↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
5/12

第三王女は無駄なく使います。


次の日、

私はハシとフォーク、そしてサラと共に、森に向かう。


「ところで、なんで森に向かってるの?」

私は尋ねた。


「ディッシュちゃん忘れたか。木の皮を剥ぎにきたんだよ」


「木の皮」


「あぁ、そうだ。木の皮はタンニン染めの原料になるからな」


「へぇ。じゃあ木こりさんの所に行けば?」


「木こりに切って貰うのか?」


「いえ。木こりさんって皮を使わないでしょ」


「そうじゃな。それを分けてもらうのか?」


「もちろん。なにかお礼をして」


「そうか。じゃあ、少し行ったところに、木こりがおる。行ってみよう」


しばらく行くと、一軒の家があった。


「おぉ。ひさしぶりじゃな。元気か?」

ハシが手をふる。


「あぁ。どうした?お前さんが珍しい」


「いや実はな。タンニン染めをするので、木の皮がいるのじゃが、このディッシュちゃんが、それだったら、木こりさんの所に行ったらと言うのでな。来てみた」


「何の木が良いんだ?」


「オーク系、クリ、シラカバ辺り」


「あぁ、それなら向こうにあるよ。行こう」


「おぉ。皆行こう」


そこには、いろんな木の皮が、捨てられていた。


「好きなだけ持っていっていいぞ」

木こりさんは言った。


「あのお礼がしたいのだけど」


「お礼なんぞ良い」


「麦とかは買ってるの?」


「まぁ麦は買ってるが」


「じゃあ後で麦を持ってくるわ」


「まぁ好きにしてくれ。ところでディッシュちゃんだったかな?あの最近引っ越してきた」


「うん。私がディッシュ。こっちはサラで、この子がフォーク」


「ワシはプレートじゃ。なぜ木こりに話を聞こうと思った?」


「だって木の皮を剥ぐと、木が枯れちゃうでしょ。中身を使う気のない私達が、皮だけ取るのは道理に反してるわ。しかも猪の皮の利用のためだもの」


「あんた。賢いな」


「へへ」


「この通り、ワシらにとって、木の皮は不要品だ。麦と交換してくれるならウレシイ。じゃが、それでも多量に余る。何か使い道はないか?」


「使い道ね。皆何かある?」


「あの。燻製という方法があります。たしか、オーク系やブナ、カエデなどが使えたかと」

サラは言った。


「僕、前に薪がない時に、使ってました。ただよく乾燥させないとダメですけど」

フォークは手を上げた。


「たしか、染料とか防虫剤にも使えたと思う」


「いろいろ使えるんだな。

どうだ。うちの木の皮をそっちで引き取ってくれないか?

ワシは木を切るのは得意だが、計算が苦手でな。商人とかはどうも……、そっちの野菜とか麦とかとの物々交換でいいから」


「ディッシュ様、それは面倒ですよ。やめておきましょう」


「うん。わかった。じゃあ引き取るわ」


「ディッシュ様、だから面倒ですよって、言ってるじゃないですか」


「そうよね。たしかに面倒だけど、こう考えなさい。私達の手数が増えると」


「手数?どういう意味ですか?」


「わからないの?」


「はい」


「私もわからないわ。なんとなくよ」


「なんか迷惑かな?」


「いえ。ただスグに全量は難しいと思います。今日はとりあえずタンニン用のモノを引き取って、他のは後日。用途が決まりしだいでも構いませんか?」


「それはもちろん。長い取引がしたいからな」


「それは私もです」


私達は木の皮を引き取り、

農場に戻った。


お礼の麦をフォークに運んでもらい、

私達は皮の鞣し作業に入った。


皮は内側の脂を丁寧にナイフなどで取り除き、洗い、

木の皮を茹でてできた汁に漬けこむようだ。


「まずこれくらいの薄い汁に漬けこむ。そして数日待って、今度はもっと濃い汁に漬けこむ。それを何度か繰り返す」


「どれくらいかかるの?」


「牛などなら一年くらいはかかるな」


「そんなにかかるの?」


「かかるが、汁の中に漬けこむだけだからな。漬物と大して変わらんわ」

ハシは笑った。



日が暮れ、

私達は晩御飯を食べる事にした。

昔の食卓を考えれば、ずいぶん賑やかになったものだ。

あの頃は皆忙しく、一人で食事をとることが多かった。

豪華な食事も一人では寂しいもの。

質素な食事も大勢なら楽しい。

そう思う。


「ところで、あの木の皮の件だけど、どうするのが効率良いかな?」


「沢山使うなら、燃料がいいが、タンニン染めとかにも使えるしな」

ハシは腕を組む。


「あの?タンニン染めで使った後の木の皮なら燃料にしても良いのでは?」

フォークは手をあげる。


「それはいいな。乾燥させれば、ちゃんと使える。フォークお前賢いな」

ハシは笑顔を見せる。


フォークは照れ臭そうだ。


「燻製に使うには、燻製にするものがいりますね。猪を狩りましょうか?」

サラの目は輝いている。


「狩りまくるのも問題でしょ。村に危害を加える獣だけにしましょ」


「……はい」

サラは肩を落とす。


「猪狩るの楽しかったの?」


「はい。たぎりました」

サラの目は輝いている。


「ほかに燻製できるものはないかな?」


「チーズやゆで卵なんかもできるぞ。あと川魚とか」

ハシは言った。


「それなら色々試せるわね。いろんなモノの燻製を作ってみましょ」


それから、

色んな燻製を試した。

チーズ、ゆで卵、川魚。

皮の種類で味が変わることも知った。


「ディッシュ様。これは備蓄の役に立ちますよね」


「そうね。日常的に燻製を作っておけば、いざという時の練習にもなるし、そのままより日持ちするし、美味しいし」


猪を討伐してから、

三月が過ぎるころには、小作人の数が十人にまで増えていた。


「ディッシュ様。急速に増えましたので、一度ここらへんで募集を止めてみては?」

サラが言ったので、募集を止める事にした。


それから三日後。

サラと共に農場を視察していると、

「あの農場の募集を聞いて来たのですが」

大柄な男が声をかけてきた。

どこかで見た顔だ。


「申し訳ございません。現在募集を止めております」

サラは言った。


「あなた!農民じゃないわね」


男の視線は止まる。


「ディッシュ様。この男は危険です」

サラは短刀に手を伸ばす。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。