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アンチジャスティス -魔王戦隊ダークトリニティ-  作者: DD22
第4部:断罪と贖罪編

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第4部 第21話『ここから始める』

【前回のあらすじ】

ライガ、カイ、三魔王が乗り込んだ五機は、魔正合体・クロスガーディアンとなった。五人の力が巨大化したレヴェリオを打ち破り、リドラムは守られる。だが、彼女が広場で始めた断罪も、カイたちが街に与えた傷も、戦いの終わりとともに消えたわけではなかった。


※本作品の執筆にはAIを活用しています。


 朝、治療所の窓の外から、ライガを呼ぶ声がした。


 寝台から顔を上げると、入口に母親と子供が立っていた。

 子供はライガを見つけ、母親の手を引いた。


「いた!」


 エルザに案内され、二人が部屋へ入ってくる。

 母親は寝台の横で、深く頭を下げた。


「昨日、避難路にいました。上から落ちてきたものを、あの黒い巨人が……」


 そこで声が詰まった。

 握られた子供の手が、母親の胸元まで持ち上がる。


「もう駄目だと思いました。この子だけでも、と思って」


 ライガは毛布から手を出した。


「怪我は、なかったか」


 子供が頷いた。


「お母さんも、なかった」


「そうか」


 ライガは息を吐いた。

 それから、もう一度頷いた。


「……よかった」


 母親が持っていた包みを、机へ置いた。

 焼いたパンが入っていた。


「こんなものしかありませんが」


「あんたたちの分は?」


「あります。これは、渡したくて持ってきたんです」


 ライガは包みを受け取った。


「ありがとう。みんなで食べる」


 隣の寝台で、グリムが片目を開けた。


「今、みんな言うたな。聞いたぞ」


「起きてたのか」


「途中からや。ええ匂いするさかい」


 子供がグリムを見た。


「この人も、乗ってた?」


「ああ。右腕を動かしてたわ」


 子供は自分の右腕を見てから、グリムへ頭を下げた。


「ありがとう」


 グリムは少し黙った。

 毛布から出した手を振る。


「……おう。飯、ちゃんと食えよ」


 二人が帰った後、ライガはパンを分けた。

 エルザが手を洗うように言い、グリムが、食う前から注文が多いとぼやく。


 隣室の扉は閉じていた。


 カイも、その礼の言葉を聞いていた。


         *


 広場では、演台を片づけるかどうかで揉めていた。


「いつまで置いておくんだ。見るたびに、あの時を思い出す」


「まだ、何も終わってないだろう」


 男が演台の前に立ち、運ぼうとする者を止めた。


「ここで話を聞いてくれるはずだった。うちの店を壊した奴のことも」


「あいつは、もういない」


「だから、なかったことにするのか!」


 近くの住民が振り返った。

 男は周囲を見て、声を強めた。


「あの人は、俺たちがやられたことを悪いと言ってくれたんだ!」


「俺の話は聞かなかった」


 演台の脇から、別の声がした。


 息子を捜す父親だった。

 畳んだ紙を握り、男を見ていた。


「殺す前に聞かせてくれと言った。お前も、そこにいたろ」


 男が口を閉じた。


 父親は、兵士が倒れた辺りへ目を落とした。


「あいつが死んで、俺は何も聞けなくなった」


「……俺は、お前の息子のことを喜んだんじゃない」


「分かってる」


 父親は答えた。

 その声を聞いても、男は顔を上げなかった。


 レクスは二人から少し離れたところに立っていた。

 演台を運び出す指示は出さず、通りを塞がないよう周囲の荷物を移した。


 少し先では、元兵士が食料の袋を運んでいた。

 兵士が近づくと、配給を待つ母親が子供を背中へ隠した。


「そこへ置いて。配るのは、こっちでやる」


 兵士は袋を下ろし、後ずさった。


「手伝えば、それで済むと思うなよ」


 列の中から声が飛んだ。

