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契約その228 何するの!?夏休みfinal!

 七月も下旬に入り、晴夢学園も夏休みに入った。


 意気揚々と帰宅したユニは、早速みんなに夏休みは何をするのか聞いてみる事にした。


 手始めに、ユニは紫音の部屋を訪れる。


「わしはとにかく、8月のハワイへ向けての準備じゃな……。現地の研究者と色々情報交換せんと……」


 そう言いつつ、紫音は自分のパソコンを取り出して、何やら英語で話し始めるのだった。


 邪魔しちゃ悪いと、ユニはそそくさと部屋を出るのであった。


 そしてリビングには、由理、七海、アキ、アゲハ、藤香、ルア、メイ、モミ、萌絵、みすか、ヒナ、風月、アザエルがいた。


 みんなそれぞれのバイトや仕事場へ出かけて行くらしい。


「私は由理と一緒にこれから部活へ行くんだ。夏休みはほとんど部活だな」


 七海が、由理の肩を持ちながら言う。


 そういえば、由理は「総合陸上部」のマネージャーを兼任していた。


「私とアゲハも、生徒会の引き継ぎだったりで忙しい。それ以外にも私はバイトがあるが……」


「でも!ウチはそれ以外は基本ヒマだから!たくさん遊べるよ!」


 アゲハは身を乗り出しながらユニに言った。


「うん。楽しみにしているよ」


 ユニはそう言いつつ、学校へ行く四人を見送ったのであった。


「僕も仕事があるから……モミ、萌絵、手伝ってくれ」


「了解っ!なのです!」


「あまりやりたくないのですけれど……」


 モミはノリノリ、萌絵はイヤイヤ、藤香の仕事場へ向かうのであった。


「私も仕事っ!」


「ぼくも動画撮らないと」


 ルアとメイも、それぞれの仕事へと向かっていった。


「私は勉強ですっ!百年のブランクを取り戻さないといけませんから!」


 風月も自室へ戻っていった。紫音の祖父からしおねの話を聞き、よりやる気になったらしい。


「おれ様は!とにかくバイトだなっ!キミにもぜひ来てほしいんだけど……」


 仰々しいポーズをつけながら、アザエルが言う。


 曰く、ユニはあそこの店の店長にえらく気に入られたらしく、よく勧誘する様に言われるらしい。


「キミがいいなら、おれも働くけど……」


 それに対しては、ユニはそう言っていた。自分がアザエルの邪魔にならないか、それが心配だったのだ。


 アザエルは、そんなユニの肩を二回叩きながら言う。


「いいに決まってるだろっ!いつでも待ってるから!」


 アザエルはそう言い残すと、意気揚々とバイトに向かっていった。


 みんな、夏休みは精力的に活動していく様である。ここにはいない娘も、それは同様である。


「ねえユニ」


 みんなを見送った後で、ヒナとみすかがユニに話しかけてきた。


「私達、これからショッピング行くんだけど、ヒマなら一緒にどう?」


 ユニに断る理由はなかった。


 三人は、バスに乗って大型ショッピングモールへと出かけた。


 ユニ達が普段利用する「リオン」より大規模な店舗である。


「最近のトレンドはこの色にこの色を合わせる事らしいな。アゲハが言ってた」


 ユニは直筆のメモを見つつ答えた。


 その様子に、ヒナはどことなく釈然としない顔をしていた。


「みすか、この帽子とこのスカンツとかどうだ?」


 ユニは、みすかに帽子とスカンツを見せつつ言った。


「それも……メモですか?」


 みすかが聞く。


「いや、おれ自身が『いい』って思ったやつだ」


「そうですか。よかった……」


 どうやら「メモからの情報で最善を取る」のがイヤな様である。


 二人が知りたいのは最近のトレンドではなく、ユニが自分達に何を着てほしいのか、だという事だ。


「そういう事なら……」


 ユニは自分のメモをポケットにしまう。


「じゃあここからはおれのセンスだな。ダサくて目も当てられないかもだけど……」


「そんな事ないよ!」


「ユニさんのセンスにお任せします!」


 二人は言い合う。



 一時間経ち、三人は服が入った大きな紙袋を横に置き、ベンチで売店のアイスクリームを食べた。


「今年の夏も暑いですからねえ……アイスが染み渡ります……」


 みすかが選んだのはミントのアイスである。


 ミントの青緑と、クリームの白のコントラストがかわいらしい。


「冷房効いてて十分涼しいけど、やっぱり夏はアイスだね」


 ヒナはストロベリーを選んだ様だ。


「はいユニ。あーん」


 ヒナは、自分のアイスをすくってユニに食べさせる。


「あっズルい!私もです!あーん」


 みすかも対抗してか、ユニにアイスを食べさせた。


「うまい!じゃあおれの分も……」


 ユニも、自分のチョコアイスを二人にあーんしてあげたのであった。


「こういう日々が、ずっと続けばいいな……」


 ヒナがふと呟く。みすかも同調する様に頷いていた。


「皆さん、夢や目標に向けて一生懸命で……このままこうしている自分が……何だか情けないです」


「私も、特別頭がいいわけでも、運動ができるわけでも、特別な才能を持つわけでもないから、何を目指していけばいいのかわかんないんだ……」


 二人が悩んでいる。こんな時、何を言えば正解なのか。ユニは考え抜き、そしてそれを自分の言葉で伝える事にした。


「別に、今決めなくたっていいと思うよ。だってまだおれ達は高校生、何だってできるし、何にだってなれるんだ!」


 ユニは立ち上がりつつ言った。


「おれ達の年で自分のやりたい事がしっかり決まってる方が珍しいんだ。これからゆっくり考えても、まだ間に合うと思う。それに……」


 ユニは二人に顔を近づけて言った。


「だからその……おれがついてる!失敗しても、また一緒にやり直そうよ!」


 ちょっとキザだったか……ユニはそう思って少し照れる。


「あは……あはははは!」


 それを聞いた二人は、突然笑い出した。


「確かにその通りかも!一人一人のペースがある!確かにそうだ!あっはっは!」


「悩んでた自分がバカらしく思えてきますね!ユニさんとなら、何とかなりそうな気がします」


「あは……よかった……」


 ユニはほっと胸を撫で下ろした。


「さてと!次はどこ行きましょうか!」


 アイスを食べ終わったみすかが、勢いよく立ち上がった。


「カラオケ……ボーリングとか?まあ、その時の気分で!」


 ついでヒナも立ち上がる。


「さあ!一緒に行きましょう!王子様!」


 ユニは差し出された二人の手を取ると、また三人でどこかに出かけるのであった。


 ユニ達の夏休みは、まだ始まったばかりである。


 悪魔との契約条項 第二百二十八条

若者には、無限の可能性がある。

読んで下さりありがとうございます。

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