第19話:4月28日「ひとり時間って、孤独じゃなくて静けさ」
《マッチアプリ画面》
千佳:
こんばんは。
ついにGWが目前ですね~
百貨店勤務にとっては“戦いの始まり”だけど(笑)
リョウ:
こんばんは(笑)
こっちは明日から催事の準備本番です。
休みに入る人たちが浮かれてて、
それ見るたびに“働く組”は妙に静かになってました(笑)
千佳:
分かる~(笑)
レジ締めのとき「明日から〇〇行ってきます!」とか言われると、
こっち、うっかり無の表情になりそうでした(笑)
リョウ:
あはは、想像できる(笑)
でもまあ、連休明けの平日休みって、
人が少ない分、意外と贅沢だったりしますよね。
千佳:
ですね。
どこも空いてるし、
カフェでゆっくりできるし。
実は結構好きだったりします。
リョウ:
千佳さん、カフェで何してるんですか?
読書派?人間観察派?
千佳:
両方ですね(笑)
本読んでて、ふと顔上げたときに、
「向かいの席で書き物してる人は何書いてるんだろう」とか考えたりして。
リョウ:
あー、そういうのいいな(笑)
僕は平日休みの昼間、
なんとなく街歩いてる時の“ゆるさ”が好きで。
人がいない道をのんびり歩くのが至福です。
千佳:
わかります…!
誰にも急かされない感じ、
“時間が味方”って感じがします。
リョウ:
そうそう(笑)
ひとり時間って、
「孤独」じゃなくて「静けさ」なんですよね。
千佳:
……
今の言葉、すごくいいです。
リョウ:
ほんとですか?
ちょっとかっこつけたかなって思ったけど(笑)
千佳:
いえ(笑)
わたし、
リョウさんが時々ふっと言う言葉、
すごく好きです。
(和人:
その言葉が、
“男として言ったもの”であることが、
一瞬だけ、ものすごく苦しくなる。
でも、いまの千佳の反応が、
心の奥まであったかく染みてきてしまった)
(真子:
ああ…まただ。
「リョウ」として話してるのに、
“わたし自身”が好きって言われたような気がしてしまう。
それが、嬉しいのと同時に少しだけ怖くなる)
千佳:
でも、ひとりの時間に何を考えてるかって、
たぶんその人の“本質”が見える気がします。
リョウさんの休日の話って、
なんか、ちゃんとした人だなって思えます。
リョウ:
ありがとうございます。
じゃあ千佳さんの休日の話も、
なんだか落ち着いてて、
ちゃんと「自分を知ってる人」って感じがします。
千佳:
それ、ちょっと嬉しい(笑)
自分のことって、意外と見えないから。
リョウ:
じゃあ、
お互い“自分をちゃんと見てくれる人”がここにいるってことで。
千佳:
うん。
それだけで、
けっこう今日の疲れが取れました(笑)
リョウ:
じゃあ、明日も頑張って働きましょうか(笑)
休日を夢見ながら。
千佳:
戦場へ出陣ですね(笑)
リョウさんも、お気をつけて。
リョウ:
お互いに。
おやすみなさい、千佳さん。
千佳:
おやすみなさい、リョウさん。
次の休日、
何しようか考えながら寝ます(笑)
◆◇◆
(和人は、ふと、数ヶ月前の自分を思い出していた。
“誰かと話す”ということに、
こんなに癒されるとは思っていなかった。
そして今、
その会話をしている相手が“女性ではないかもしれない”という可能性が、
少しずつ現実味を帯びていくのが、
怖いようで…心地よくもあった)
(真子は、スマホを胸に置いたまま、深く息を吐いた。
「リョウ」としての自分は、
千佳にとってどんな存在になってるんだろう。
このまま、“嘘”のままでいられる時間は、
あとどれくらいあるんだろう)