 兵士は何も言い返さなかった。


 ポルクが空いた袋を受け取る。

 兵士は彼の顔を見て、小さな声で尋ねた。


「次は、何をすればいいんですか」


         *


 カイの部屋には、住民の訴えを書き取った紙が届いた。


 誰が誰を殴ったか。何を持ち去ったか。誰が連行され、帰っていないか。

 レヴェリオが広場で集めさせたものも、その中にあった。


 カイは一枚ずつ読んだ。


 同じ兵士の名が、何度も出てくる。

 だが、命令を出した者の欄があるわけではなかった。

 住民に見えていたのは、家へ踏み込んだ兵士の顔だった。


「ここに、私の命令を照合したい」


 カイが言った。


「現場で何があったか、知らなかったこともある。だが、連行を命じたのは私だ」


 レクスは椅子に座った。


「その証言を、街の人にも聞いてもらう」


「ああ。その前に、私を拘束してくれ」


 戸口にいたライガが、顔を上げた。


 カイは紙を置いた。


「レヴェリオが私の身体を動かした。だから、それ以前のことまで私ではなかったと言えるわけではない」


「分かってる」


「君たちが分かっているだけでは足りない」


 カイはライガを見た。


「私が戦いに加わったことを、釈放の理由にしないでくれ」


         *


 面会に来た住民は、入口で足を止めた。


 カイが寝台に座っていた。

 広場で兵士を殺した時と同じ顔が、こちらを向く。


「……今、話しているのは」


「カイだ」


 ライガが答えた。


「身体を動かしていたレヴェリオは、もういない」


「そう言われても、俺たちには同じ顔にしか見えない」


「そうだろうな」


 カイ自身が答えた。


「その説明だけで、信じてほしいとは言わない。私が命じたことから話す」


 レクスが用意した椅子へ、住民たちが腰を下ろす。

 父親も、その一人だった。


 カイは、連行と移送に関わった部署の名を挙げた。

 名前を聞くたびに、住民から質問が出る。

 分からないこともあった。知らないと言うと、怒鳴られた。


「知らないで、連れていかせたのか!」


 カイは頷いた。


「人数と処理の報告を受け、それで管理できているつもりだった」


「人の息子を、処理と言うな」


 父親の声で、カイは言葉を止めた。


「……ああ」


 言い直す言葉を探した。

 だが、言葉を替えれば済む話でもなかった。


「私は、そういう報告を受け取っていた。その先で何が起きたかを、確かめなかった」


 父親はカイを見続けた。


「なら、今から確かめろ」


 その日のうちに、病室の出入りを住民側でも記録することになった。

 見張りを置き、治療後もカイを自由には歩かせない。

 裁く仕組みや、ほかの街の被害をどう調べるかは、これから決めなければならなかった。


「兵士たちは、どうなる」


 帰り際、一人が尋ねた。


 元兵士たちは武器を預け、所属と行動を申告する。

 具体的な加害の訴えがある者は、個別に調べる。それまで身柄を確保する必要がある者と、所在を届けて作業に加わる者を、同じには扱わない。


 説明を聞いていた住民が、ライガへ顔を向けた。


「お前たちは?」


 ライガは答えた。


「俺たちも話す。自分が命じたことも、やったことも」


「でも、牢には入らないんだな」


「今、全員を閉じ込めたら、誰が街を守るんだ」


 別の住民が言った。


「昨日、助けてもらっただろう」


「助けてもらっていない時の話をしてるんだ!」


 二人の声が大きくなった。


「俺の代わりに、答えなくていい」


 ライガが言った。

 庇った男が振り返る。


「昨日のことは、礼を言ってもらえて嬉しかった。でも、その前の話も聞かれる。俺は答える」


 自分への訴えも、カイのものと同じ場所へ集めてもらう。

 復興の作業に出る時も居場所を知らせ、呼ばれたら戻る。

 ライガはそう伝えた。


 全員が納得して帰ったわけではなかった。


         *


 元兵士の一人が、移送の引き渡し場所を書き足した。


