02 潰してやったけど……
最近、成金どもが目障りだった。
だから、適当に一つ、潰してやろうと思っていた。
見つけたのが――あの家だ。
最初は、ただの暇つぶしのつもりだった。
だが、一緒に過ごしてみれば、それなりに面白かった。
だから、そのままでもよかった。
……向こうが、踏み越えてこなければ。
やってくれた。
こちらの線を、平然と越えてきた。
なら、話は簡単だ。
容赦なく潰すだけ。
手広くやっていた商会も、あっという間に縮んだ。
取引は止まり、信用は落ち、気づけば――元の路地裏だ。
一度、様子を見に行った。
落ちぶれて、惨めにやっているかと思ったが――違った。
「野菜は娘の嫁ぎ先から回してもらってるんですよ」
「菓子もね、あの子のところで作ったやつで」
……なるほど。
細くなったが、流れは切れていない。
むしろ、無駄が削げて、綺麗に回っている。
娘は店先に立ち、笑っていた。
看板娘としては、悪くない。
――さすがに、商売は上手い。
しばらく見て、踵を返した。
潰したはずなのに、あれはあれで成り立っている。
……まあ、いいか。
なんだか――
いいことをしたような気分になった。
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春の避暑地でと同じ世界感のおはなしです。
春の避暑地で https://ncode.syosetu.com/n2518lx/
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