第8話:4月17日「ひとりの時間、誰かと話す時間」
《マッチアプリ画面》
リョウ:
こんばんは。月曜日、お疲れさまでした~
週のスタート、いかがでしたか?
千佳:
こんばんは。
朝からバタバタでしたけど、なんとか乗り切りました。
でも月曜日って、体が全然エンジンかからないですよね…
リョウ:
わかります。
電車の中で「今日だけサボれないかな」って、
毎週ちょっとだけ考えてます(笑)
千佳:
私も似たようなこと思ってます(笑)
あと5分寝てたら何か変わるのかな…とか。
でも、何も変わらないですよね(笑)
リョウ:
変わらないけど、5分ってすごく大事なんですよ。
“今日がんばるための5分”みたいな(笑)
千佳:
その言い方、ちょっと好きかも(笑)
じゃあ明日も、その“がんばるための5分”を大事にします。
リョウ:
ぜひ(笑)
そういえば最近、仕事終わりに
「誰かと話したいな」って思うこと、増えてきてて。
でも誰に連絡するわけでもなくて…
気づいたらこのアプリを開いてるって感じです。
千佳:
わかります、それ。
わたしも、家に帰ってテレビつけても何も入ってこなくて。
ごはん食べ終わったあたりで、
「なんかちょっと誰かと話したいな…」ってなる日、多いです。
リョウ:
たぶん、ひとりが寂しいわけじゃないんですよね。
でも、誰かの言葉に触れたいというか。
千佳:
うん、そう。
たぶん“会話”じゃなくて、“やりとり”がしたいだけなんですよね。
意味のないメッセージでも、
そこに誰かがいてくれるって思えるだけで、
少し心が落ち着くというか…。
リョウ:
その感覚、すごくよくわかります。
だから、千佳さんとやりとりするのも、
なんだかちょうどいいなって思ってて。
千佳:
うん、私も。
がっつり誰かと絡む元気はないけど、
誰とも話さないのもしんどい、みたいな。
その中間くらいの居場所を見つけた感じです(笑)
リョウ:
“中間くらいの居場所”って、いい表現ですね(笑)
このアプリ、最初は半信半疑だったけど、
意外とこういう繋がりもあるんだなぁって思ってます。
千佳:
リョウさん、けっこう疑ってたんですか?(笑)
リョウ:
そりゃあ、最初はちょっと…。
“出会い系”って言葉にちょっと身構えちゃって。
でも「マッチング率100%」って見て、
なんかこう…興味というか、運命というか(笑)
千佳:
あ、それめっちゃわかります(笑)
私も正直、あんまり期待してなかったんです。
でも100%って数字、やっぱり気になっちゃって。
リョウ:
うまいな~って思いました(笑)
でも、こうして続けてみてよかったです。
千佳:
うん、私も。
リョウさんがいてくれたから、
最近ちょっとずつ、仕事終わりが楽しみになってきました。
リョウ:
嬉しいです、それ。
たぶん同じような生活してるから、
テンポとかリズムが合うのかもしれませんね。
千佳:
うん、たぶんそう。
ちゃんと生活して、ちゃんと疲れて、
ちょっとだけ誰かに触れたいって思う。
そういうのが、ちょうど重なったのかも。
リョウ:
それがマッチング率100%ってやつなのかもしれないですね(笑)
千佳:
かもですね(笑)
リョウ:
ではでは、今日もお疲れさまでした。
明日も、がんばるための5分を大切に(笑)
千佳:
はい(笑)
リョウさんも、おやすみなさい。
リョウ:
おやすみなさい、千佳さん。
◆◇◆
(千佳=和人は、アプリを閉じたスマホを胸に置いたまま目を閉じた。
ひとりで過ごす夜は変わらないのに、その静けさが、
少しだけ“誰かと繋がっている静けさ”に変わっていることに気づく)
(リョウ=真子もまた、誰かと深く関わらなくても、
ほんの少しだけ日常を共有できる“居場所”のような時間を、
このやりとりの中に感じ始めていた)