「ここから先は、別の担当でした。俺は、戻れと言われたので」


 レクスがその紙を受け取り、カイの証言と並べた。

 行き先についての説明は同じだった。だが、どちらにも、その先へ入った記録はなかった。


 ライガが持ち帰った第六居住区の移送票は、その後の記録だった。


「タワー跡の道は、まだ見つからないのか」


 カイが尋ねた。

 調査から戻ったエルザが頷く。


「ライガの印はあった。でも、通路はない。瓦礫の奥に隠れているのか、つながり自体が消えたのかも、今は断定できない」


「帰ってこられたんだ。もう一度行く方法はあるはずだ」


 ライガが言うと、セイジは移送票を指した。


「そのためにも、こちらを辿る。君が通った裂け目だけが入口とは限らない」


 部屋の隅で話を聞いていた父親が、口を開いた。


「調べても、何も分からない日もあるんだろう」


「あると思います」


 ポルクが答えた。


「それでも、連絡します。調べているのかどうかまで、分からなくならないように」


 父親は頷いた。

 移送票を見たが、息子の名がないことは、もう尋ねなかった。


 代わりに、証言した兵士へ顔を向けた。


「ほかにも思い出したら、話してくれ」


 兵士は小さく返事をした。


         *


 数日後、カイの部屋へネビュロスが来た。


 机には、科学者について書いた紙があった。

 論文を読んだと言って近づいてきたこと。与えられた技術。組織を作るまでに交わした話。


 ネビュロスは読み終え、紙を机へ戻した。


「ここにあるのは、君が覚えていた接触だね」


「ああ」


 カイは別の紙を出した。

 こちらには、数行しか書かれていなかった。


「友を失った記憶と、鏡の中に彼女が現れた記憶がある。その間が、つながらない」


「同じ存在だと、君たちは思い出した」


「だが、どうしてそうなったかは分からない。私も、レヴェリオも」


 ネビュロスは空白の多い紙を見た。


「彼女は資料庫で、私の過去を見た。私が話していない、本を渡された時の言葉まで知っていた」


「君が少年だった時のことを、なぜ……」


「私も、それを知りたい」


 ネビュロスは、机に置いた二枚を離した。


「つながりがあるかは、まだ分からない。ただ、私の記憶も書き残す。君の記憶に合わせてしまう前に」


 カイは頷いた。


「フロスティアへ戻るのか」


「ああ。待たせている生徒がいる」


「君の生徒を襲った者たちと、私の組織へ渡された技術。その間に何があったかも、調べる」


「頼む」


 ネビュロスは立ち上がった。

 扉の前で、カイが呼び止める。


「彼女は、君の生徒のことを待ったのだな」


 ネビュロスが振り返った。


「ああ。だが、広場の父親は待ってもらえなかった」


 カイの顔が伏せられた。


「救いたいと思った相手がいたことまで、否定はしない」


 ネビュロスは言った。


「その相手の願いを、最後まで聞いたかどうかは、別だ」


 カイは、机の上の証言へ目を戻した。


         *


 出発の日、治療所の前には二台の車が止まった。


 ネビュロスとセイジは、フロスティアへ。

 ヴェルミリオンとアシュレイは、エセリアへ向かう。


 エルザがネビュロスへ薬の箱を渡した。


「戻ったら連絡して。目覚めた後の治療も、引き続き相談しましょう」


「ああ。今度は、君たちの力も借りる」


 ネビュロスは箱を受け取った。

 セイジが積み込む間、街の方を見た。

 配給を受け取った子供が、母親に手を引かれて歩いている。


 教室の中で止めた時間の先にも、こうした暮らしが必要になる。

 それを一人で用意できるとは、もう言わなかった。


 ヴェルミリオンは、エセリアに親戚がいたという住民から、家の場所を書いた紙を預かっていた。


「残っていないかもしれないよ」


「それでも、見てきてほしい」


 住民は答えた。


「あんたが、あの街をああしたんだろう」


 アシュレイが荷物を持ったまま止まった。

