第5部 第3話『帰りたいと言う前に』
【前回のあらすじ】
村を焼いた映像が公開され、リドラムの住民の怒りはレッドたちとカイへ向かった。説得の届かない混乱の中、グリムは仲間を渡さないと決め、力を振るって魔王を名乗る。十人は街を離れ、行方不明者の移送経路につながる東の施設へ向かった。
※本作品の執筆にはAIを活用しています。
翌朝、林の脇で休んでいた二台の車が、街道へ戻った。
後続の車で、アシュレイが前方を指した。
「次の分かれ道を左だ。門は、その奥にある」
セイジが先頭の車へ伝える。後部座席のヴェルミリオンは手帳を閉じ、鞄へ戻した。隣からグリムが覗き込む。
「あの婆さんの妹か」
「左手の傷と、家の場所。それに、名前。本人に会えれば確かめられる」
「ほな、会いに行こか」
車は舗装の割れた道へ入った。枝が窓を擦り、その先に鉄の門が見えた。
前に来た時は閉じていた門が、今日は開いている。
「……お出迎えつきかよ」
アシュレイが身を起こした。
門の内側には兵士が二人いた。銃は肩に掛けたまま、入ってくる車を見ている。
エルザが先頭の車を止めると、一人が運転席へ近づいた。
「皆さん、お降りください。お待ちしていました」
ライガが先に降り、兵士との間へ立った。レクスもカイと一緒に反対側へ出る。兵士はカイを見ても、敬礼しなかった。
「誰の指示で待っていた」
カイが尋ねた。
「こちらの管理責任者です」
「私は、ここの担当者へ何度も人を引き渡した。今の責任者は誰だ」
「中でお会いになれます」
兵士は同じ調子で答え、建物の入口を示した。
白い外壁は黒ずみ、窓の何枚かには板が打たれている。だが、入口の奥には明かりがあった。
ポルクが車を降り、エルザのそばへ来た。後続の五人も門の内側へ入る。
「武器等は、こちらでお預かりします」
兵士が差し出した箱を、グリムが押し戻した。
「なんでや?」
「居住者の安全のためです」
「お前らに預けた人間を捜しに来たんや。これ以上、何を渡せ言うねん」
兵士は箱を下ろした。胸元の通信機へ短く報告し、返事を聞くと道を空ける。
「そのままお通しするようにとのことです」
「ずいぶん話が早いね」
ヴェルミリオンが横を通った。兵士は答えず、最後に入ったネビュロスの背後へついた。
もう一人は門に残っている。
ライガは肩越しに仲間を見た。
「離れずに行こう」
*
建物の奥で、兵士が壁の端末へ手を触れた。
分厚い扉が左右へ開く。
その先を見たライガの足が止まった。
白い通路だった。
奥まで等間隔に灯りが並び、突き当たりには、見覚えのある案内板が立っている。
「……ここだ」
ライガは扉を越えた。通路の途中から、食器の触れ合う音が聞こえた。
開いた窓口の向こうで、男が大鍋をかき混ぜている。
男は一行へ顔を向け、ライガを見ると柄杓を止めた。
「君、あの時の」
ライガが窓口へ近づいた。
寝床を貸し、食事を運んでくれた男だった。袖をまくった腕も、少し眉を下げて笑う顔も変わっていない。
「生きていたんだな」
「君こそ。急にいなくなったから、心配したよ」
男は柄杓を鍋へ戻し、窓口から身を乗り出した。
「怪我は、もういいのかい」
「ああ。あの時は世話になった」
「それならよかった。朝は食べた? 人数分、出せると思うけど」
グリムの腹が鳴った。
アシュレイが横目で見る。
「お前、さっきも食ってただろ」
「パン一個やぞ」
「二個だったよ」
ヴェルミリオンに訂正され、グリムは口を閉じた。男が笑い、棚から器を出そうとする。
ライガはその手へ声をかけた。
「今日は、人を捜しに来た」
男が振り返った。
