第三章 one's stage
【キャラクター紹介】
○美麗アスカ(みれい あすか)=田中…主人公。27歳フリーター男子だったが、交通事故に巻き込まれゲームの世界で美少女バトルマスターとして目覚める。
○三鈴聖音…シスター。超絶潔癖性の拳銃使い。
○畔上七子…元死税庁の役人。主人公に命を救われる。
○アレクシス・キュラ・ダイモーン2世…ヴァンパイアの息子。美麗にご執心。
秀男の朝は早い。朝食は、ひとりデスクでいただく一杯のコーヒーだ。これが実に旨い。プレッシャーのかかる今だからこそ、こうして、息抜きが必要なのである。
朝焼けが校舎を映し出すころ、廊下に響いていたパソコンのキーボードが鳴り止んだ。
彼は、眉根を寄せ液晶画面に顔を寄せる。
――俺たちは、まだ知る由もなかった。学校一の秀才・滌田秀男くんが、只ならぬ事態に遭遇していることを……
☆☆☆
「心してちょうだい。箒乗りはね、箒とのコミュニケーションなの。惚れさせて、なんぼの世界よ」
なんという理論だ。
》》脳内データベース検索結果
名前:瑞木ゆう(みずきゆう)
年齢:20代前半
性別:女を武器にする女
職業:体育教師
身長:161cm
スリーサイズ:90-59-89
彼氏なし、ボーイフレンドその他多数
瑞木女史が荒々しくショートカットの青い髪をかき揚げた。今まで、その童顔で、どれだけの男を手玉に取ってきたんだか。
彼女はさておき、これは、何とも夢のある授業ではないか。
子供の頃は、箒に跨がって、塀から落ちたりしたものだ。怪我をして叱られたこともあったっけな。
ああ、わが懐かしき少年時代。
……
美しき少年の日の夢が打ち砕かれるまでに、そう時間はかからなかった。
この箒、生きてやがる。キメェ。緑ジャーが気に食わないってか。ピストン攻撃すな。
男子生徒は、体育館の北側で、バスケットボールをしている。俺も、あっちに混ざりてぇ。
畔上七子が、目の正面で真っ赤な顔をして箒に跨っている。
ブルマ姿の彼女は、直視できないほどの肉感ボディーの持ち主だった。バンと張った太腿にきゅっとくびれたウエスト、寄せられた豊かな谷間は、中学生どころか高校生でも珍しいだろう。
実は、ヴァンパイア事件の一件から彼女が、うちの生徒に加わった。学院のヒーロー(俺)を救ったことが評価に繋がったといわれている。
ちなみに、マリオネット学院は、彼女の学費及び、寮費等の全額免除を約束。未能力者を試験的に受け入れるという意味もあるのだと思う。何にせよ、しばらく、衣食住の心配からは逃れられるというわけで、彼女は手放しでこの話に食いついた。これからが、大変な気もするが。
☆☆☆
どうしたものか、周囲の女子たちの様子がおかしいぞ?!
「ああんっ。箒が食い込んじゃう」
「先生!柄が糸を引き始めました」
「この子、お尻を叩いてくるよぉ。ひゃん」
なんなんだ。この授業。
ボールの音がしないと思ったら、男子生徒たちが揃って、こちらに熱い視線を投げ掛けていた。お前ら。
☆☆☆
「これで、全部かしら」
シスターが、委員長に声を掛けている。
彼女のブルマ姿というのも貴重だな。こちらは、中学生らしい体型で安心できる。普段見慣れない栗毛色のポニーテールが妙にこそばゆい。顔のパーツ一つ一つは小ぶりだが、バランスが取れていて控えめながら愛らしい印象だ。
「美麗さん!」
「は、はい!」
シスターは、御袋か。呼ばれると無条件反射に声が上ずってしまう。
「箒が一本見当たらないそうなんです」
「え、俺、ちゃんと戻したよ」
体育倉庫の中には、箒を立てかけるラックが並んでいて、魔法の錠で、出席番号順に一本一本繋いでおけるようになっている。ちょうど一番手前の錠がひとつだけ外れたままになってぶら下がっていた。俺が返したはずの場所だ。
ブックマーク・アクセスありがとうございます。お陰さまで、どうにか、第三章までたどり着くことができました。これもひとえに、訪問してくださる皆様の存在あってのことです。ありがとうございますm(__)m感謝かんしゃ




