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ECCENTRIC ORBIT  作者: きんかん


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第19話 固定

『今だ、入れ』


 グレアムの合図を受け、リックはカリガの船首を進めた。


 接舷口は、まだ動いていた。

 画面の中央へ収めても、縁が僅かに横へ流れる。リックはその動きを追い、近づく速さを落とした。

 今ここで止めれば、向こうからぶつかってくる。


「両機、そのまま。接触に入る」


『グラディヴス、保持継続』


『サルースC、保持しています』


 相対速度の線が細く重なった。

 カリガの接舷部が、貨物船の縁へ触れる。


 リックは推力を一度に抜かなかった。

 固定具が荷重を受け始めるのに合わせて、船体を送る力を減らす。横へ押そうとする力が僅かに出て、すぐに収まった。


『接触部、荷重安定。固定を進めます』


 正面の映像に、固定完了の印が付いた。

 船首を介して伝わってくる動きを見ながら、リックは最後の補正を入れた。


「接舷完了。両機、引き続き頼む。ここから人を通す」


 専門救難隊が仮設の与圧接続を仕上げていく。

 継ぎ目の気密確認を終え、事故船側と圧力を合わせる間、リックは接触部の荷重から目を離さなかった。


『圧力差なし。気密良好』


「よし、開けていい」


 船首の奥で、隔てていた扉が開いた。




◇




 ミレイユが最初に見たのは、手すりに縛り付けられた靴だった。


 片方だけだった。紐を手すりへ結び、通路へ流れないようにしてある。その先では、散らばった工具が袋へまとめられていた。

 壁に新しい擦り傷が走っている。曲がった手すりの下に、血の付いた布が留められていた。


「こちらです!」


 入口で待っていた貨物船の乗員が、身体を引いて道を空けた。

 ミレイユは専門救難隊とともに通路へ入る。


 事故船の中には空気があり、照明も点いていた。呼び掛けに答える声が、いくつもの扉の向こうから聞こえた。


「動けない人は、この先に2人。奥にもいます。手の空いた者で固定しています」


「案内をお願いします。固定されている人は、そのままで」


 乗員が先へ進んだ。

 ミレイユは通路脇の男へ顔を向ける。男は壁の固定帯に身体を預け、片手で腹を押さえていた。


「名前を教えてもらえますか?」


 男が名乗る。

 答えははっきりしていたが、息をつくたびに眉が寄った。


「どこへぶつかりました?」


「そこの……角です。急に横へ、持っていかれて」


 ミレイユは男の指した設備と、腹を押さえた手を見た。

 目立った出血はなかった。


「担当がつきます。無理に動かなくていいですよ」


 付き添う医療要員へ引き継ぎ、測定を始めてもらう。


 通路の先には、途中まで運ばれて固定された担架があった。頭に傷を負った乗員が横たわり、そばにいた同僚が同じ問いを繰り返している。


「ずっと返事はあります。大丈夫だと思うんですが」


「名前や、今いる場所は答えられますか?」


「名前は答えられました。しかし場所は、さっきと違うことを言っていて……」


 ミレイユは担架へ寄った。

 問い掛けに目が向く。返事もある。だが、直前に尋ねたことが残っていなかった。


 負傷した時刻、意識を失った様子がなかったかを確かめ、記録へ入れる。


「ここまで付き添ってくれたんですね。助かりました。固定は救難隊へ引き継いでください」


 乗員は手すりから指を離し、ようやく自分の身体を壁へ寄せた。


『機関区寄り、設備に挟まれた乗員を確認。胸部を圧迫されています。救出作業に入ります』


『居住区で下肢の変形あり。大腿部骨折の疑い。出血と循環を確認中です』


 別の班から報告が重なった。

 ミレイユは区画図を開く。入口までの通路は一部を共用していた。奥の担架を運び出せば、その間は手前から通れなくなる。


「頭部外傷の方を先に入口へ。挟まれている方は、救出の見通しが立ったら知らせてください。通路を空けます」


 腹を押さえていた男の測定結果が入る。

 ミレイユはその欄を残し、変化があればすぐ知らせるよう伝えた。


 壁際にいた別の乗員が、固定を外そうとした。


「自分で動けます。そっちへ行けばいいんでしょう?」


「動ける方は、まだここで待っていてください。担架が通り終わってから案内します」


 男の目が、自分の腕へ落ちた。服の上から巻かれた布が赤く染まっている。


「俺のは大したことないから、邪魔にならない方へ」


「いえ、そこにいてもらうと助かります。その腕は、先に見せてください」


 返答を待つ間に、ミレイユは医療要員を呼んだ。

 男は固定を解く手を止めた。


