第12話:4月21日「今日はちょっとイラッとした話」
《マッチアプリ画面》
千佳:
こんばんは。
今日はちょっとイラッとした日でした。
リョウ:
こんばんは。
おっと、これは聞かせてもらうしかないやつ(笑)
何があったんですか?
千佳:
朝、出勤時に駅のホームで並んでたら、
後ろから来た人が横からスッ…と前に入ってきて。
私、普通に並んでたのに!
リョウ:
うわ、それは腹立つやつだ…
しかも朝って、まだ気持ちの準備できてないから余計イライラしますよね。
千佳:
そうそう!
しかもその人、平然とスマホ見てて。
「私、透明人間になったんかな?」って本気で思いました(笑)
リョウ:
分かります(笑)
「え?いまの自分、実体ないのか?」ってなるやつ。
僕もこの前、エレベーターの“開く”押してるのに、
後ろから「開けてください」って言われてびっくりしました。
千佳:
え、押してるのに?(笑)
リョウ:
そうなんです。
親指つぶれそうになりながら押してたのに(笑)
千佳:
その人には“強く押さなきゃ認識されないボタン説”があったのかも(笑)
リョウ:
ちょっとウケた(笑)
なんか…イラッとしたことでも、こうやって話すと笑えるから不思議ですよね。
千佳:
ほんとに(笑)
実は売り場でもひとつあって…
今日、後輩の子に「それは千佳さんがやってもらっていいですか?」って言われたんですけど、
その案件、もともとその子が担当だったんですよ。
私の顔、ちょっと引きつってたと思います(笑)
リョウ:
うわ~、それはまた別ベクトルでイラッとするやつ。
“しれっと押しつけ”系。
千佳:
そうそう(笑)
でも、冷静に「これ、あなたの担当だったよね?」って返したら、
「あ、すみません!ですよね~」って言われて、
全然反省してなかったっぽいです。
リョウ:
「すみません!」の後の「ですよね~」が地味にダメージ(笑)
千佳:
ね(笑)
でも、そういうやりとりのあとでアプリ開くと、
「なんかもう、どうでもいいか」って思えるの、ちょっと助かってます。
リョウ:
あ、それすごく分かります。
“怒りの後処理”をしてくれる存在って、大事ですよね(笑)
千佳:
そうそう(笑)
リョウさんと話してると、なんか“愚痴にならない”のがいいです。
リョウ:
愚痴じゃなくて、ただの“共有”って感じですね。
「そういう日もあるよね」って言えるだけで、軽くなる。
千佳:
うん、ほんとに。
メッセージって気軽なのに、ちゃんと心に触れてくれるのがいいのかも。
リョウ:
まさに、“日常のストレッチ”って感じ(笑)
カチカチになった心をほぐすみたいな。
千佳:
例えが上手い(笑)
よし、今日はこのあと何も考えずに寝ようっと。
リョウ:
それが一番です(笑)
千佳さん、お疲れさまでした。
よく頑張った金曜日!
千佳:
リョウさんも、お疲れさまでした。
また明日も、いつも通りゆるっとお話しましょ。
おやすみなさい…
リョウ:
おやすみなさい。
明日は、イラッとしない日になりますように(笑)
◆◇◆
(千佳=和人は、メッセージの履歴を見返しながら、
「こういう話を誰かとできることが、こんなに大事だったんだな」
と気づいていた。感情の行き場があるだけで、
心は少し、軽くなるものだ)
(リョウ=真子は、自分が自然に“誰かを受け止める”側に回れていることが、
ちょっとだけ誇らしかった。
そしてふと、「同じように自分も受け止められてるな」と思い返す)




