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令嬢たちのざまぁコレクション(大体一話完結/短編集)  作者: リーシャ


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79/97

79魔力なしと家族から弾かれて追い出されたけれど実は誰よりも強かったみたい。あの、あなたたちってわたしより強いって言ってましたよね?あれ?よく聞き取れません。もう一度行って見てくれませんか?はっきりと

追放

 花のように美しいと謳われた王国の第一王女。しかし、美貌とは裏腹に冷遇の日々を送っていた。

 理由はただ一つ、魔力が低いということ。魔法が生活の基盤となるこの世界で、魔力を持たない者は役立たずと見なされる。特に次期王位を争う兄と妹にとっては邪魔な存在でしかなかったらしい。


 ある夜、ルナミリアは突然王宮から追放される。いや、当然ではなくただの予定消化かもしれない。


「お前のような出来損ないに王家の血を引く資格はない!」


 冷たい言葉と共に僅かな金貨と粗末な衣だけを与えられ、夜の森に置き去りにされた。獣の咆哮が響く暗闇の中、ルナミリアは絶望に打ちひしがれていた。どれほど彷徨っただろうか。


 疲労困憊し、倒れ込んだルナミリアを拾ったのは一匹の銀狼。警戒しながらも近づいてきた狼の瞳には不思議な優しさがある。

 狼は安全な洞窟へと導き、分け与えるように獲物を置いた。言葉は通じなくとも温かさに安堵感を覚えた。


 数日後、洞窟に一人の青年が現れた。漆黒の髪に、星を閉じ込めたような深い青色の瞳を持つ彼は自らをラジアスと名乗った。

 森の奥深くで隠遁生活を送る星術師だという。ルナミリアの身の上を聞いたラジアスは憐れむでもなく。


「君にはまだ見ぬ力があるかもしれない」


 ラジアスの元での生活は厳しかった。魔力を持たないルナミリアに座学を中心に星の知識、古代文字、薬草学などを教え込んだ。


 最初は戸惑うことばかりだったが持ち前の聡明さと、見返してやりたいという強い意志で貪欲に知識を吸収していった。

 ラジアスは時折、剣術の基礎も教えた。魔力がないならば己の身を守る術を身につける必要があると。


 数年が経ち、弱々しい王女から見違えるほど成長した。星の知識は驚くほど深く、薬草の調合においても目覚ましい才能を発揮する。剣術の腕も実戦で通用するほどに。


 ラジアスは成長をじっくり見守り、時折、難しい顔で空を見上げたルナミリアに言う。


「そろそろ、君は自分の道を行くべき時が来た。君が学んだことは必ず君の力になるだろう」


 そして、一枚の古びた羊皮紙を渡した。遥か昔に滅びたとされる古代王国の地図。


「この先に、君の求めるものがあるかもしれない」


 別れを告げ、ルナミリアは一人旅に出た。道中、様々な困難に直面したが教わった知識と狼との触れ合いで培った自然を読み解く力、諦めない強い心で乗り越える。


 古地図に記された場所に辿り着いたそこには、忘れ去られた巨大な天文台がひっそりと佇んでいた。天文台の中で驚くべき事実を知る。

 体には微弱ながらも特別な星の魔力が宿っていたのだ。失われた古代の力であり、使い方を知る者がいなかっただけだったらしい。


 天文台に残された古文書を解読することで自身の魔力を制御し、増幅させる方法を学んだ瞳は星の光を入れたように輝き始めた。


 数ヶ月後、故郷の王国へと戻ってきた。以前の粗末な身なりとは異なり洗練された美しい装いを身につけ、確固たる自信がある。王都に入ると姿はすぐに噂になった。


「あれは。ルナミリア王女様ではないか?」


 王宮に足を踏み入れたルナミリアを元家族たちは驚愕の表情で見つめた。蔑みながら追放した兄と妹は信じられないといった顔で、ルナミリアを見つめる。


「まあ、ルナミリア。よくもまあ、生きて帰ってきたわね」


 妹のイレーナが嘲笑する。


「みっともない姿で一体何をしに?」


 冷たい眼差しでイレーナらを見返す。


「権利を取り戻しに来たのです」


 言葉に王は訝しむ。


「お前に何の権利があるというのだ、役立たずの娘よ!」


 ゆっくりと掌を天に向けると、手のひらの上で眩いばかりの星の光が輝き始めた。王国では誰も見たことのない神秘的な力。


「私の魔力はあなたたちが理解できないほど強大なの」


 ルナミリアは笑う。


「あなたたちは真の力を見誤った。追い出したことを今、後悔させる」


 星の魔力を使って王国の政治の腐敗や、兄妹たちの不正を次々と暴いていった。圧倒的な知識と力、民を思う心は次第に多くの支持を集めていく。

 蔑んだ者たちは変貌ぶりに言葉を失い、恐怖に震えた。王は自らの不明を悟り、兄と妹は権力を失い、失脚。


 そして、ルナミリアは新たな女王として、王国に迎えられた。星の知識と慈愛の心で国を豊かにし、民を幸せへとしていく。拾い、導いてくれた銀狼は今も傍で静かに寄り添っている。ラジアスは遠くから星空を見上げ、微笑んでいることだろう。


