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アンチジャスティス -魔王戦隊ダークトリニティ-  作者: DD22
第4部:断罪と贖罪編

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第4部 第18話『命を灯す炎』

【前回のあらすじ】

タワー跡で始まった公開断罪。カイの素顔をしたレヴェリオが兵士を殺そうとし、三魔王が真・魔導外殻《トゥルー・マギア・シェル》を展開して阻止した。レクスたちが住民を逃がす一方、レヴェリオは変身せず、重力と雷だけで三人を圧倒する。ネビュロスは彼女の足首に術式を見つけたが、その正体を確かめる前に、三魔王は地面へ押さえ込まれてしまう。

※本作品の執筆にはAIを活用しています。


 グリムの膝が、舗装へめり込んだ。

 押し返そうとした肩にも重力がかかり、黒い装甲に亀裂が走る。


「黒曜鎧《オブシディアン・ガード》……!」


 装甲から噴き出した溶岩が冷え固まり、肩と背中に分厚い防御層を作った。

 だが、レヴェリオが指を曲げると、その表面にもひびが入った。


「もっと厚くするの?」


 彼女は三人を見下ろしていた。


「支える力が、先になくなるよ」


 ネビュロスが魔導書を開く。

 頁を押さえる指が震えている。彼は膝の下へ氷を広げ、グリムとヴェルミリオンの足元までつないだ。


「右へ滑れ。私が手を逸らす」


「分かった。……合わせるで」


 グリムが氷の端へ爪先をかけた。

 ヴェルミリオンは、手にしていた短い刃を地面へ突き立てた。幻術で実体を持たせた刀身が紫に揺れる。彼は形を保つために魔力を注ぎ、柄を握り直した。


「氷晶弾(クリスタル・バレット)!」


 ネビュロスの頭上に、鋭い氷の槍が生まれた。

 三本が異なる角度から、レヴェリオの右手へ飛ぶ。


 彼女は右の掌を返した。

 氷の槍が空中で止まり、そのまま砕ける。


「今だ!」


 グリムを押さえる力が弱まった一瞬、三人は氷を蹴った。ヴェルミリオンが刃を支えに身体を押し出し、ネビュロスも右へ滑る。


 レヴェリオは左手で三人を追った。

 掌から紫雷が走る。


「絶対結界《アブソリュート・ウォール》!」


 ネビュロスが、三人の前へ厚い氷壁を立てた。

 雷は壁の中央を貫き、裏側まで亀裂を走らせる。三人が立ち上がった直後、結界が砕けた。


 グリムが前へ出た。

 両腕を交差させ、残った雷を追加装甲で受け止める。黒曜石の防御層が剥がれ、その下の腕まで衝撃が抜けた。


「ぐっ……!」


 踵が滑る。

 グリムは踏みとどまり、右へ目を向けた。


 ライガが、柱の陰から走り出していた。


         *


「ヴェルミリオン、頼む!」


「いいよ。君は止まらずに進んで!」


 ヴェルミリオンの翅が開いた。


「道化の舞(ミラージュ・ワルツ)!」


 紫の粉が散り、彼と同じ姿が二つ生まれる。

 一体は正面へ走り、もう一体は大きく左へ回った。本体は右側でライガと並び、刃を構えた。


 レヴェリオが、正面の一体へ雷を放つ。

 分身は胸を貫かれて崩れた。彼女はその消失を見届けず、右手を本物のヴェルミリオンへ向ける。


「そこだね」


 足元の石片が持ち上がり、ライガたちへ殺到した。


 ヴェルミリオンがライガの腕を掴み、身体を低く引いた。

 左へ走った分身が戻り、二人の前へ飛び込む。石片を受け止めたその胸が大きくへこみ、紫の粉となって散った。


 破片は止めきれなかった。

 ヴェルミリオンの肩へ石が当たり、紫の装甲を砕く。


「っ……行って!」


 彼はライガの腕を放した。

