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選択
男は私に語りかけてきた
「ようこそ、ドリームランドへ、ここは全ての願いが叶う場所」
私は戸惑いながらこう訪ねた
「え?これってテレビかなんかですか?」
しかし男はその質問に答えず、続ける
「何かを得るためにはリスクはつきもの、望むものが多ければそれだけリスクも大きくなります。それでも望ならば進んで下さい。我々は歓迎します。」
私は、怪しいと感じてはいたが、同時に少しワクワクしていた。
それに私が扉に手をかけた時、男は口をひらく
「後戻りは出来ません。このことをゆめゆめ忘れぬように」
そう告げると、男は深々と頭を下げる。
この現代社会、そうそうなことは起きないと、根拠もない安心感もあり、その扉をくぐってしまった。
今考えると、なんて浅はかだったのだろう…何故もっと注意しなかったのだろうか…
この時の私は、日々の平穏が音を立て崩れ去ろうとは夢にも思っていなかった…




