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マッチ率100%の二人だが、君は彼女で私は彼だった  作者: naomikoryo


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15/29

第15話:4月24日「GW、わたしは働きます」

《マッチアプリ画面》


千佳:

こんばんは。

今日、職場でGWのシフト表が出ました~!


リョウ:

おお、それは毎年恒例の、

「独身者に全振り」シフト(笑)


千佳:

そう、それです(笑)

完全に独身優先で埋まってました。

しかも、わたしは5月2日から6連勤確定です…!


リョウ:

お疲れさまです…。

でも、百貨店ってそういう時こそ混みますもんね。

化粧品売り場も人多そう。


千佳:

GWはほんとに“戦場”です(笑)

家族連れのお母さんたちがまとめ買いに来たり、

親戚が集まる前に美容院とコスメ買いに来たり…。

なぜか口紅が一気に売れるんですよね。


リョウ:

あ、それ分かります(笑)

GW前になると、やたら赤系のリップが動くの、

なんか“人と会う”スイッチが入る感じ。


千佳:

さすが、観察鋭い(笑)

リョウさんの部署も、催事とかあるんじゃないですか?


リョウ:

はい、メンズの新作キャンペーンが入ってて、

今週から設営とポップ修正でドタバタしてます。

連休中は出勤だけど、代わりに5月の平日に3連休取れるらしいです。


千佳:

わ、同じです(笑)

わたしも連休終わってから平日に3連休もらえるって聞きました。


リョウ:

じゃあもしかしたら、連勤明けにゆっくり休めますね。

その3日間は、絶対だらだらするって決めてます(笑)


千佳:

ふふ、わたしもです(笑)

お弁当も外出もしない、部屋着で3日生きる予定です。


リョウ:

それは理想ですね(笑)

でも…なんかこうやって、同じ業界の忙しさを

“分かってくれる人”と話せるのって、けっこう貴重だなって思ってます。


千佳:

うん、ほんとに。

「今日、朝からずっと立ちっぱなしだった」とか、

「売り場の照明が地味に暑い」とか、

そういう細かいことも分かってもらえるの、安心します。


リョウ:

なんか、同性の同僚でも

ここまで細かい話できる相手っていないかも。


千佳:

わたしもです。

最近ふと思うんですけど…

リョウさん、もし女性だったら、

けっこう仲良くなれた気がします(笑)


リョウ:

それ、自分も思ってました(笑)

性別とか関係なく、

“相性”ってこういうことなのかなーって。

でも、だからこそちょっと不思議ですよね。


千佳:

うん。

会ったことないし、見たこともないけど、

“この人だったら安心して話せる”って思えることがあるんだなって。


リョウ:

実は、

このやり取りを続けてる間に、何回か「これ言っても大丈夫かな」って

迷ったことあったんですけど、

不思議と千佳さんには言える気がしてました。


千佳:

それ、わたしも…あるかも。

何だろうなあ…。

お互いに、“見せてる部分”がうまく噛み合ってるだけなのかもしれないけど、

それでも、

もしリョウさんがわたしの友達だったら──

すごく、良い友達になってたと思います。


(和人:あ、今ちょっと…胸が痛んだ。

俺は“千佳”を演じてる。

リョウは、男のフリをしてる“誰か”で、本当は女の人で──

……それ、もしわかったとしても、

この会話、きっと続いてた気がする)


(真子:リョウとして話してるけど、

この千佳さんと、本当の私として会ってたら──

気が合って、普通に友達になってたのかもなって。

むしろ、同性の方がもっと素直に笑えてたかも)



リョウ:

……でも、こうして今繋がってるのが“リョウ”と“千佳”って名前でも、

この時間が本物なのは変わらない気がします。


千佳:

うん。

わたしも、そう思ってます。

嘘とか本当とかじゃなくて、

“この会話”がちゃんとあったことだけで、

けっこう救われてるなって。


リョウ:

じゃあ、

GWも頑張って、終わったら報告し合いましょうか。

「今日は何本リップが売れたか」勝負とか(笑)


千佳:

それ、楽しそう(笑)

よし、明日から気合い入れていきます!


リョウ:

お互いがんばりましょう。

おやすみなさい、千佳さん。


千佳:

おやすみなさい、リョウさん。

いい夢が見られますように。



◆◇◆


(スマホを胸に乗せたまま、和人は深呼吸をひとつした。

嘘をついているという罪悪感は、消えていない。

でも、その奥にあったのは、

“この会話が本当だったらよかったのに”という、淡い願いだった)


(真子は、スマホを閉じてベッドに転がる。

「女同士だったら──」

そんな仮定を思い浮かべながら、

いま“男”としてやり取りしている自分の言葉が、

不思議と自然に思えていることに気づく)

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