 ヴェルミリオンは笑わなかった。


「そうだよ」


 紙を受け取り、広げる。


「この通りだね。確かめてくる」


 住民は礼を言わずに去った。


 ヴェルミリオンは紙を畳み、内側のポケットへ入れた。

 アシュレイが、何も言わず助手席の扉を開ける。


「ありがとう」


「乗れ。途中で場所を教えてくれ」


 グリムが、治療所の入口から手を振った。


「連絡だけは寄越せよ。また探し回るんは御免や」


「君こそ、留守番で怪我を増やさないようにね」


「誰が留守番や。こっちも仕事やぞ」


 ヴェルミリオンの口元が、少し緩んだ。


 セイジはライガへ、調査の連絡を続けると伝えた。

 ライガも、人手が必要なら呼んでくれと答える。


 二台の車が走り出した。

 分かれ道で、それぞれ違う方へ曲がった。


         *


 リドラムでは、住民と元兵士が同じ通りで働き始めていた。


 家の中へは入れないという住民もいたため、兵士たちはまず道を空けた。

 軍の倉庫から出した道具を、持ち主と確認する仕事もあった。

 その最中に、また口論が起きた。


「それは、うちから持っていった物だ!」


 兵士が手を止める。

 周りに人が集まった。


「ライガを呼べ。あの人なら決めてくれる」


 誰かが言った。


 ライガはエルザたちと、避難所の雨漏りを見ていた。

 呼ばれて通りへ来たが、道具を見ただけで持ち主を決めることはできなかった。


「この辺りで、店を知っている人はいないか」


 隣の店の主人が呼ばれた。

 道具の柄にある印を確かめ、以前から使っていたものだと証言した。

 兵士が、倉庫から出した記録へ返却先を書き加える。


「ほら、ライガが来たら収まった」


 周りで見ていた男が言った。


「確かめてくれたのは、この人だ」


 ライガは店の主人を示した。

 男は頷いたが、すぐに別の話を持ち出した。


「西側の井戸も、先に直してくれないか。あんたから言ってくれれば早い」


「順番を決めている人に聞こう。水を運んでいる人にも」


「だから、その順番をあんたに決めてほしいんだよ」


 ライガは返事に詰まった。


 そこへレクスが、作業を担当する住民を連れてきた。

 エルザは必要な水の量を聞き、ポルクは運べる荷車の数を調べに行った。

 グリムは、集まった人が塞いでいた通りを指した。


「相談するんはええけど、道は空けたれ。飯が通らん」


 荷車を押していた住民が、ようやく通り抜けた。


 話し合いが終わるまで、時間がかかった。

 西側から来た男は希望どおりにはならなかったが、その日のうちに水を届ける手配はついた。


「明日も、いるんだろう?」


 帰り際、男がライガに尋ねた。


「ああ。俺たちは残る」


 男の肩から力が抜けた。


「よかった。もう、誰もいなくなるのは困る」


 ライガは、その言葉にはすぐに答えられた。


「明日も来る」


         *


 夕方、ライガはカイの病室へ行った。


 持ってきたのは、配給された食事だった。

 見張りに確かめてもらい、机へ置く。


「今日は、遅かったな」


「あちこちで呼ばれた」


「聞こえていた」


 カイは窓を見た。


「君の名を呼ぶ声が、増えた」


 ライガは椅子へ座った。


「何でも分かるわけじゃないと言ってるんだが」


「それでも、決めてほしいと言われるだろう」


「……ああ」


 カイは匙を取らなかった。


「私は、それが自分にできると思った」


 ライガが顔を上げる。


「争いをなくしてほしい。迷わずに済むようにしてほしい。そう言われるたびに、私の答えで救える人がいると思った」


「実際に救われたと思った人も、いたんだろう」


「ああ。だから、違うと言う者まで間違っていると思い始めた」


 カイは、自分の署名がある証言を見た。


「レヴェリオも、拍手を聞いた」


 広場の声は、ここにも届いていた。

 救われたと泣く者がいた。次に裁いてほしい者の名が、次々に挙がった。