 報告の付いていなかった区画が埋まっていく。

 固定された座席にいた者、作業用の拘束具を着けていた者は、自分で移動して仲間を手伝っていた。

 通路へ出ていた者は、同じ船の中にいても無事では済まなかったようだった。


 ミレイユは乗員名簿と、各班が確認した名前を照合した。


「乗員36名、全員の所在確認。負傷17名。重傷4、中等症6、軽傷7で暫定分類します。カリガへ全員収容。受け入れ側へ更新を」


 カリガの収容図に、十七人分の枠が付いた。

 色だけでなく、必要な処置と運び出す順が並んでいる。


 頭部外傷の担架が動き始めた時、背後から声が上がった。


「ミレイユ、腹部を打った方です。返答が遅くなっています」


 ミレイユは引き返した。

 男は目を開けていた。先ほどと同じように名前を尋ねると、唇が動き、遅れて声が出た。


 血圧も下がっていた。

 固定帯の端に置かれた指から、力が抜けている。


「聞こえていますね。今、こちらの船へ移します」


 男の顔へ声を掛けてから、担当者を見る。


「内出血の疑いあり、この方を先に。頭部負傷の方は、容態を見ながら今の場所で待ってもらってください」


 救難隊が担架の向きを変えた。

 入口の手前で待つ班へ変更を伝え、空いた経路へ男を送り出す。ミレイユもそばにつき、カリガへ戻った。


 継ぎ目を越える間、担架を持つ手は慌てなかった。

 向こうから来た要員が先端を受け、固定具を避けて引き込んでいく。


『こちらグラディヴス。接続部の荷重は安定しています。移送を続けてください』


 パティの声が入った。

 ミレイユは確認を返し、男とともに収容区画へ入る。


 空いていた処置場所へ担架が収まった。

 事故船の通路では身体を避けながらしか届かなかった位置へ、今は両側から手が届く。測定の線をつなぎ替える前に、向こうでの記録を担当者へ渡した。


「腹部強打。初回は会話成立。その後、返答の遅れと循環状態の低下があります。経過はここから」


 担当者が確認を返す。

 ミレイユは病院側の受け入れ担当を呼び、搬送前の状態を伝えた。


 続いて、頭部外傷の担架が入ってきた。

 別の処置場所で固定が終わる。奥では軽傷者が到着し、自分で座席へ移ろうとして止められていた。


「そこはこれから担架を通します。こちらへどうぞ」


 案内された先で、空いていた座席が埋まる。

 誰かが自分の上着を抱え直し、その下から同僚の端末を取り出した。


「これ、あの人のです。落ちていたんで……」


 要員が持ち主を確かめ、患者の番号を付けて預かった。


 挟まれていた乗員の救出が終わった。

 胸の状態を確認しながら運び込み、脚を負傷した乗員の担架が続く。ミレイユは報告を受けるたび、収容図の順を変え、必要な場所へ人を回した。


『こちらリック。帰りの条件を出せるか?』


 ミレイユは四人の測定結果と、処置の進み具合を並べた。


「機軸方向の上限を送ります。横方向は別に制限します。頭部の方の追加固定と、こちらの処置が済むまでは、姿勢を変えないでください」


『今の向きのまま離れるところまでは組める。その後の回頭は待つ』


「加速の立ち上がりも急にしないで。この範囲内で、早く着ける経路をお願いします」


『分かった。準備が済んだら、こちらから返す』


 ミレイユは操船側へ送った上限を記録に残し、処置場所へ戻った。

 腹部を負傷した男が、かすかに顔を動かす。


「俺たちの船は……」


「大丈夫、クアドリガが外で支えています。あなたは、これからこの船で病院へ向かいます」


 男は何か言おうとし、それから小さく頷いた。


 最後の軽傷者が収容区画へ入ってきた。

 救難隊が事故船側の確認を終え、取り残した負傷者がいないことを報告する。


 ミレイユは名簿を上から追った。


「17名、収容確認。全員の固定を再確認してください」


 返答が順に上がっていった。




◇




 接続部を通る最後の担架を、グレアムは外部映像で見送った。


 事故船とカリガの間には、細い荷重の線が出ている。パティが船同士の動きと二機の推力を合わせ、継ぎ目を押し曲げない配分を出し続けていた。


「こちらの保持点は安定。サルースC側の変化を取り込みます」


 グレアムは推力を僅かに変えた。

 反対側では、ダリオも自分の接触点に合わせて調整している。


『貨物の仮固定が終わったわ。動いた一群は今の位置で押さえて、残った固定部に機械ロックを追加してる。積み直しはしてない』


 エレナが船側から受けた確認を送ってきた。


「それでいい。人を出す方を先にやる」


 主推進の停止表示は変わっていない。

 貨物区画と乗員区画の隔離も維持されていた。


『負傷者17名はカリガへ移しました。残る19名は後続支援に引き継ぎます。船側の監視担当以外は、順に退船させます』


