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マッチ率100%の二人だが、君は彼女で私は彼だった  作者: naomikoryo


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16/29

第16話:4月25日「ほんとの自分を、少しだけ話したくなる時」

《マッチアプリ画面》


リョウ:

こんばんは。

今日、職場で高校の同級生に似てる人を見かけたんですよ。

めちゃくちゃ懐かしい気持ちになってしまって(笑)


千佳:

こんばんは。

それ、わかります(笑)

街中で誰かに似てる人見ると、一気に記憶が引っ張られますよね。


リョウ:

そうなんですよ。

しかもその同級生、ちょっと不思議なやつで。

美術部なのにやたら早口で、いつも独り言言ってて。

でも、やたら面倒見がよくて。


千佳:

そのギャップ、愛されキャラだったんじゃ?(笑)


リョウ:

そうかもしれないです。

当時は気づいてなかったけど、

今ならたぶん、ちゃんと仲良くなれた気がします。


千佳:

それ、ありますよね。

「今の自分なら、あの子の良さもっと分かったかも」って思う人。

大人になるって、そういうことかもしれないな。


リョウ:

ですね。

あの頃の自分は、まだ「ちゃんとした自分」になろうと必死で、

人の“変なとこ”を笑ってごまかしてた気がします。


千佳:

……

リョウさんって、たまにそういう正直なこと言うからズルいです(笑)


リョウ:

え(笑)

いや、たぶん今だから言えるだけです。

千佳さんと話してると、不思議とそういう部分が出てくるんですよね。


千佳:

それ、たぶんわたしもです。

ふだん誰にも言わないような話を、

気づくとリョウさんにだけ言ってるなって思います。


リョウ:

それは…嬉しいですね。

でも、なんでなんですかね。

やっぱり、会ったことない相手っていう距離が、逆に安心するのかな。


千佳:

うん…

それもあるけど、たぶん、

“ちゃんと話そうとしてくれる相手”ってことの方が大きいかも。


リョウ:

……

千佳さん、今めちゃくちゃ名言言いましたね(笑)


千佳:

あはは(笑)

でも、ほんとにそう思ってますよ。

リョウさん、いつもちゃんと受け止めてくれるから。


(和人:……まただ。

この会話のたびに、

「こんなにちゃんと話してくれてるのに、自分は“千佳”を演じてる」って

心のどこかで苦しくなる。

だけど、やめたいとは…思えない)


(真子:千佳さんの言葉って、

いつも、まっすぐに届いてくる。

なのに私は、嘘をついてる。

リョウなんかじゃないのに──

それでも、ずっとこのままでいたくなる)



千佳:

……もし、

過去に誰かにちゃんと向き合えなかったことがあったとしても、

今こうして“ちゃんと話せてる相手”がいるなら、

ちょっとは救われる気がします。


リョウ:

うん、たしかに。

今の自分を見てくれる人がいるって、

それだけで、変われる気がしますよね。


千佳:

じゃあ…今日も一日、お疲れさまでした。

なんか、ちょっとだけ前向きになれました。


リョウ:

こちらこそ、

千佳さんのおかげで“高校時代の自分”に優しくなれました(笑)

おやすみなさい。また明日、話しましょう。


千佳:

おやすみなさい、リョウさん。

明日も、ちゃんと今日の続きができるといいですね。



◆◇◆


(和人は、今日のやりとりを読み返していた。

これは嘘の中の会話なのか?

それとも、本当の“心”だけがつながってるのか。

答えはわからない。

でも、手放せない。

この、文字のやりとりのぬくもりを──)


(真子は、ベッドに寝転びながら目を閉じる。

“千佳”という女性は、リョウではない自分に、

たしかに語りかけてくれている気がした。

だからこそ、

いま“リョウ”でいる自分を、少しだけ許せた)

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