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繋がりました

 五人がリビングに集まった。

「整理しましょう」冷めたコーヒーを一口飲むと、赤沢が立ち上がった。

「第一の殺人──神崎さんが亡くなった夜。リビングにいたのは、白石さん、桑原さん、私の三人。アリバイがあるのは桑原さんと私です」

「第二の殺人──黒木さんが亡くなった夜。リビングにいたのは桑原さんと氷室さん。アリバイがあるのはこの二人」

「第三の殺人──白石さんが亡くなった昨夜。森川さんと若月さんは完全に隔離されていた。アリバイがあるのはこの二人」

「つまり」氷室が続けた。「ここにいる五人、全員にアリバイがある。犯人は外部犯以外にあり得ない」

「そういうことになるな」桑原が同意する。

「申し訳ございませんが、必ずしもそうとは言えないかと存じます」森川が言う。「私と若月さんは密室に隔離されておりました。アリバイとしては完璧でございます。一方で、あなた方三人のアリバイは完璧ではない──それはあなた方も以前認めていらっしゃった」


「待ってくれ」桑原が額に手を当てた。「俺は誓って言うが──第二の夜、氷室さんとはずっと将棋を指してた。一睡もしてねえ」

「私も同じです」氷室が頷く。

「それと」桑原が少し間を置いた。「第一の夜のこと──正直に話す」

 全員の目が桑原に向く。

「白石さんは、俺たちが二時間交代と決めたところを、四時間以上寝てしまった。だから代わりに俺は一睡もせずに起きていた。そして誰も、赤沢さんも、リビングから一切動かなかった。それは確かだ」

「……なぜ今まで言わなかったのですか」森川が問う。

「白石さんが起きずに寝ていたと言えば、彼女が責められる。そして、三人のアリバイが崩れるという話になる。それを避けたかった。だが──今は正直に言う必要がある」

 氷室が続けた。「桑原さんを信じます。第一と第二、二つの事件にアリバイがある。犯人なら、私や赤沢さんが疑われた方が都合がいいのに、わざわざ自分の首を絞めるような話をする必要がない」

「確かにそうですね」森川がゆっくりと頷いた。

「もう一度、この山荘を隅から隅まで調べて、外部犯の可能性がないか徹底的に確認いたしましょう」赤沢が言った。「五人全員で」


* * *


 五人は固まって山荘の中を歩いた。

 一部屋ずつ、一か所ずつ確認していく。

 神崎の部屋に入ったときだった。

「これは──」森川が声を上げた。

 窓ガラスが割れていた。端が細かく砕け、外から雨が吹き込んでいる。床に水が滲み、枯れ葉が一枚舞い込んでいた。

「外部から侵入した跡」若月が呟く。「外部犯が──」

「いや、待て。これはただ部屋の中から窓ガラスを壊しただけのように見えるぞ」桑原が言う。

 森川がしゃがみ込んで調べながら言う。「そうですね。外から入ってきたのであれば、泥が付くはず……掃除した痕跡もありません」

 赤沢が床を見つめながら言う。「そこまで丁寧な仕事をする犯人という可能性もありますが──」

「──どちらとも断定できませんね。他の場所も捜索しましょう」氷室が腰を上げて言った。

 五人は顔を合わせて頷いた。


 続けて瞑想室を注意深く調べていると、天井付近の棚に何かが取り付けられているのを若月が見つけた。

「あれは──」若月が棚に向かって目を細めた。

「監視カメラ──?」

 若月の視線の先を見て、全員の体が固まった。

「あんなものは設置した覚えがございません」森川が眉をひそめ、険しい顔になった。

「おいおい、誰が置いたんだ」桑原が言う。

「全部、見られてたってこと──?」若月の声が震えた。

 カメラは注意深く見ないと見つからない位置にセッティングされていたが、アングルはガラス越しにリビング全体を広く捉えている。

 森川が無言で椅子を引きずってきた。その上に乗り、カメラへ手を伸ばす。全員が息を止めた。まるで爆発物を扱うような慎重さで、森川がカメラを棚から取り出した。

 録画中の赤いランプが点灯している。

 裏側を確認する。有線コードはない。小型のレコーダーが内蔵されていた。SDカード式の記録機構だ。

 少しカメラを調べた後で、森川が説明する。

「まずこの監視カメラですが、リモートで見るのは不可能です。この山荘は携帯などの通信電波は届かない。衛星通信なら可能ですが、専用のアンテナが必要で、そのアンテナはこのカメラにない。またご覧の通り、有線でもどこにも繋がっていないので、遠隔で監視するのは不可能です」

「なるほど、ならこの監視カメラは役に立たねえってわけだな」桑原が言う。

「はい。外からの監視カメラとしては役に立ちません。ただ録画データは保存されています」

「なんだって! それなら犯人が映ってる可能性もあるのか?」桑原が息巻く。

「すぐに見るべきです」氷室が言う。

「繋いでみましょう」赤沢が言った。「映像が残っているなら──何か分かるかもしれない」

「賛成です」若月が頷く。

 森川が山荘備品のノートパソコンを持ってきた。接続コードを差し込む。その様子を他の四人が見守る。


「繋がりました」

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