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マッチ率100%の二人だが、君は彼女で私は彼だった  作者: naomikoryo


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14/42

第14話:4月23日「今日の風、なんか春っぽかった」

《マッチアプリ画面》


千佳:

こんばんは。

今日、ちょっとだけ外に出たんですけど──

なんか風が“春っぽい”匂いしてました。


リョウ:

お、出ましたね、“風の匂いシリーズ”(笑)

昨日は「今日は引きこもれ」って言ってた風が、

今日は春を語ってきたんですね(笑)


千佳:

そうそう(笑)

昨日の風とはまったく別人みたいでしたよ。

少し暖かくて、花の匂いがして。

なんか、空気に色がついてるみたいな感じでした。


リョウ:

あー、わかるなあその感覚。

夕方、ベランダに出たときに、

ふっと鼻に抜ける感じのやつですよね。

ちょっと湿ってて、でも軽くて。


千佳:

そうそう!

そういうの、わかってくれるの助かります(笑)

「え、匂いとか気にしたことない」って言われたことあるから。


リョウ:

いや、めっちゃ気にします(笑)

むしろ、天気と匂いでテンション変わるタイプです。


千佳:

完全に同じタイプです(笑)

あと、コンビニの入り口の空気の匂いとかも好きです。


リョウ:

わかるわかる(笑)

あの、唐揚げとコーヒーとコピー機の熱が混ざったようなやつですよね。


千佳:

そうそうそう!(笑)

あれ、なぜか懐かしくなるんですよね。


リョウ:

「高校の帰り道」感あります(笑)


千佳:

あー、あるある(笑)

わたし、春になると制服がちょっとだけ軽く感じたの、

いまだに覚えてます。


リョウ:

なんかわかる気がする(笑)

自分も学生のとき、

冬は重かったリュックが、春になると急に軽くなってた気がします。

中身は変わってないはずなのに。


千佳:

体の感覚が、外の空気に影響されてたのかもですね。

春って、ちゃんと来るんだなって思いました。

去年も来たはずなのに、

毎年ちょっとだけびっくりしてる気がします(笑)


リョウ:

あ、それめっちゃ共感…。

「お、来たな」って毎年思う(笑)

でも、こうしてLINEで話してるだけなのに、

同じ季節感じてるのがなんかいいですね。


千佳:

うん、離れてるのに、

同じ空気吸ってるんだなーって思える感じ。


リョウ:

実際、わりと近い場所に住んでるはずですけどね(笑)


千佳:

そうですね、都内と近郊なら電車1本の距離かも。

でも、いまのこの距離感がちょうどいいのかも。


リョウ:

うん。

でもいつか、“同じ空気を同じ場所で吸う日”が来たら、

その時は、春の匂いを一緒に感じてみたいですけどね(笑)


千佳:

……ふふ、急に詩的(笑)

でも、そういうの嫌いじゃないです(笑)


リョウ:

良かった(笑)

じゃあ今日は、春の空気を吸った報告ってことで、

お互いゆっくり寝ましょうか。


千佳:

ですね。

明日からまた一週間、春に励まされながらがんばりましょう(笑)

おやすみなさい、リョウさん。


リョウ:

おやすみなさい、千佳さん。

春、ちゃんと来てますね。



◆◇◆


(スマホを閉じた千佳=和人は、ふとカーテンを少し開けた。

夜風が、ほんのり暖かい。

それだけで「今日という日」がやさしく包まれている気がして、

小さな安心が胸に広がっていた)


(リョウ=真子は、ベランダの椅子に座ったまま空を見上げていた。

暗い中にうっすら漂う夜の匂い。

それが、遠く離れた誰かと同じだったら──

そんな想像だけで、今日はなんとなく、よく眠れそうだった)

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