「リドラムから連れてこられた人たちだ。外で、家族が待っている」
「ああ。面会なら、職員に頼むといい」
「あんたも、一緒に外へ出ないか」
男は少し驚いた顔をした。それから、首を横に振った。
「私はここで暮らしているから」
同じ答えだった。
前に聞いた時も、この男は食事の心配をしてくれていた。
「ここへ来る前は、どこにいた?」
ライガが尋ねると、男は器を持ったまま考え込んだ。
「前は……」
通路の兵士へ目が向いた。
男は器を棚へ戻した。
「困ったことはないよ。仕事もあるし、食べる物もある」
「俺が聞いたのは――」
「戻ってきてくれて、よかった」
男は微笑んだ。
ライガの横で、レクスが拳を握った。男はその手に気づき、窓口から少し離れる。
レクスは指を開いた。
「……驚かせた。すまない」
兵士が、一行へ先へ進むよう促した。
ライガは窓口を離れる前に、もう一度男を見た。
「後で、また来る」
「うん。食事を取っておくよ」
*
通路を抜けると、住居の並ぶ一角へ出た。
洗濯物が干され、長椅子では二人の老人が話している。壁に掲げられた「第六居住区」の文字を、エルザが見上げた。
「ここに、つながっていたのね」
ライガが頷いた。
前に抜けた通路とは違う。それでも、目の前の広場も、階段の脇の花壇も覚えていた。
兵士は共同の食堂へ一行を案内した。
中では住民が朝食の器を片づけていた。十人が入ると何人かが振り向いたが、すぐに仕事へ戻っていく。
「捜している方のお名前を」
兵士の問いに、ヴェルミリオンが手帳を開いた。女から聞いた妹の名を伝えると、兵士は端末を確かめた。
「こちらにいます。お待ちください」
奥の作業台へ向かい、布巾を畳んでいた女性に声をかける。
女性はヴェルミリオンを見た。それから兵士へ何か尋ね、促されてこちらへ来た。
左手の親指の付け根に、白い傷があった。
ヴェルミリオンは自分から近づかず、彼女が立ち止まるのを待った。
「君のお姉さんに、頼まれて来たんだ」
女性の目が動いた。
「姉が?」
「リドラムで暮らしている。君たちの家を調べてほしいと、僕に頼んだ」
鞄から見取り図を出す。
女性は受け取らず、差し出された紙を覗いた。庭に描かれた丸へ指を伸ばす。
「井戸……」
「残っていたよ」
「蓋が重くて。姉が来た時、二人でも持ち上がらなかったんです」
指が紙へ触れた。
ヴェルミリオンは、そのまま図を渡した。
「夫が帰ってくるまで待とうって。そうしたら姉が、待つくらいなら裏の家で借りるって……」
女性の口元が、少し緩んだ。
言葉が途切れた後も、井戸を見ていた。
「姉は、元気ですか」
「君に会いたがっている」
女性が顔を上げた。
ヴェルミリオンは手帳から、姉の今の住所を書いた紙を抜いた。
「一緒に行こう。僕たちが案内する」
女性は紙へ手を伸ばしかけた。
だが、その手は途中で止まり、胸元へ戻った。
「私は、ここで暮らしています」
アシュレイが女性を見た。
窓口の男と同じ言い方だった。
「今日すぐに決めなくてもいい」
ヴェルミリオンは紙を近くの卓へ置いた。
「連絡だけでも取れる。声を聞いてから――」
「ここで、困っていることはありません」
女性は見取り図を畳もうとした。うまく折り目が合わず、紙の端がずれた。
ヴェルミリオンは手を貸さなかった。
「そうかい。では、その紙は持っていてくれるかな」
女性は頷いた。
畳んだ図を両手で押さえ、しばらく動かなかった。
「夫も……」
小さな声がした。
「姉のところに、いるんですか」
ヴェルミリオンの背後で、アシュレイが顔を上げた。
「夫は、あの家で待つと言ったんです。すぐ帰れるからって。私はここへ来て……」
