第三話 逆転の発想
ソフィアが戻ってくる10歳まで、冒険者になる事を決めた。
善は急げ、というやつだ。今日から冒険者ギルドに行って、活動を始めよう。
ーーー冒険者ギルド内ーーー
冒険者ギルド内は、昔ソフィアといった時とあまり変わらず、屈強な男たちがたくさん集まっていた。
中を進んでいくと、覚えのある人が何人かいた。
一際目を引いたのは、前にソフィアと決闘をしていた青年だ。
彼もこちらに気づいてくれたらしく、話しかけてくれた。
「今日はソフィアさんはいないの?」
「うん、ソフィアは今、父の件でちょっと表に出ることができないんだ…」
そういうと、彼は何かを察したように話題を変えた。
「そうだ!今日は何しにきたの?」
「僕、今日から冒険者として活動しようと思っているんだ!」
「え…?」
「君今いくつだっけ…?」
「はっさい!!!」
ムフーという顔をしながら自信満々の声でいうと、
「こ・こ・は 子供の来るところじゃありません!」
そう言いながら彼は、僕の背中をヒョイと掴んで外に追い出した。
冒険者として活動すると決めた建前、バツが悪く、少し意地を張ってしまった僕は、
「お兄さんよりも!強かったら!!冒険者やってもいいでしょ!!!」と少しムキになりながらいった。
「ほぉ〜言うねぇ〜」そういって青年は少し考えながら言った。
「流石に俺に勝つってのはいくらなんでもきびしいと思うから、俺に一撃入れたら、推薦してやるよ」
「言ったね〜」
「じゃあ早速やろうか。」
そうして僕たちはソフィアたちと降った、懐かしい階段を進み、訓練場へとついた。
「君、名前カイ…だっけ?」
「うん!カイロス・ラトレア」
「そういえばお兄さんの名前聞いてなかった!」
「俺は、ノーツだ。」
そう言ったやりとりをしていると、ギャラリーが集まってきた。
見たところ、全員がノーツ目当てで来ているらしい。
どうやらノーツは、ここではかなりの有名人らしい…周りを見渡すと、昔ソフィアの魔法の解説をしてくれたおじさんがいた。
おじさんは僕を見るなり、あまりいい顔はしていなかった。
当然だ、世間的に見れば、罪こそ犯してはいないものの、国家転覆罪の首謀者の息子という事を知っている人物からすれば、当然と言える反応なのだ。
そういえば、ノーツは僕の素性を知っているにも関わらず、昔のように接してくれた…いい奴だなぁ
「カイ、そろそろやろうか。」
「うん…!」
「ソフィアさんの弟子だからって、手加減はしないよ!全力でかかってきな!!」
その言葉を聞き僕は走り出した。
側から見れば、勝算のない戦いなのは、誰の目から見ても明らかだ。
だが僕には、一つだけ秘策がある。
それは、土と風の混成魔術、「第三層、マジックスモーク」
この魔術は、周辺に大きな土煙をだし、その後多数の場所で、魔力を発生させるという、僕がこの数ヶ月の間に編み出した。必殺技だ。
必殺技といっても、どちらかといえば初見殺し感は否めないのだが、そんなことはどうだっていい。
この技を思いついたのは一年前、ソフィアに座学を教えてもらっている時、「魔術師及び格闘家、は二つの目で敵を見るのです!!」といっていた。
それを聞いた時(そりゃ片目では見ないだろう…)とか思ったりしたんだが、
どうやらそういうことではなく、
視覚と魔力探知によって敵の位置を察するらしい。
つまり、煙で視覚を奪い、たくさんの場所で魔力を発生させれば、魔力探知も狂わせれるんじゃないかと思い考案した。
正直これを思いついた時、自分は天才なのか?とか少し思っちゃったりした。
今思うと、少し恥ずかしい…
だが思いついたはいいものの、これが難しかった。
混成魔術で煙を発生させるのは、自分の父が魔術に秀でていたため、あまり苦労はしなかった。
でも魔力をだけを発生させるのは難しかった。
魔力だけを発生させようとすると、何らかの属性を帯びてしまい、それが人じゃないと区別されてしまうため、実用化には至らなかった。
だが試行錯誤を繰り返し、属性を帯びてしまうのなら、
自分もその属性を付けてしまえばいいじゃないかという逆転の発想に至り、
自身に風属性を帯させることで実用化に成功した。
話は戻り、ノーツとの戦いだ。




