そのXL
もし、自分が死ぬと分かったとき。
私はその人に泣いてほしいのだろうか。笑っていてほしのだろうか。
おそらく、私にとってそれはどちらでもよくて。
大事なのは、その人がそばにいてくれるかどうかだけ。
それだけで、私が生きている証拠が残るからさ。
毎週日曜日に投稿しています。よろしくお願いします。
耐えがたいほどの重たく鈍い衝撃と。
体を砕くほどの強く尖った圧迫。
それを見た人なら分かるであろう刹那の出来事。
それは人の体を破壊し、同時に心の器を粉砕する生存の否定。
さっきまで映っていた彼女は、瞬きでも間に合わないほどの速さで私の視界から消え去り、代わりに私には空が視野いっぱいを埋め尽くす。
あぁ、どこか体がふわふわする……。感覚がない。
生きている実感がない。
だんだんと目の前の景色の色彩が失い始める。
先程までの浮遊感は解放されると一緒に全身が激しく地面に打ち付けられる。
あぁ……ダメだ。この世界はこんなにも侘しい色をしていたのか……早く筆を手に取らないと……。
だけどそれも叶わない。私の体はぴくりとも言うことを聞いてくれなくて……。
さらにはどんどんと体の内部から寒くなってくる。今日、家を出たときはそんな風にも思わなかったのにな……明日はもう少し厚着をしようか。
…………明日? 明日っていつ?
あれ、今ってなに? 今って今日ってこと?
どうしよう……まだ今日だ。早く寝ないと明日にならないじゃないか。
そうだ、なら早く寝てしまおう……ん? なんだ?
体がぐらぐらと揺れる。なに? 地震?
あ、そうだ……愛歌。愛歌……大丈夫かな? 地震きてるよ。怖がってないかな……。
私は動かない首をどうすることもできず、目玉だけをぐるぐると回す。
あ……愛歌いるじゃん。でもなにしてるの?
愛歌は私の体を触っている? ダメだよ地震がきてるんだから早く逃げないと……あぁ、でもなんか声がでないや。てか愛歌、なにか叫んでる? 口がすごい動いてるけど声がでてないよ……え、あれ? あ、そっか……私、耳が聞こえてないんだ。
ごめんね愛歌。私ちょっと眠たくて愛歌がなに言ってるか分かんないや。
それを伝えることもできない。
かろうじて視線の先にいる愛歌をずっと見つめる。
愛歌には白と黒しか色がなかった。
なんでだろ……今日はあんなにも綺麗な服を着てたはずなのにな……あれ? てか愛歌その服汚れてない?
全体的に白いワンピースの服に、所々黒い箇所が見つかる。それはなんの色? あぁ……もう分かんないや。
なんかさっきから体が寒いし動かないし、機能してないし、もう私疲れてるのかな……。
たぶん久しぶりにこんなに歩いたからへばっちゃったんだよね。あぁ、明日からはもうちょっとだけでも運動しなきゃな。
…………あれ? 明日? 明日ってどうやったらくるの?
このまま寝たらくるのかな? たぶんここさ、私のベッドじゃないんだけど大丈夫かな?
それに、次に目を覚ましたら次はちゃんと動けるのかな? もう疲れてないのかな……?
はぁ……でも、もういっか一回休もう。とりあえず今はなにもできないしどっちにしろ寝てしまおう。
そして今度起きたらは、ちゃんと起きれるようにそのとき頑張ろう。
今はもう……頑張る元気もないからさ。
だから愛歌、ごめんだけど私少しだけここで休んでいくよ。あ、もしよかったら愛歌も一緒する? はは……うそうそ。もう放っておいていいよ。
なんかさ、ちょっと疲れすぎたみたいで。
今寝たら当分起きれそうになさそうなんだよね……。
だから愛歌は先に帰って…………あれ?
愛歌どうしたの? 泣いてるの?
どうしてそんなにも涙を流しているの? それになにか私にすごい話しかけてるみたいだけど。
……それよりもさ。
愛歌。なんで涙がそんなにも透明なの?
声も出せず、その雫を拭う手も動かず、私に許されたのは。
ただ静かにその瞼を閉じて、世界に鍵をするのみだった。
そこで目を覚ますには、ひどく生きた心地がしなかった。
目は開いているようで、自分の感覚じゃない。
地に足をついているようで、下に俯けばそこは真っ白な一面のみで、まるで真っ新なキャンバスそのもの。
どこかも分からず、なにもなく、ただその箱に閉じ込められているかのよう……。
手は動く、体は回る。そういえば、最初から全身は起き上がっていて、寝転がっていなかった。
……なにがなんのやら。あべこべであやふやだ。
どこを見ても純白の景色が広がるだけ。
「なに……ここ」
声がでた。自分の声が聞こえた。
私自身、自らの意志で好きな言葉も行動も選べる。
でも、どうも自分の体じゃないみたいで、操り人形で遊んでいるみたいだった。
あぁ、そうか……これはいわゆる。
「明晰夢ってやつなのか」
「ううん……それとはちょっと違うかもしれない」
私の独り言だと思っていたぼやきに、答える女性の声。
はっと振り向く。そこには女性のシルエットをした物体が一つ。
いや、おそらくは人だ。人の形をしているんだから。
でも、色がない。真っ黒な女性の形をした不気味な存在がそこにはあった。
真っ白な世界に、真っ黒な人。
じゃあ私は今、どんな風に見えているのだろうか?
しかし女性は私を見てもなにも言わず、代わりにこんな言葉を残した。
「心と魂は一緒の場所にあると思うんだよ」
その並んだ言葉を耳にしたとき、私はひどく驚き、鳥肌が止まらなかった。
どうも雨水雄です。
先週は日曜日に投稿すると豪語しておきながら大失態をしてしまい……え? あれも29寺に投稿したことにすればまだ日曜日だったって? あ、じゃあ間に合ってるじゃん!
……とか言い訳せずに、はい。すみませんでした。
ということで今週はしっかり時間を守ってお送りさせていただきます。ええ、来週も当然守って見せますよ!
さてさて、ここでまぁ毎度の日記を綴ろうかと思うのです。まぁ今週は普通に映画に行っただけですが。
「鹿の王」観てきましたよ。スタッフが豪華で期待るんるんで映画館で観てきましたが、内容も大変素敵でしたね。すごく個性が活かされていて、長所が随所で活躍しているのは観る楽しさがありました。起承転結は分かりやすかったので、考える楽しさというよりも本当に視覚で刺激をばんばんもらいましたよ!
雨水も最近は色々な方向で物語を描くように挑戦しているので、どんどん長所を伸ばせたらな……なんて思ったりしてます。
あ、あとちょっとフライングしますが、ハッピーバレンタイン! あなたの幸せが誰かを幸せにできることを雨水はここから祈っておりますよ!
というわけで、今週もここまで読んでくださりありがとうございます。
では来週もよければここで。