女性は食堂を見渡した。
器を運ぶ人々。洗い場の湯気。兵士の立つ扉。
「帰ったら、話そうと思っていたことが」
言いかけた口を閉じ、眉間を押さえた。
ヴェルミリオンは椅子を引いた。
「座って。急がなくていい」
「夫は、どこに?」
女性は座らなかった。
ヴェルミリオンは彼女へ向き直った。
「見つかっていない」
「家には?」
「建物は、残っていなかった」
女性が見取り図を開き直した。
階段と、庭と、井戸。家のあった場所には、輪郭だけが描かれていた。
「どうして」
ヴェルミリオンは息を吸った。
「エセリアは、毒で滅んだ」
女性の顔が上がる。
「その毒を放ったのは、僕だ」
*
洗い場で、器の触れる音が止まった。
女性はヴェルミリオンを見つめていた。彼がもう一度口を開こうとすると、見取り図を持った手が上がった。
「来ないで」
彼は動かなかった。
女性は卓へぶつかり、それでもさらに下がろうとした。
「どうして、あなたが……」
「君を捜している人がいる」
「夫は!」
声が食堂に響いた。
「夫は、あなたに殺されたんですか!」
ヴェルミリオンは、すぐには答えられなかった。
自分が立っていた広場から、あの家は見えなかった。通りへ流した毒の先を、一軒ずつ確かめたこともない。
「……分からない。あの時、街にいたのなら、僕の毒に巻き込まれたかもしれない」
「かもしれない?」
「誰がどこで死んだのか、僕は調べなかった」
女性の手が震えた。
見取り図の端が破れ、短い音がした。
「帰って」
ヴェルミリオンは彼女を見た。
「顔を、見たくない」
彼は一歩下がった。
アシュレイが何か言おうとしたが、ヴェルミリオンは片手を上げて止めた。
椅子の向こうへ移り、女性から距離を取る。
「お姉さんへの連絡は、ほかの者に頼む。僕と話す必要はない」
女性は答えず、卓へ両手をついた。
その傍らへ兵士が来た。
「処置室へ行きましょう」
女性が顔を向けるより早く、兵士は彼女の肘を取った。
ライガが間へ入った。
「何の処置だ」
「落ち着いていただくためです」
「手を離せ」
兵士は女性の腕を放さなかった。
ライガがその手首を掴むと、奥の扉から声がした。
「彼女は、君たちに帰ってほしいと言った」
灰色の上着を着た男が立っていた。
胸につけた古い紋章へ、ネビュロスの視線が向く。フロスティアの兵士と同じ印だった。
男は卓の前まで歩いてきた。
「ここを管理している。面会は終わりだ」
「連れていって、何をする」
ライガの問いに、男は女性を見た。
「苦痛を和らげる。外の記憶で暮らせなくなる者は、少なくない」
「夫を捜したいという気持ちも、消すのか」
「君にも、ここで受けられる処置は説明したはずだ」
ライガの手に力が入った。
兵士は顔をしかめなかった。掴まれた手を見て、もう片方の手を腰へ伸ばす。
レクスがカイの前へ出た。アシュレイも卓を回り、女性を押さえる兵士の横へ立つ。
「その手、止めろ」
管理者が掌を上げた。
兵士の手は腰の銃へ触れたところで止まった。
「人の暮らす場所だ。争いは困る」
「なら、まず放せ」
ライガが言った。
管理者は、答えを待つように女性へ目を向けた。
「この人たちと行きたいですか」
女性は首を横に振った。
ヴェルミリオンから目を逸らし、肩を縮める。
「ほら。君たちの助けは求めていない」
「僕とは行きたくないんだろうね」
ヴェルミリオンが言った。
「そこは、君に教えてもらわなくても分かる」
管理者が彼へ向き直った。
「では、退出してもらおう」
「その前に、その手を離して。彼女がどこへ行くかは、彼女が決める」
