ボッチサイコー
吉本寛乃はごく普通の人間嫌いである。毎日一人でご飯を食べ、毎月一人旅をする、齢33の人間嫌いである。今日も今日とて、一人回転寿司に行った後、行きつけのコンビニでタンタンメンとキャラメルを買って家路についていた―――のだが。
キキィイイ!!キ――イイイイイイイイイ!!!
ドガ――――――――――――ん!!ぐわしゃぁああ!!ぶちゅ。
真っ白な空間。吉本寛乃の魂と、女神が対面している。
「吉本寛乃さん、あなたは気の毒ですが人生を終えてしまいました。転生してもらいます。」
「はあ。」
「あなたにはチートをお一つ差し上げます。ステータスをご確認ください。」
吉本寛乃(33)
レベル10
称号:転生者
保有スキル:ボッチサイコー
HP:20
MP:12
「というわけで、いきなり草原に放り出されたと、ふーん。」
べよん、べよん。
水色の、ぶよぶよした丸い塊が人間嫌いの前に現れた!
「スライム…。」
うろたえない、人間嫌い。
「保有スキルは、ボッチサイコー?そうね、ぼっちはめっちゃ気が楽だからね。」
スライムはそうだなあと思った。
「じゃあね、お互いぼっちで生きていこう、じゃ。」
人間嫌いは、そのまま草原に消えたが、後日湖の畔で息絶えているのをスライムが見つけて捕食した。
「う、うーん???なんか夢でも見ていたような??」
人間嫌いは時間を巻き戻されて、コンビニ入り口に立っていた。コンビニに入る前に、ちょっとだけ時空がゆがんだのだが、それに気づく様子はない。
人間嫌いはタンタンメンとキャラメルを買って家路についた。家の近くの交差点で、車の暴走事故が発生していた。
「もう少し早くここを通ったら、人生終わってた、か。」
人間嫌いは、極力人との係わり合いを避けて一人で生きていましたが、ある時ふと自分以外にもぼっちを愛する人がいるんじゃないかと思い立ちSNSでぼっち募集をかけたところずいぶんぼっち仲間が増えて、気が付いたらぼっちを愛する集団にどっぷり浸かっており、最終的にはたくさんの仲良しとわいわい過ごして75歳でこの世を去ったということです。




