183.鳥使い槙
※使ってる訳ではありません
「…………ねぇ槙」
「……なんぞや」
「今日のテスト、どうだった?」
「……そこそこだな」
……僕は知ってる。槙の“そこそこ”は、“あまり良くない”と同じ意味って事を。
昼過ぎ。例の場所。
テスト期間で半日なのを良い事に、僕達はここに来ていた。……どこかから勉強しろとか聞こえた気がする。
「……赤点は回避できると良いねぇ」
「そーだなー」
槙が鳥のエサをぶちまけながら答える。やる気のない返事なのはいつもの事だから気にしないとして、エサぶちまけるのはどうなの。
「槙、そのエサは」
「鳥のだな」
「なんで食い気味に言うのさ。しかもそれは分かってるし」
「だろうな」
「槙も分かってるならやめよう」
「ボケなきゃやってらんねっすよ」
「何そのキャラ」
大量の鳥が集まってくる。正直、怖い。なんだか鬼気迫るものがある。……わぁ、槙が半分くらい見えなくなった。
「……ずいぶんと集まったねぇ」
「いや、今日は少ない方かな」
「これで少ないの!?」
「少ないな」
……ちょっとよくわからないな。
「そんなに集まるならさ、そのエサすぐなくなるよね?」
「毎日来れば三日で終わるんじゃないか?」
「三日!?」
「数が数だからな」
だから槙は広い範囲に撒いてたのか。槙のくせに。
それは良いけど、僕の周りには一羽も来ない。この辺にもエサ落ちてるのに。
「……槙は懐かれてるんだねぇ」
「まぁ、頻繁に餌付けしてるしなぁ。……はいはい、今日はもう撒かないよ。たかるなたかるな」
「懐かれてるねぇ」
地面に落ちたエサがなくなったらしい。鳥達が槙に突撃している。
「槙はここの支配者にでもなるつもりかな?」
「いや、そういう訳じゃぐえ」
「……大丈夫?」
どうやら羽ばたきにぶつかっているようだ。連続ヒットで体力ゴリゴリ削られてそう。
……面白いからしばらく見てよう。
「樂お前面白いとか思ったろ」
「読心!?」
「結構つらいんだぞこれ」
「あ、うん。なんとなくわかるよ」
「しばらくすれば大人しくなるけどよ……」
あ、ホントだ。飛んでる数が減ってきてる。
「最初から落ち着いててくれりゃ良いに」
「槙、嬉しそうだね」
「気のせいだろ」
槙の身体中に鳥がとまっている。野生の鳥って人にこんなに馴れるものなの?
「そういえば、今日はまだ猫ちゃん来てないね」
「奴にも都合ってのがあるんだろ」
そういうものかねぇ。
今日も平和です