 ライガは止まらず、その横を抜ける。


 レヴェリオの掌が、今度はライガへ向いた。


 身体が沈んだ。

 走っていた足が止まり、片膝が地面を打つ。腕をついても、その腕ごと押し潰されそうになる。


「力もないのに」


 レヴェリオが言った。


「君まで、来るんだね」


 ライガは歯を食いしばった。

 地面についた左腕には、ゾーエ(変身ブレス)がある。昨日、小さな炎を受け止めた装置だった。


『ライガ、聞こえるか!』


 通信機からセイジの声がした。


『レクスたちは住民を逃がした。退避路も空いている。君は前へ進め!』


 ライガは顔を上げた。

 ヴェルミリオンは傷ついた肩を押さえながら、敵の右側へ回っている。ネビュロスも魔導書を開き直していた。


 正面から、グリムが走り込んだ。


「紅蓮拳(グレン・インパクト)!」


 炎をまとった拳が、レヴェリオの左腕へ迫る。

 彼女は左の掌で重力を放った。グリムの拳が止まり、足元の舗装が後ろへ削れる。


「そこまでして、守りたいの?」


 レヴェリオが尋ねた。

 グリムの腕から、炎が横へ流される。肩の装甲が割れても、彼は踏み込むのをやめなかった。


「こいつと……帰る約束しとんねん!」


 ライガの目が、グリムへ向いた。


 昨日、自分が言った。

 明日は全員で帰る。その中には、自分も入っていると念を押された。


 一人残るために、ここへ来たのではない。


「セイジ。そっちは頼む」


『任せろ』


 ライガは地面についた手を握った。


「グリム、俺も行く。あと少し、支えてくれ!」


「おう……!」


 グリムの足が止まった。

 押し戻されていた踵を踏み込み、もう一度、拳を前へ押し出す。


 ライガの指先に、白い炎が灯った。

 地面を焦がすことなく、手の甲から腕へと広がっていく。


 ライガは左足を立てた。

 重力が肩へ食い込む。息が詰まる。それでも、足を踏み締め、腰を上げた。


 炎がゾーエ(変身ブレス)へ届いた。

 白銀の枠の中央で、光が消えずに灯り続ける。


『入力、継続! 装甲形成まで上がります!』


 ポルクが叫んだ。

 エルザの声が続く。


『ライガ、今なら使えるわ。私たちが作った想いを信じて!』


 レヴェリオが右手を強く突き出した。

 ライガの両脇で舗装が陥没する。


 だが、彼は怯むことなく立っていた。

 白炎が肩を覆い、身体を押し潰していた力を焼き切っていく。


「……その炎は」


 レヴェリオが、ライガの手元を見た。


 ライガは左腕を胸の前へ掲げた。

 腕から立ち上がった白炎を、右手で包むように握る。


「バーニング――チェンジ!」


 白い炎が、一気に全身を駆け上がった。


 深紅のスーツが身体を覆い、胸から肩へ白い装甲が組み上がる。握った拳を白い手甲が包み、踏み締めた足にも装甲が重なった。

 胸の「B」が白銀に光る。

 赤いスカーフが背へ伸び、炎をまとって翻った。


 レヴェリオは右手から雷を放った。

 光が収まるのを待たず、ライガの胸を狙った。


 ライガは左腕で受けた。

 紫雷が白い装甲に弾け、足元へ散る。踵が半歩滑ったが、彼は倒れなかった。


 炎の中で、最後にマスクが顔を覆った。


 神聖バーニングレッド。

 誰かから奪った命ではなく、ライガ自身の白炎で動く装甲が、再びその身を包んでいた。


 レヴェリオが左の掌を返す。

 グリムの身体が、地面へ叩きつけられた。さらに雷を落とそうと、彼女が指を開く。


 その前へ、ライガが入った。


「爆熱剛拳(バーニング・ナックル)!」


 白炎をまとった右拳を、グリムの頭上へ振り抜く。

 押し潰す重力と降り注ぐ雷に、炎が正面からぶつかった。