 事故船から報告が入った。

 グレアムの画面にも、近づいてきた支援船と外部作業班の位置が出る。


 カリガの船首で、帰ってきた救難隊員が扉の内側へ消えた。

 接続路が閉じられ、与圧接続の解除が始まる。


『カリガ、離脱準備完了。両機、そのまま保持を頼む』


「任せろ」


 カリガの固定が解かれた。

 接触部から荷重が抜ける。その分がこちらの支持点へ戻る前に、パティの表示が変わった。


 グレアムは新しい推力配分へと移す。

 船体の向こうから、ダリオの確認が返った。


 カリガが離れていく。

 船首が十分に離れるまで、誰も次の動きを急がなかった。


「リック、あとは頼むぞ」


『受け取った。そっちも忘れ物するなよ?』


「こんなでかい物、忘れられるか」


 閉じ始めたシールドの向こうへ、収容区画の灯りが隠れた。


 後続の作業班が、サルースC側へ接近する。

 エレナが接触部の状態を渡し、ダリオは向こうの保持が掛かるのを待ってから推力を落とした。


 事故船の回転は増えなかった。


『サルースC側、引き継ぎ完了。貨物の再移動なし』


 次に、グラディヴス側の荷重が移った。

 グレアムは機体を離し、固定具が完全に戻るまで事故船と並んだ。


「船体保持、引き渡し完了」


 長い貨物船は、まだ地球へ向かえる状態ではなかった。

 その船から離れたカリガが、医療拠点への進路を取り始めていた。




◇




 リックの画面には、二つの到着予測が出ていた。


 短い方は、途中で大きく姿勢を変える必要がある。操船の条件だけなら通せるが、ミレイユが送ってきた横方向の許容域を外れていた。


 リックはその線を選択肢から消した。

 残した経路も、そのままでは使わない。


 回頭する位置を手前へ移し、後で向きを変えずに済む区間を長く取る。

 それで到着予測が縮まった。


「ミレイユ、姿勢変更を先にまとめる。その後はこの向きで加速を続けたい。処置を止めずにいけるか?」


『今の固定の確認が済めば。回頭中は低い方の上限を使ってください。機軸方向の加速は、送った範囲まで上げられます』


 リックは変更後の加速度と、その方向が続く区間を送った。

 減速へ入る前の姿勢変更も、同じ画面に載せる。


『この姿勢を保てるなら、処置は継続できます。減速前の変更には予告をください』


「了解」


 医療側の確認が上がった。

 リックはゆっくり機首を回し、予定した方向へ収める。その間、到着予測が少しずつ延びた。


 焦って入力を足す必要はなかった。

 回頭を終えれば、許された加速度を使える。


「姿勢変更終了。ここから上げる」


 主機の出力を増やした。

 加速度が上限の手前へ近づき、そこで落ち着く。横方向の線は、狭い許容域の中に残っていた。


 医療区画から、処置を続ける声が届いた。

 同じ方向へ力が掛かり続けている間、リックは細かく向きを直す代わりに、後の経路を組み直していた。


 途中で、患者の状態更新が入る。


『リック、機軸方向の上限を下げます。姿勢は今のまま維持してください』


 リックは理由の説明を待たず、届いた線まで出力を落とした。

 到着予測が延びる。


「反映した。今の制限なら、この時刻になる」


『確認。処置を続けます。変更できる状態になったら知らせます』


 リックは新しい到着時刻を医療拠点へ送り、受け入れ担当の応答を確かめた。

 接舷口は確保されていた。患者ごとの搬出順も、すでに向こうへ届いている。


 やがて、制限の一部が緩められた。

 リックは上げられる範囲だけ推力を戻した。出発時の値へ一度に戻すことはしない。


 医療拠点の灯りが見える頃には、減速に向けた処置側の準備も済んでいた。

 必要な姿勢変更を終え、減速を続ける。明るい接舷口が、船首の正面へ近づいてきた。


「最終接近。接触後、固定を確認してから開ける」


 今度の相手は、事故船ではない。

 それでもリックは、船首が触れる瞬間の力を最後まで見ていた。




◇




 病院側の要員が入ってきた時、ミレイユは腹部を負傷した男のそばにいた。


 搬送中の記録を開き、状態が変わった時刻を示す。

 担当者はすでに送られた情報へ目を通していた。今の測定値と照らし、処置と搬送の経過を短く確かめていく。


 確認を終えた手が、担架の端を取った。


「受け入れます」


 男が運ばれていった。

 頭部を負傷した乗員も、胸を挟まれた乗員も、脚を固定した乗員も、それぞれの担当へ渡っていく。

 四人とも、生きて病院の処置へつながった。


 ミレイユは引き渡し先を記録へ入れた。

 中等症の六人が続き、最後に軽傷者が案内される。自力で動ける者にも、名前と受け入れ先の確認が一人ずつ必要だった。


 上着を抱えた乗員が、入口で振り返った。