女性は、掴まれた肘へ目を落とした。
兵士の指の下で、衣服に深い皺が寄っている。
「私は……」
管理者が言葉を継いだ。
「今は疲れている。考えるのは、処置の後でいい」
兵士が女性の腕を引いた。
畳み損ねた見取り図が卓から落ちる。女性はそれを追って手を伸ばした。
「待って。その紙」
「後で届けます」
兵士は歩き続けようとした。
ライガが手首を押し戻し、アシュレイが女性のそばへ入る。
「嫌がってんだろうが!」
女性の肘から、ようやく指が外れた。
兵士は一歩退くと、銃を抜いた。
*
ヴェルミリオンが、女性と銃口の間へ踏み込んだ。
「魔導展開」
腕輪から溢れた紫の魔力が胸へ走り、艶のある外骨格となって身体を包む。肩から腕へ、腰から脚へと装甲が重なり、背中に半透明の翅が開いた。
銃声が響いた。
弾丸が深紫の肩甲を叩き、砕けた欠片が床へ落ちる。
悲鳴が上がった。
食堂の奥へ逃げようとした住民たちの前で、金属の仕切りが下り始める。
「扉を閉めるな!」
ライガが叫んだ時には、ネビュロスが腕輪へ魔力を流していた。
「魔導展開!」
蒼銀の氷晶が彼の四肢を覆い、重なり合って甲冑を作る。開いた魔導書から冷気が走り、下りる仕切りの下に太い氷柱が立った。
金属が氷を削ったが、床まで閉じることはできなかった。
「そこから出ろ! 押すな、順に!」
ネビュロスの声に、奥で立ち尽くしていた者が動いた。
エルザとポルクが椅子を退け、通れる幅を空ける。セイジは入口脇の端末へ走った。
銃を構え直した兵士の前で、紫の翅が揺れた。
「道化の舞」
ヴェルミリオンが三人に分かれた。
兵士の銃口が右の姿を追う。その腕へ本物が横から触れ、天井へ押し上げた。発砲音と同時に手首を捻り、腹へ膝を入れる。
兵士の身体が折れた。
ヴェルミリオンは銃を奪い、床へ蹴り飛ばした。
「僕を撃つ時は、よく狙って。他の客に当たるだろう」
兵士は腹を押さえなかった。
曲がった手首をそのままに、再び女性へ腕を伸ばす。
アシュレイが卓を押し込み、間へ割り込ませた。
「しつけえな!」
ヴェルミリオンは兵士の襟を掴み、女性から引き離した。背中から床へ叩きつけ、肩を踏んで押さえる。
それでも兵士の顔は動かなかった。
ネビュロスが、床を這うように氷を伸ばした。兵士の腕と脚を床へ固定する。
「生かしておけ。こいつには聞くことがある」
「そのつもりさ」
ヴェルミリオンは足を離した。
女性は卓の陰でしゃがんでいた。アシュレイが床の紙を拾い、彼女へ差し出す。
女性は破れた端を合わせ、胸へ抱いた。
*
「君たちのせいで、怯えている」
管理者は、逃げる住民たちを見ていた。
その右手には小さな操作器がある。
グリムが男の前へ出た。
「銃抜かせといて、よう言うわ」
「秩序を守るための警備だ」
「手ぇ離せ言うただけで撃つんが、お前らの秩序か」
男の親指が操作器へかかった。
グリムがその手を掴んだ。押すより早く指ごと握り込み、操作器を砕く。
欠片が二人の足元へ落ちた。
男は壊れた器具を一度見ただけだった。
握られた手を引こうともせず、グリムの顔へ視線を戻す。
「ここから出して、どうする。食事も、住居も、治療も、君たちが用意するのか」
「必要なら、用意したる」
「帰る場所のない者もいる。家族に拒まれた者も。君が全員に責任を持てるわけではない」
グリムは男の手を放さなかった。
「せやから、お前の言いなりにしとけっちゅうんか」
「苦しまずに暮らせる」
「苦しい言う口まで塞いどるやろが」
男の背後で、もう一人の兵士が姿を現した。
グリムはそちらを見たまま、声を張った。
