第6章第2話をお読みいただきありがとうございます。


アインが眠りについた後……大人たちだけで語られる、インスの「拘束の痕」の理由と、その壮絶な生い立ち。


生まれる前から親族に命を狙われ、母親を喪い、隔離されて育ったというあまりにも重すぎる過去。


それをまるで他人事のように、穏やかに微笑みながら語るインスの姿に絶句するシリウムとウスニー。


「アイン君には聞かせられない」と前置きしつつ、最後に特大の事実を落としていったインス……。


大人たちを完全に放心状態にさせた衝撃の事実!


彼らは気を取り直すことはできるのか?


次回もお楽しみに!


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日12時から、毎日昼と夜、1日2話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「面白い」「続きが気になる!」と感じていただけたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【第6弾は完結まで執筆済みです。よければ最後までお付き合いください。】


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

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