「あの人の端末、忘れずにお願いします」


「記録と一緒に渡しました。こちらにも受け取りが付いています」


 ミレイユが画面を見せると、乗員は頷いた。

 自分の上着を抱き直し、病院側の要員についていく。


 収容区画が空になった。

 処置のために開けた包材と、使い終えた固定具が残っている。要員が座席の下を確かめ、持ち物の取り残しがないことを報告した。


 ミレイユは最後の受領記録を開いた。

 運んだ名前と、受け取られた名前を照合する。


「17名、全員引き渡し完了。重傷4、中等症6、軽傷7。死亡者なし」


『こちらも確認した』


 リックの声が返った。

 ミレイユは記録を確定し、空になった処置場所へ目を向けた。


 腹を押さえていた男の指が離れた場所に、まだ固定帯が伸びていた。

 それを戻し、次に使える状態へ整えるよう、担当者へ伝えた。




◇




 数日後、グレアムの端末へ事故調査の報告が届いた。


 最初の頁には、割れた貨物固定具の拡大写真があった。

 破断面の一部に、繰り返し荷重を受けて亀裂が進んだ跡が残っている。最後に破断した部分と、調査側の印で区別されていた。


「疲労亀裂だったんですね」


 待機室で同じ報告を開いていたダリオが言った。


「点検で拾えなかったんでしょうか?」


「検査時には発見しにくい箇所だった、とあるわ。その後も亀裂が進んで、本加速の荷重で残りが切れたのね」


 エレナが、検査記録と照合した頁を出した。

 ダリオは拡大写真をしばらく見てから、次の頁へ送った。


 地球へ送るミスリル合金は、5万tを超えていた。

 動いたのはその全部ではない。数千t規模の一群が最初の固定を外れ、隣の固定部へ荷重を押し付けた。そこで持ちこたえられなかった荷が、さらにずれた。


 貨物の位置を追った再現図で、船を押す力の線と重心が外れていく。

 重さの散らばり方も変わり、同じ噴射で船が回る量まで違っていた。主推進と姿勢補正が、その変化へ追いつかないまま重なっている。


 現場で見た、落ち着かない船体の動きだった。


「これなら、止めた後も荷を追っていた説明がつきます」


 パティが、回収した噴射履歴を横へ並べた。

 グレアムは再現図を最後まで見て、調査結果へ戻った。


 切断や細工の痕跡はない。

 制御系への不正な介入も認められていない。

 事故の起点は、固定具の疲労破壊だった。


 壁面のニュースでも、同じ船が映り始めた。


『地球向けのミスリル合金を積んだコンラッド級貨物船の事故について、調査結果が公表されました。貨物固定具の疲労亀裂が進み、加速時の荷重で破断。連鎖的な荷崩れによって船体の姿勢が急変したものです』


「情報が早いもんだな、おまけに正確だ」


 グレアムはカップを手に、画面へ顔を向けた。


『乗員36名のうち17名が負傷し、4名が重傷でしたが、負傷者全員が生存して医療機関へ搬送されています。死亡者は出ていません』


 貨物船の図に、カリガと二機の位置が重ねられた。


『MRSSはカリガ級救難船とクアドリガ2機を投入。試験運用中の第三世代機グラディヴスも事故船の安定化に参加しました。二点から船体を保持して接舷経路を確保し、専門救難隊と医療班が負傷者を収容しています』


 映像には、船首を開いて近づくカリガが映っていた。

 自分たちの機体は、長い貨物船の両端近くに小さく見える。グレアムは、その間を通っていった担架を思い出した。


「パティ、運用報告は?」


「提出済みです。大型船の保持と多機連携の記録も、試験・運用報告に含めてAOEへ送っています」


「わかった」


 パティが受領の付いた欄を示し、端末を閉じた。


 ニュースは固定設備の話へ移っていた。


『同型の固定設備を持つ船では緊急点検が始まっており、検査手順の見直しも進められています。事故直後には相次ぐテロ事件との関連を疑う声もありましたが、今回の調査では人為的工作との関連は否定されました』


 ダリオは点検対象となる設備の一覧を開き、事故の報告と一緒に端末へ残した。

 グレアムも事故調査の報告を閉じる。


『船体の損傷規模に比べて負傷者が多かった今回の事故では、迅速な外部安定化と接舷、その後の医療搬送が行われました。事故を防ぐ設備の点検とともに、発生後の被害を抑える救難体制の整備も引き続き求められます』


 画面に、負傷者17名、死亡者0の数字が残った。

 次いで、通常の港湾運航情報へ切り替わる。


『今夜は廃棄物デブリによる流星が、エリシウム平原では観測されそうです。当該地区を通過予定の方は、軌道情報にお気をつけください』


 グレアムはカップを持ち上げた。

 今度は、冷める前に飲むことができた。

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