第4話:4月13日「休日の正解」
《マッチアプリ画面》
リョウ:
こんばんは。今日もお疲れさまでした~。
気づいたら、木曜日。あと一息ですね。
千佳:
こんばんは。
本当に…今週、ちょっと長く感じます(笑)
明日乗り切ったら、やっと土日…。
リョウさんは土日、お休みですか?
リョウ:
一応、土日は休みの予定です。
独身者はゴールデンウィークの連日に出勤なので、
その直近は土日に休み貰えるんです。
でもたまに、催事とか展示会の手伝いで呼ばれたりします。
今回はたぶん大丈夫かなーって思ってるんですけど…。
千佳:
うわ、展示会…。
あれってすごく体力使いませんか?
一度だけ応援で行ったことありますけど、
声ガラガラになりました(笑)
私も全く同じ理由で土日休みなんです。
リョウ:
それ、すごく分かります(笑)
あのテンション、普段出さないからすごく疲れるんですよね。
慣れてる販売スタッフさんたち見てると、ほんと尊敬します。
休日までマッチしちゃってるんですね…(笑)
千佳:
いやいや、売り場もけっこう大変ですよ?
朝礼のあとすぐメイク直して、笑顔つくって、
開店前の空気読んで…みたいな。
正直、オープン前のあの15分がいちばん緊張します。
リョウ:
ああ、なんか想像できるかも…。
あの「準備OK?」って空気が流れるあの時間。
妙にシーンとしてるやつですよね。
千佳:
そうそう(笑)
誰もしゃべってないけど、みんな心の中で構えてる感じ。
開店の音楽が流れる瞬間、何回やってもゾワッとします(笑)
リョウ:
それ、めっちゃリアルだなぁ(笑)
でも、そういう感覚ちゃんと持ってるって、
逆にプロっぽいですよね。
千佳:
あれ、また褒めにきました?(笑)
リョウ:
いや、ただの感想です(笑)
ていうか最近、褒めてばっかだった気がしてて、
自分でもちょっと反省してたところです。
千佳:
気づいてたんだ(笑)
でも、ちょっと面白かったですよ。
「この人、どこまで褒める気なんだろう」って。
リョウ:
やばい、ばれてたか(笑)
じゃあ、今後はもっと自然にします。
ってことで、千佳さんは休日の予定は?
何するか決まってるんですか?
千佳:
今のところ、全く何もですね。
しいて言えば、溜まっている掃除と洗濯を…かな?
土曜はシフト次第では呼び出されるかもだし…。
でも、たぶんどっちもどこにも行かずに終わる予感。
リョウ:
わかる…。
休日って、無限にやることありそうで、
結局だらだらして終わっちゃうんですよね。
千佳:
そう!
朝だけ「今日はあれやって、これやって…」って思うのに、
昼過ぎにはもう「今日はもう休息日ってことでいいか」ってなる(笑)
リョウ:
昼寝しちゃって、起きたら外がオレンジ色になってて、
「あ、終わった…」ってなるパターン(笑)
千佳:
それ、日曜のあるあるすぎます。
あと、SNSで出かけてる人の投稿見て、
「外に出ればよかった…」って少し後悔するやつ。
リョウ:
そうそう。
でも出たら出たで人多くて疲れて、
「家が一番だな」ってなるんですよね(笑)
千佳:
つまり、何しても後悔してる(笑)
リョウ:
たしかに(笑)
でも、誰かとこんな話してると、
何しててもまあいいかって気になりますね。
千佳:
わかります。
誰かに「ダメな日だった」って話せるだけで、
ちょっと救われる感じしますもんね。
リョウ:
ですね。
ということで、今日の千佳さんは何点でした?
自己採点で。
千佳:
えー、55点かな(笑)
疲れてるのに帰りにポテチ買っちゃったし。
晩ごはんポテチで済ませる人間に未来はあるのかと。
リョウ:
それ、70点あげましょう(笑)
未来はあるかはともかく、
今日はちゃんと頑張った人が食べるポテチってことで。
千佳:
それなら、明日はもうちょっとマシな夕飯食べます(笑)
リョウ:
楽しみにしてます。
お互い、明日は少しだけ点数アップ目指しましょう。
千佳:
はい。
ではでは、おやすみなさいリョウさん。
リョウ:
おやすみなさい、千佳さん。
いい休日が近づいてますように。
◆◇◆
(スマホを置いた和人は、ポテチの袋を軽く折りたたんでテーブルに置いた。
不健康な夕食だったはずなのに、なぜか少しだけ、心は軽かった)
(真子は、自分の送信した最後のメッセージを読み返しながら、
ほんの少し微笑んだ。「普通の会話って、こんなにちょうどいいんだ」
誰かと背伸びせずに話せる時間が、日常の中に一つだけ増えていた)




