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マッチ率100%の二人だが、君は彼女で私は彼だった  作者: naomikoryo


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18/29

第18話:4月27日「失敗して、自分に冷たくなった日」

《マッチアプリ画面》


千佳:

今日は、ちょっと落ち込み気味です。

仕事でミスしました…。

しかも、わりと初歩的なやつです。


リョウ:

こんばんは。

大丈夫ですか…?

どんなミスだったんですか?


千佳:

お客様に渡すはずの予約特典、

入れ忘れてしまって。

そのまま帰られて…

数時間後にクレームの電話が来て、

私、完全に固まりました。


リョウ:

ああ、それはきつい…。

お客さんにも悪いし、

何より自分が一番ショックですよね。


千佳:

はい…。

その後、先輩に指摘されて、

「千佳さんらしくないね」って言われて、

それが一番効きました。


リョウ:

わかる…。

責められてるっていうより、

“信頼されてた分、がっかりさせた感”が痛いんですよね。


千佳:

まさに、それです。

自分で自分に「何やってんの」って何回も思って、

気づいたら、

今日ぜんぜん笑ってなかったなって。


リョウ:

……

でも、それだけ落ち込むってことは、

ちゃんと責任感持ってやってたってことだと思います。

自分に厳しいの、悪いことじゃないけど──

たまには、自分にも「よくやってるよ」って言ってあげてください。


千佳:

……

それ、

今の私には、すごく染みます。

ありがとう、リョウさん。


リョウ:

どういたしまして(笑)

でも、ほんとにそう思ってるんですよ。

千佳さんって、

たぶん「できる人」って思われることに慣れてる分、

ちょっとつまずくと、自分をすごく責めちゃうタイプな気がして。


千佳:

……なんで、そんなにわかるんですか(笑)

初めて言われたのに、

妙にしっくりきました。


リョウ:

なんとなく、

自分もそうだからです(笑)

「ミスしない自分」でいようとして、

完璧じゃない瞬間が許せなくなるっていうか。


千佳:

……

もしリョウさんが女の子だったら、

絶対仲良くなってたと思います。

愚痴とか言いながら、

コンビニスイーツとか一緒に食べてそう(笑)


リョウ:

それ、完全に想像できました(笑)

お互いのミスを報告し合って、

「そんなの気にすんなよ~」って言ってる未来。


千佳:

あー…そういう友達、

今ちょっと欲しいなって思いました。


(和人:

まただ。

“同性だったら”って、

それが本当だったら、

この距離をずっと保てるのに──

って、思ってしまう自分がいる)


(真子:

こんなに、心の内をさらけ出せる相手なのに。

“リョウ”としてじゃなく、

“真子”のまま出会ってたら、

もっと普通に寄りかかれたのかもしれない)


リョウ:

もし次、ミスしそうになったら、

「リョウが見てる」って思ってください(笑)


千佳:

それはちょっとプレッシャー(笑)

でも…嬉しいです。

誰かにそう言ってもらえるだけで、

ちゃんと次がんばろうって思えるので。


リョウ:

じゃあ今日は、

ちゃんとミスした自分にも「お疲れさま」って言って、

あったかくして寝てください。


千佳:

はい…。

リョウさんも、お疲れさまでした。

今日の言葉、ほんとに救われました。


リョウ:

良かった。

じゃあ、また明日も話しましょう。


千佳:

うん。

おやすみなさい。


リョウ:

おやすみなさい。



◆◇◆


(和人はスマホを置いて、深く息を吐いた。

人に優しい言葉をかけながら、

自分がその人を“騙している”という事実だけが、

夜になると濃くなっていく。

それでも、

今日の千佳の「ありがとう」は、

まっすぐに響いていた)


(真子は、ベッドに潜り込んで天井を見た。

リョウとして励ました言葉は、

不思議と“真子自身”にも向けられていた気がする。

「自分も、自分に優しくしなきゃな」──

そんなふうに思えた夜だった)

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