遭遇
扉の奥に進むと、ギィィィと扉が勝手に閉まる。
「え?!」
私は急いで扉に駆け寄り、開けようとするが、びくともしない。
扉が閉まり、辺りは完全に暗闇になってしまい、ここにきてやっと私は、危機感を覚えた。
私は、しばらく何も出来ずにその場で立ち竦んでいた。
すると、パンと辺りに光がともる。
私は、いきなりの光で目がくらんでしまった目をゆっくりと開いた。
そこには私を含め、4人の男が立っていた。
一人は、周りを威嚇するように、睨みつけている、一人は不安なのか、周りをキョロキョロと見ていて、一人は誰とも視線が合わないようにか、床に視線を落としていた。
私はとりあえず、状況を把握しようと、今いる部屋を見渡す。
そこは十畳程の部屋で、床と壁はコンクリの打ちっぱなし、窓などは一切なく、閉鎖的な部屋だった。
しかし、皆の後ろにはドアがある。
そのドアは、マンションなどでよく見る極々一般的なドアだった。
私が入ってきたのは両開きの扉で、全く違う扉だった。
『入ってきたのとは違うドアばっかりたな…じゃあ俺の後ろにある扉から皆入ってきたのか?』
と思い、後ろに目をやる。
「え?!」
私は驚いた、入ってきた扉は無く、他のドアと同じものがあったのだ。
「は?え?さっきの扉は?」
私は混乱しながらもドアを調べた。
そのドアは何の変哲もないドアで、唯一気になったのは、目線の高さにネームプレートらしきものがあることくらいだった。
「…下山?…名前?…誰の?…」
不思議そうにドアを調べていると、周りを睨みつけていた男が、声を荒げながら、話してきた。
「おい!そこのお前!なにしてんだ!なんか知ってるのか!?」
「いえいえ…私は、気付いたらここにいて、入ってきた扉が無くなってて、普通のドアになってたから調べていたんですよ」
私は慌てて説明した。
「なに言ってる!入ってきた扉はこっちだろ!」
男は振り返って自分の後ろのドアに目をやる。
「は?…扉がなくなっている…どうなってんだ!」
そう言いながら、ドアを叩く。
それを見た二人も振りかえる…
キョロキョロしてた男は、よろめきながらドアにもたれ掛かる、もう一人は力なく、その場にへたれ込む。
どうやら皆私と同じ状況のようだ。
そして先程の男が私に詰め寄る。
「お前!何か知ってるだろ!どうなってんだ!」
男は私の胸ぐらを掴む。
「知りませんよ!私もあなたと同じで、わからないんです!…」
「…ちっ!…」
男は少し考え、手をほどく…
私は襟を整えながら、男に話しかけた。
「…あの…これ見てもらえません?名前だと思うのですが、心当たりはないですか?」
ネームプレートらしきものに指を指す、すると男はそれに目をやる。
「…下山?…知らんな…お前じゃないのか?」
「違いますよ…私は中本といいます…失礼ですがあなたは?」
男は不機嫌そうに答える。
「あ?…河合だ…じゃあこの下山って誰なんだよ」
「わからないですね…この中の誰かなんですかね?聞いてみますか?」
「じゃあ聞いとけよ!俺は俺の後ろにあったドア見てくる」
河合は少し苛立ちながら、きた場所に戻る。
「あのーすいません、この中に下山っていう方はいませんか?」
私は二人に呼びかける。
少し、間が空き、ヘタレ込んでた男が静かに手を挙げる。
「…あの…僕が下山ですけど、なんで知ってるんですか??」
不安そうな声で名乗った。
「いや…私の後ろのドアに下山って書いてあったので聞いたのですが…」
私がそう話していると、河合が割って入ってくる。
「おい!こっちには村井ってあるぞ!おまえ等も後ろのドア見てみろ!」
そう河合が大声で指示してくる。
二人は戸惑いながらもドアを調べる。
すると下山が萎縮しながら報告する。
「…こっちにもありました…中本って書いてます…」
もう一人の男も報告する。
「こっちには河合ってあります…後…私が村井です…」
「河合!?俺のなまえじゃねえか!お前そこどけ!」
河合は駆け寄り、村井を押しのける、その拍子に村井は転けた。
「村井さんでしたっけ?私は中本です。大丈夫でしたか?」
私は村井に駆け寄り、手を差し伸べる。
「ありがとう…」
そう言いながら私の手を掴み、立ち上がる。
河合はネームプレートをまじまじと見る。
「…本当に俺の名前がある…」
静かに、ドアに頭をつける、それを見た他の人も自分の名前を確認しにいった。
しばらくの時間誰も口を開かず、沈黙の時間がすぎる。
私はこの空気に耐えきれず、一つ提案した。
「あのー…このままここでじっとしてても何にも変わらないんでどうでしょう?自分の名前がついてるドアの中を調べてみませんか??」
少し皆考え、河合が口を開く。
「…他に何もできんしな…」
ドアの中に入っていく、その姿を見た下山と村井も静かに入っていく。
私はそれを見て最後に入った。