「私を肯定してくれた彼女が、今度は人々から肯定された。私は、彼女が間違っていると止めなければならなくなった」


 カイは両手を見下ろした。


「もっと早く、そう言い合えればよかった」


 ライガは黙って聞いていた。


「彼女は、私に必要とされたかった。それを知っていて、私は正しいと言ってもらうことばかり求めた」


「お前だけが、全部決めたわけじゃない」


「分かっている。彼女がしたことは、彼女の選択だ」


 カイは顔を上げた。


「それでも、私が彼女に何を求めていたかは、忘れたくない」


 窓の外から、ライガを呼ぶ声がした。

 彼は返事をして、立ち上がりかけた。


「ライガ」


 カイが呼び止めた。


「君も、呼ばれた全てに答えようとするな」


 ライガは振り返った。


「言いたいことは分かる。でも、頼ってくれたことまで、怖がりたくはない」


「……ああ」


「だから、間違ったら言え。お前も」


 カイはすぐには答えなかった。

 机の上の食事へ目を落とし、それからライガへ視線を戻す。


「君も、私に言ってくれ」


「そのつもりだ」


 扉が閉まり、鍵がかかった。


 カイは、冷めかけた食事を口へ運んだ。

 向かいの椅子には、誰も座っていなかった。


         *


 広場の演台は、ようやく片づけられた。


 その近くに、行方不明者の捜索を受け付ける机が置かれた。

 父親が最初に立ち寄り、連絡を受け取る場所を確かめて帰った。


 レヴェリオを支持していた男は、少し離れたところから、その机を見ていた。

 しばらくして近づき、壊された店の被害について、どこへ話せばいいか尋ねた。


 翌日には、聞き取りの場所へ来なかった兵士を捜すことになった。

 証言を変えた者もいた。

 救われた礼を言いに来る人も、怒って帰る人もいた。


 それでも、配給は続いた。

 屋根が直り、店が一つ開いた。


 入口に立った店主が、通りを歩くライガへ声をかけた。


「寄っていけよ。今日は礼に、一杯出す」


「五人いるぞ」


 グリムが横から言った。

 エルザがその腕を叩く。


「あなた、お礼を増やさないの」


「俺らも運んだやろ、ここの荷物」


「五人とも入れ。座る物は、まだ揃ってないけどな」


 店主は笑った。


 ポルクが空き箱を運び、レクスが壁際へ並べる。

 ライガも一つ持ち上げ、グリムの隣へ置いた。


 温かい飲み物が出てきた。

 五人が器を持つと、店主は改めて頭を下げた。


「助かった。店をまた開けられるとは思わなかった」


 ライガは器を置いた。


「開けられて、よかった」


 通りから、誰かが店を覗いた。


「ライガ、ここにいたのか」


「今度は何や。飲んでからにしたれ」


 グリムの声に、何人かが笑った。


「いや、いるならいいんだ」


 男は隣の住民へ顔を向けた。


「あの人が残ってくれるなら、もう大丈夫だろう」


 隣の住民も、店の中を見た。

 安堵した顔で頷く。


 レクスには、その言葉が聞こえた。

 向かいのライガへ目をやると、ライガも顔を上げていた。


 二人は目を合わせた。


 ライガは礼を受け取った器を両手で持ち、まだ温かいうちに飲んだ。

 明日もここで働く。そのつもりは変わらなかった。


(第4部完 / 第5部へ続く)

【後書き】

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。


4部は、これで完結です。


レヴェリオとの戦いが終わっても、彼女の断罪に救いを求めた人々の気持ちは残ります。カイも、レッドたちも、兵士たちも、それぞれの行いを問われることになります。


一方で、連れ去られた人々の暮らす居住区への道は閉じたままです。古い組織と科学者、カイとレヴェリオの記憶、ネビュロスに渡された本。調べるべきことを抱え、仲間たちはそれぞれの場所へ向かいました。

4部を最後まで読んでくださった皆さま、本当にありがとうございました。

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