「ライガ。こっちは俺がやる。出口を押さえろ」
「分かった」
ライガの掌に白炎が灯った。
炎が左腕のゾーエへ入り、白銀の光が全身を走る。
「バーニング・チェンジ!」
深紅のスーツを白い装甲が覆い、顔にマスクが展開した。胸の「B」が輝き、背へ炎のスカーフが流れる。
バーニングレッドは下りかけた仕切りへ走った。氷柱の隣へ肩を入れ、両腕で金属を押し上げる。
「通れる! こちらへ!」
住民が一人、彼の横を抜けた。
次の一人をエルザが送り出す。ポルクは通路側へ回り、転びかけた老人を受け止めた。
レクスはカイを伴って入口を守り、セイジが端末から離れるのを待っている。
「閉鎖を止められるか」
「ここからでは無理だ。向こうで操作している」
セイジが管理者へ顔を向けた。
グリムの手の中で、男の指が曲がった。
砕けた操作器を捨て、グリムの手首を握り返してくる。
床のタイルが鳴った。
グリムの靴が、半歩ずれた。
「……へぇぇ」
グリムが歯を剥いた。
「事務仕事だけやないんか」
「君たちのような者も、受け入れなければならないのでね」
男が腕を振った。
グリムの身体が持ち上がり、卓の方へ投げ出される。
彼は空中で身を捻り、脚から床へ着いた。踵でタイルを割りながら踏み止まり、すぐに腕輪を掲げた。
「魔導展開!」
赤熱する魔力が黒曜石の重装甲へ変わり、胸と肩、拳を覆う。背部の排熱口から炎が噴く。
グリムの真・魔導外殻が、食堂の灯りを照り返していた。
ヴェルミリオンが、管理者の右へ回った。
ネビュロスも、出口を支える氷柱から片手を離す。
男は三人を順に見た。
「外での暮らしに、戻れると思うかい。君たち自身、あの街を追われたばかりだろう」
グリムが片足を前へ出した。
「追い出されたから、今度はここ荒らしに来たんや。文句あるか」
男の背後で兵士が銃を上げた。
ヴェルミリオンの幻影がその前を横切り、視界を塞ぐ。ネビュロスが兵士の足元を凍らせた。
グリムは、その間に管理者へ踏み込んだ。
「まずはお前や!」
炎をまとった拳が振り下ろされた。
男は左腕で受けた。袖が焼け、衝撃で足元が陥没する。それでも倒れず、グリムの拳を押し返した。
露出した腕の皮膚に、淡い線が浮かんでいた。
線は肘から上着の奥へ走り、短く光った。
ネビュロスの目が細くなる。
男は焼けた袖を払い、今度は自分から拳を構えた。
*
アシュレイが、卓の陰へ膝をついた。
「立てるか。ここは危ねえ」
女性は頷きかけ、紫の装甲へ目を向けた。
ヴェルミリオンが管理者の動きを見ながら、出口と彼女の間に立っている。
「あの人とは、行きません」
「分かった。俺と来い」
アシュレイは手を差し出したまま待った。
女性はすぐには取らなかった。手の中の見取り図を見て、卓に置かれたもう一枚の紙へ顔を向ける。
「それも」
姉の住所だった。
アシュレイは紙を取り、彼女へ渡した。
「……姉と、話せますか」
「外へ出たら、つなぐ」
女性が手を伸ばした。
アシュレイはその手を取り、立ち上がるのを支えた。
管理者がこちらを見た。
向けかけた腕へ、ヴェルミリオンが蹴りを叩き込む。
「そちらは退場口だよ」
紫の翅が開いた。
管理者と出口の間を、同じ姿の魔王たちが塞いでいく。
「君の相手は、僕たちだ」
女性は振り返らず、アシュレイと出口へ向かった。
(4話へ続く)
第3話をお読みいただき、ありがとうございます。
辿り着いた第六居住区には、ライガが残してきた人々と、ヴェルミリオンが向き合わなければならない相手がいました。
次回、救出を阻む管理者と三魔王が激突します。評価・ブックマーク・感想も励みになります。




