表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/41

第3話・神秘の瞳を開くのは ~ありのままに受け入れる~

第5章 積み重なった様々な



      第3話・神秘の瞳を開くのは ~ありのままに受け入れる~



 話が長くなったが、今日、皇宮医務殿にアインが派遣されたのは、インスの精神体の状態を……十日前にアインが見た時との違いを確認させるため。



 それだけは確かなので、ウスニーは「頼めるか?」とアインに問いかける。




「無理にやれ。とは言わない。お前自身がどうしたいかを選べ。どっちにしろ、分かったからと言ってできる対処法はそう変わらない」




 そういったウスニーの言う通り、仮に精神体の損傷が原因だと分かったところで……その『精神体の癒し方』なんてものは分からないのだから、できる『処置』自体は変わらない。




「……見たところで、お前がつらくなるだけかもしれないからな……」




 ぼそりと口を挟んだシリウムの言う通り、見るのも、見えるのもアインだけなのだから、アインだけが『正しく』状態を認識する。



 この場にいる誰も……張本人であるインスでさえも、その心にかかる負担を一緒に背負うことはできない。




「っ。……いえ……」




 インスの腕の中で……その胸に顔を押し付けるようにして泣いていたアインは、けれど首を横に振る。




 ゆっくりと顔を上げて、まだ涙の残る眼差しが、真っ直ぐにインスを見つめて……




「……見ます。……見て、いい……ですか……?」




 はっきりと言い切り、直後に不安そうにインスの目を見つめる。




 ふわりと、極上の笑みを浮かべたインスは……




「ええ。もちろん。……お願いしますね。アイン君……」




 僅かなためらいも恐れもなく、ごくあっさりと頷く。




「……っ……」




 一瞬、また泣きそうになって、けれどぐっとこらえて、アインも微かに笑みを浮かべる。




「……お願いします……」




 それから、そう告げると、その腕から離れて、ベッドの上に座った。




「私も起き上がった方がいいですか?」


「いえ。そのままで……あ、でも……もしかしたら、途中で少し、向きを変えて頂くかもしれません……」




 ちょっと首を傾げて問いかけたインスに、首を横に振って答えたアインは、ハッと気づいてそう付け加える。




「分かりました。その時は、教えて下さいね?」


「……はい……」




 穏やかに、何の気負いもなく言うインスに、アインもホッとして頷く。




 それから、アインはゆっくりと目を閉じて、深く、息をする。




「……はじめます……」




 深呼吸を数回。




 そう断ってから、ゆっくりと()()()()




 黒にも見える深い紫色の、神秘的な瞳に……()()()()()()




「「「…………っ……」」」




 ざわりと、風もないのに空気が揺れる気配。




 莫大な量の魔力が、アインの瞳に集中し、ゆっくりとインスを『視た』。




 頭の先から、足の先、指の先へと……とてつもない密度の魔力が軽く撫でるように全身を滑る感覚に、インスは不思議な心地を覚える。




 これだけ濃密な他人の魔力にさらされれば、普通は違和感や、嫌悪感を覚えたり……時に恐怖で我を忘れることもあるはずなのに……




(……厚い……なのに、軽い……?)




 その密度とは真逆の軽やかさに少し困惑して……気づく。




 アインの顔色が悪くなっていることに。



 うっすらと、額に浮かぶ汗を目にして、アイン自身が、インス(こちら)に負担をかけないように懸命に制御しているのだと。




「…………っ」




 思わず声をかけようとして、堪える。



 アイン自身が、精一杯頑張っているのに、それを邪魔するのは違う。



 どれだけ、心配でも、無理をさせたくないと思っていても……()()()()()()()()を、否定することはしたくない。




 じっと注視するように、隅々までゆっくりと視ていくアインが、時折苦しそうに顔を顰める。




 それでも、目を見開いたまま、真っ直ぐにインスを見つめ続けた。


第5章第3話をお読みいただきありがとうございます。


ウスニーたちからの問いかけに対し、アインがインスのために「見者の目」を開く決断をします。


見ることで辛くなるかもしれないと言われても、真っ直ぐにインスを見つめて「見ます」と告げるアイン。


そしてついに発動した神秘の瞳。


部屋を満たすほどの圧倒的な魔力を放ちながらも、インスに負担をかけまいと必死に制御して冷や汗を流すアイン。


そんなアインを心配しつつも、彼の「頑張りたい」という意志を尊重してぐっと見守るインス。


お互いを大切に想うからこその、優しくて静かな緊張感。


果たして、アインの目には一体何が映るのか?


次回もお楽しみに!


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日12時から、毎日昼と夜、1日2話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「面白い」「続きが気になる!」と感じていただけたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【第6弾は完結まで執筆済みです。よければ最後までお付き合いください。】


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