180.炬燵亀地獄
コタツには高確率で首が複数ある亀ができあがります
視点 柚
「うーん……ぬくい……」
「そりゃ炬燵だからねぇ……」
炬燵考えた人尊敬するよ。
昼過ぎ。樂の家。
三ヶ日でもする事のないボクら三人は炬燵でぬくぬくしていた。槙はすでに寝ている。
「なんで炬燵はこんなに眠たくなるのかねぇ……」
「炬燵っていうか布団でしょ」
「どっちでも良いさ」
「良いんだ?」
「炬燵だろうと布団だろうと、気持ち良く眠れればそれに越した事はないさ」
「柚、論点ズレてる」
気のせいだよ。
「そういえば、僕達初詣とか行かないよね」
「確かに毎年そうだね」
「まぁ行っても仕方ないっていうか」
「振り袖とか着るくらいしか楽しみ無いし」
「へぇ、柚は着物着るの楽しみなんだ」
「槙が」
「槙に振り袖着せるの!?」
よし、ノってきた。
「何言ってるんだ? 当たり前だろうに……」
「その『やれやれ』みたいなノリ何!?」
「槙だって着たがってるし」
「嘘ぉ!?」
「ほら、3ヶ月前くらいに言ってたじゃないか」
「3ヶ月……? ……カエルの柄のやつじゃん!」
「牛柄もね」
「細かいよ!どっちか片方言えば良いよ!」
「ウシガエル」
「そういやそんな事言ってたね! ウシガエルまったく関係なかったけど!」
……心なしか普段よりもツッコミが鈍い。何故だろうか。
「カエルの卵って独特だよね」
「えぇ? あ、うん。どうなってるんだろうね」
「あの紐状の物体はどうやって作られてるのか」
「どうなんだろうねぇ……」
「例えばあの卵を集めてさ」
「うん」
「麺のようにツルツルっと」
「気持ち悪い!!」
それはそうだろう。
「ていうかそれどっちかと言えばツルツルっじゃなくてヅルヅルっだよね!?」
「やめなよ樂。効果音が生々しい」
「話を始めたのは誰!? それはあなた!」
「自問自答だね」
「違うよ!? なんかそれ違うよ!?」
ふふ、楽しい楽しい。
「もういっそ売ったら流行るんじゃないかな」
「流行る訳ないでしょ!? それ売ってたら柚は買うの!?」
「買うとでも?」
「そりゃそうだよね! 普通はそうだもん!」
「…………お前らなぁ」
おや、槙が起きた。
「おはよう槙」
「寝覚めはどうだい?」
「良いとでも思ってんか」
「そりゃ、ボク達に囲まれて目覚められるんだから」
「問題はそこじゃねぇだら。俺が言いてぇんはな、なんで炬燵の一辺に三人で入ってんだって事な」
「えぇー」
「おい」
今の状況。
炬燵のひとつの辺に、樂、槙、そしてボクが詰まっている。もちろんギチギチに詰まっている。
そんな状況で、槙を挟んだボク達が散々騒いでいたのだ。樂は無意識にやっていただろうな。ボク? ふふ……。
「つかさ、俺が寝る前まではそれぞれ別のとこに入ってたよな? なんで来てんの?」
「キ、キミの温もりが」
「それ炬燵の温もりだから」
「食い気味でツッコまないで」
せめて全部言わせて欲しかった。渾身のボケなのに。
「それにしても狭いねぇ」
「まったくだよ」
「じゃあ抜けろよ」
仲良いですねぇ
本当に