 女王として即位したルナミリアは卓越した知識と温かい人柄で、王国を着実に導いていた。荒廃していた国土は肥沃になり、貧しい人々にも平等に光が差す。


 支えるのは、宰相となった星術師ラジアスと、近衛騎士団長を務める銀狼の化身、レイ。

 レイは普段は美しい青年として傍に控え、有事の際には鋭い牙と爪を持つ狼へと姿を変え、彼女を守護する。

 レイの間には言葉を超えた深い絆が育まれていた。共に困難を乗り越え、互いを理解し支え合う中で二人の心は深く結ばれていたのだ。しかし、女王としての責務は重く、二人がゆっくりと語り合う時間はなかなか取れなかった。


 そんなある日、ルナミリアの元に北方の異民族からの使者が訪れ、彼らは豊かな鉱物資源を持つ代わりに厳しい自然環境の中で暮らしており、近年、謎の病に苦しんでいるという。


 使者は星の知識と薬草の知識に希望を託し、助けを求めてきたのだそう。民を救いたいという強い思いはラジアスとレイも同じだった。しかし、北方の地は長く交流が途絶えており危険も伴う。周囲の臣下たちは反対したが決意は固かった。


「苦しむ人々を見捨てることはできません。私たちが学んだ知識は、人々のためにこそ使うべきなのです」


 ラジアスとレイ、そして少数精鋭の護衛騎士団と共に北の地へと旅立つ。

 長く険しい道のりの中、一行は様々な困難に遭遇。厳しい寒さ、予測不能な天候、力を恐れる者たちによる刺客。その度に、レイは狼の姿で先頭に立ち鋭い感覚で危険を察知し、ルナミリアを守った。


 ラジアスは古代の知識と冷静な判断力で一行を導く。北の地に到着したルナミリアは、病に苦しむ人を目の当たりにし、心を痛めすぐに調査を開始しラジアスと共に原因の究明に奔走した。

 病の原因は、地下深くから湧き出る特殊な鉱物に含まれる毒素であることが判明する。


 ラジアスの助けを借り、毒素を中和する薬草の調合に成功し調合した薬は、たちまち病に苦しむ人を救う。異民族の間に感謝と尊敬の念が広がった。鉱物との共存する方法、衛生管理の知識を教え、持続可能な発展のための礎を築かせる。


 異民族との交流を通じて新たな視点を得た。異なる文化を持つ人々との相互理解の大切さ、世界は自らの王国だけではないという広がり。心は、女王としてだけでなく、一人の人間としても大きく成長していったのだった。


 故郷に戻ったルナミリアを待っていたのは民の温かい歓迎。功績は広く知れ渡り、名声は国境を越えて響くようになっていたらしく、王国の礎は盤石となる。


 平和な日々が続いていたが心には、常にレイの存在があった。星が最も美しく輝く夜、レイと共に王宮の庭園を散歩していた。静寂の中、手を握る。


「レイ。あなたは、かけがえのない存在です。いつも、傍にいてくれてありがとう」


 レイは優しく微笑み手を握り返した。


「あなたがいるから、私はここにいられるのです」


 空に一筋の美しい流れ星が尾を引いた。二人は輝きに見惚れながら、互いの瞳を見つめ合う。言葉はなくとも、間には確かな愛が。嬉しくて泣いた。


 数年後、ルナミリアとレイは、多くの民に祝福されながら、静かに愛を誓い合って。女王と伴侶である狼の化身の物語は、王国に新たな伝説として語り継がれることになった。


 新たな命が宿って、子はルナミリアの知性とレイの勇敢さを受け継ぎ、未来の王国を担う存在となるだろう。

 ル自分を追い出した元家族のことなど、ほとんど思い出すことはなかった。彼女の心は愛する人々、未来への希望で満たされていたから。

 星影の下で結ばれた二人はこれからも王国を照らし続け、新たな夜明けを導いていくことだろう。

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