 白い火が広がり、圧力を切り裂いた。

 雷は左右へ分かれ、二人の脇の舗装を砕く。


 グリムが顔を上げた。

 ライガは左手を差し出し、彼の前腕を掴んで立たせた。


「待たせたな」


「……ほんまや待たせやがって」


 グリムは息を吐き、口の端を上げた。


「きっちり今までの分、働いてもらうで」


「ああ。一緒に帰ろう約束する」


 ライガは手を離し、レヴェリオへ向き直った。

 ネビュロスとヴェルミリオンが、その左右へ並ぶ。


 レヴェリオが右手を突き出した。

 ライガは白炎を前へ広げ、一歩踏み込んだ。重力は消しきれず、装甲を押す。それでも、前へ進める。


 右からヴェルミリオンの幻影刃が迫り、左から氷の鎖が地面を走った。

 レヴェリオは掌を引き、石段まで後退した。


 四人が並んだまま、彼女の立っていた場所へ進んだ。



         *


 ライガは構えを崩さず、敵の両手を見た。

 変身しても、体力まで戻ったわけではない。三魔王の呼吸も荒い。この四人で動ける間に、カイへ届かなければならなかった。


「その炎は……」


 レヴェリオが右手を見た。

 指先から紫の光が散る。もう一度掌を握り、ライガへ視線を戻した。


「カイを取り戻す」


 ライガが告げた。


「命令したことも、俺たちがしたことも、本人たちが答える。その身体を返せ」


「カイに、また決めさせるんだね」


「お前一人に決めさせるために、ここへ来たんじゃない」


 レヴェリオが、両手を下ろした。

 四人の足元で地面が陥没する。


「散らばれ!」


 ライガの声に、三魔王が跳んだ。

 グリムは後ろへ、ヴェルミリオンは右へ。ネビュロスは左へ氷の足場を張り、崩れた舗装を越える。


 ライガは白炎を足元へ流し、沈みかけた地面を蹴った。

 肩を紫雷がかすめる。白い装甲に焦げ跡を残しながら、グリムの横へ着地した。


 陥没した穴の底に、厚い金属板が見えた。

 タワーの基部から奥へ続く、地下区画の天井だった。側面には、土に埋まった大型の搬入口がある。


 セイジが通りの角から位置を確かめた。


『基部の下に別区画がある。だが、今は近づけない』


『位置だけ控えて。退避路が崩れるなら、すぐ知らせて』


 エルザの返事を聞き、セイジは戦場へ目を戻した。


 レヴェリオは穴の向こうに立っていた。

 掌を開くと、砕けた舗装がいくつも浮き上がる。


「また、押し潰してあげる」


「その前に、捕まえる」


 ライガは三人へ顔を向けた。


「ネビュロス。術式を見る時間を作る。ヴェルミリオンは狙いを分けてくれ。グリム、一緒に前へ出るぞ」


「待っとったわ!」


 グリムが拳を打ち合わせた。

 ヴェルミリオンは傷ついた肩を回し、レヴェリオへ笑いかけた。


「さっきのだけで、僕の出し物が終わったと思ったかい?」


         *


「夢幻蝶《ファントム・バタフライ》!」


 ヴェルミリオンの周囲から、紫の蝶が飛び立った。

 蝶は地面すれすれと頭上へ分かれ、レヴェリオを囲む。彼女が雷を振るうと、一群が光を散らして消えた。


 その光の向こうから、グリムが走り込んだ。


 レヴェリオが右手を向ける。

 グリムの姿が、紫の粉へ崩れた。


 蝶が作った偽物だった。


 本物のグリムは、低い姿勢で左から踏み込んでいた。ライガは正面から迫る。

 レヴェリオは右手をライガへ、左手をグリムへ向けた。


 グリムの拳から赤い炎が噴き出す。

 左手が作る圧力へ、腕ごと突っ込んだ。


「紅蓮拳(グレン・インパクト)!」


 同時に、ライガがレヴェリオの右の掌へ白炎を放った。

