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マッチ率100%の二人だが、君は彼女で私は彼だった  作者: naomikoryo


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第5話:4月14日「愚痴っていいんだ」

《マッチアプリ画面》


リョウ:

こんばんは。

今日はちょっとだけ、愚痴ってもいいですか。


千佳:

こんばんは。

もちろん、どうぞ。

むしろそういう話を聞くの、けっこう好きです(笑)


リョウ:

じゃあ、遠慮なく…

今日、同期の同僚(男)と昼ごはん行ったんですけど、

なんか…やたら人のプライベート詮索してきて。


千佳:

あー、いる…

「彼女いるの?」「休日何してんの?」ってやつですか?(笑)


リョウ:

まさにそれ(笑)

「最近、女っ気なさすぎじゃない?」とか言われて、

余計なお世話だって思っちゃいました。


千佳:

なんか、男の人同士の会話って、

ちょっと体育会系なノリになるときありますよね。


リョウ:

そうそう、それ!

別に仲悪いわけじゃないんだけど、

ああいうテンションに合わせるの、最近ちょっとしんどくて…。


千佳:

うん、わかるな。

わたしもこの前、売り場の子に言われたんですよ。

「千佳さんって、休日もおしゃれしてそうですよね~」って。

別に普通の服着てるだけなのに、勝手にハードル上げられる感じがちょっと…。


リョウ:

うわ、それもしんどい(笑)

勝手にキャラ設定されて、それに合わせて振る舞わなきゃいけない感じって、

地味にストレスですよね。


千佳:

うん…。

でも、そういうのってその場で言い返せないんですよね。

「いやいや、普通だよ~」って笑って流すしかなくて。

だからこうして吐き出せる相手がいるの、ちょっと救いかも。


リョウ:

ほんとそれです。

話してるうちに、ちょっと楽になってきました。

ありがとうございます、聞いてもらって。


千佳:

どういたしまして。

リョウさんの愚痴、なんか分かる部分多いから、

聞いてると「あるある」って思っちゃう(笑)


リョウ:

千佳さんって、友達にはこういう話しますか?


千佳:

んー、琴美って子とはたまにしますよ。

同期で、仲良いんです。

でも最近はシフトもバラバラで、なかなか会えなくて。

メッセージだけじゃ伝わらないことって、ありますよね。


(和人:確か、受付にいる女の子がこんな名前だったよな…

一時期、男子社員どもが騒いでたっけ。)



リョウ:

ああ、わかります…。

文字って便利だけど、声のトーンとか、

間とか、表情とか、伝わらないものも多くて。

だから、千佳さんとのやりとりはちょっと特別なんですけどね。


千佳:

お、ちょっと褒め入りました?(笑)


リョウ:

いやいや、ギリセーフのつもりでした(笑)


千佳:

ふふ、OKです(笑)

でも、確かに“ちょうどいい距離”で話せる相手って、

実はなかなかいないかもなって思ってます。


リョウ:

そうですね。

深すぎず、浅すぎず。

無理に盛り上げなくても、何となく話せる感じが。


千佳:

ちょうど今日みたいな感じですね(笑)

愚痴と世間話のミックスみたいな。


リョウ:

こういうのが、一番自然なのかもしれないですね。

ではでは、今日の“愚痴枠”、聞いてくれてありがとうございました。


千佳:

こちらこそ(笑)

リョウさんの愚痴、けっこう好きなので、またいつでもどうぞ~

おやすみなさい。


リョウ:

おやすみなさい、千佳さん。

明日もいい一日になりますように。



◆◇◆


(スマホを置いた真子は、いつもより軽く感じる肩を、ふっと動かした。

誰かに話を聞いてもらうって、こんなに簡単だったっけ。

名前も顔も知らない人にだからこそ、素直になれる──そんな矛盾に、ちょっとだけ笑った)


(和人は、いつもより早く眠気が来ていることに気づいていた。

相手の悩みを“聞く”だけなのに、自分の心まで整う感覚がある。

もしかしてこれは、“理想の女性”を演じているのではなく、

“理想の関係”を味わっているのかもしれない──そんなことを、うっすら考えながら)

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