204光は照明だと追放された私は前世知識でレーザーとガンマ線を解放する~日焼け程度で泣きつく妹に真の波長エネルギーを教えてあげましょう。眩しすぎる辺境と影を失った王国~
追放されて八ヶ月。切り拓いた辺境の地フォトン・ラボは、夜でも真昼のように明るい。
だが、それは魔法の光ではない。
光のスキルを応用して作り出した発光ダイオードLEDと太陽光発電パネルによる文明の灯りだ。
「王都からの偵察部隊が門前で全滅しています。死んではいませんが、全員が重度の白内障と皮膚の炎症で動けないようです」
「研究所に許可なく近づくから。あそこには強力な紫外線というUVを集中させているエリアがあるって、看板を出しておいたのに」
特製の遮光グラスのサングラスを指で上げ、冷たく笑う。王都では異母妹であるケネーサが慈愛の聖女として崇められていた。光魔法はポワポワと温かく傷を癒やすだけ。
一方、私の光魔法は無色透明で何も起きないと無能扱いされ、国を追い出されたが彼らは知らなかった。
光とは波というウェーブであり、周波数を変えれば単なる照明から、鉄をも断つ刃にも細胞を焼き切る死の光線にもなるということを。
ボロボロになった聖騎士団に担がれ、妹ケネーサと第一王子がやってきたが二人の姿は悲惨だった。ケネーサの透き通るような肌はどす黒く変色し、王子は全身が激しく爛れている。
「リーモア……姉様……っ!助けて……体が、体が熱くて中から焼けるようなの」
「リーモア、ケネーサを救え!無害な光なら呪いを解けるはずだ!」
王子が震える声で叫ぶ。彼らに近づくことなく、観測用のモニター越しに告げた。
「呪いじゃない。ケネーサの魔法が招いた放射線障害」
「……ホウシャセン……って?」
「癒やしの光だと思って振りまいていたエネルギーは、極端に波長が短すぎた。細胞の核……遺伝子というDNAを直接破壊する電離放射線に等しい。自分と王子を毎日少しずつ被曝させていたってこと。毒みたいなもの」
ケネーサの顔が恐怖で青ざめる。
「私の光は死の光だったというの……?」
「そう。対して私が使っていた無害な光は、可視光線と赤外線。エネルギーの波長。周波数をコントロールして、無駄な被曝を防いでいただけ。不浄だの聖女らしくないだのと笑って追い出したのはあなたたちでしょ?」
「た、頼むリーモア!お前なら治せるんだろう!?国中の人間がケネーサの光を浴びて倒れているんだ!」
「無理。DNAの設計図が壊れた人間はもう元には戻らない。……あー、でも、そう。私の研究所にある光免疫療法の試作機なら延命くらいはできるかもしれない。可能性は低いけど」
最新のレーザー治療器を指差した。特定の細胞にだけ反応する光を照射し、内側から病魔を叩く前世の医学知識を応用した超技術だ。
「治療費は王国の全資産と私への国家主権の譲渡。これからは私が国のエネルギーも光も管理する」
「なっ……正気か!?」
「正気。私はすでに光を集約して高出力の収束レーザー砲を完成させている。あれ、空を見て」
指を鳴らすと上空の人工衛星。光魔法で打ち上げた観測機から、一筋の細い光が放たれた。王都の象徴だった巨大な城門が音もなく一瞬で蒸発し、ガラスの塊へと変わる。
「これがあなたがバカにした光の真の姿。波長を揃えた光はどんな魔法の防壁も貫く」
王子とケネーサは光の威力の前に言葉を失って膝をついた。光の聖女としての格差?そんなものは最初から存在しなかった。私が「太陽」であり、彼女たちは光に焼かれる羽虫に過ぎなかったのだから。