 彼女は炎を避けようと上体をひねった。左手の向きがずれた隙に、グリムの拳がその前腕へ届き、外へ弾いた。グリムはすぐに手を開き、左手首を掴む。


 ネビュロスが氷を走らせた。


「氷鎖・零結陣《グレイシャル・チェーン》!」


 六本の鎖が足首と膝へ巻きつき、左右に立てた氷柱へ張られた。

 レヴェリオは後ろへ跳べず、上体をひねる。


 ヴェルミリオンが右側から飛び込んだ。

 刃の腹を彼女の右腕へ当て、掌を上へ押し上げる。


「今だよ、ライガ!」


 グリムは左手首を掴んだまま、正面を空けた。


 ライガが入る。

 今度は拳を開き、白炎をまとった掌を胸へ押し当てた。


 レヴェリオの身体から紫雷が噴き出した。

 グリムの腕を雷が伝い、ヴェルミリオンの刃が震える。


 ライガは顔を背けず、胸に当てた手へ炎を集めた。


「ネビュロス!」


「見ている!」


 白炎に照らされ、カイの胸に二重の輪が浮かんだ。

 外側の輪から、腕と脚へ細い線が伸びている。内側の輪は、その中心で小さく明滅していた。


「外へ伸びる線だ。中心は焼くな!」


 ライガは炎を絞った。

 右肩へ続く線に白炎が触れると、レヴェリオの腕が大きく跳ねた。


「……やめて」


 レヴェリオの声から、笑みが消えた。


 この炎は、身体を焼こうとしているのではない。

 自分がカイの手足を動かすためのつながりへ、触れている。


 レヴェリオは右腕を強く引き、ヴェルミリオンの刃を弾いた。

 空いた手が、ライガの喉へ伸びる。


 グリムは、掴んでいた左手首が内側へ動くのを感じた。敵の掌を自分から外す動きだったため、握る力を緩める。

 自由になったカイの左手が、ライガへ伸びる右腕を掴んだ。震えながら、その腕を胸元へ引き戻そうとしている。


「カイ……?」


 ライガが呼んだ。

 目の前の唇が動く。


「……離れろ」


 かすれた声だった。


 直後、カイの身体を紫の光が包んだ。


「皆下がれ!」


 ライガが叫び、掌を離した。

 グリムは左手首を放し、ヴェルミリオンも弾かれた刃を引いて跳び退いた。足元の鎖が砕け、全身から放たれた雷が四人を襲った。


 ネビュロスが、割れた地面の手前へ氷壁を立てた。


「絶対結界《アブソリュート・ウォール》!」


 ライガたちは壁の後ろへ飛び込んだ。

 雷が結界の上部を突き破り、頭上で氷を砕いた。全員が身を伏せる。残った下半分の氷に守られ、その上を光が通り過ぎた。


         *


 ライガが片膝をついた。

 白い胸甲に焦げ跡が走っている。腕にも痛みがあった。

 それでも、掌の白炎は消えていなかった。


「今の、カイやろ」


 グリムが息を吐きながら立った。


「あいつ、自分で止めよったぞ」


「……ああ」


 ライガも立ち上がった。


「カイ! 聞こえるなら、もう少し待ってくれ!」


 向こうでは、レヴェリオが胸を押さえていた。

 白炎の触れた場所から、小さな光が散っている。


 彼女は右腕を持ち上げた。

 左手が勝手についてこないことを確かめてから、ライガを見る。


「その炎で、私を追い出すんだね」


「カイを返してもらう」


 レヴェリオは、四人との距離を見た。

 グリムの拳、ネビュロスの魔導書、ヴェルミリオンの翅。そしてライガの白炎へ、順に目を向ける。


 もう、近づかせるつもりはなかった。


「ジャスティス……チェンジ!!」


 紫の光が噴き上がった。

 深紅のスーツを黒い装甲が覆い、肩から背へ刃のような突起が並ぶ。継ぎ目を紫の光が走り、腰から黒いロングコートが広がった。


 カイの素顔が隠れる。

 マスクの左半分はユナイトレッドの赤。右半分には黒い有機装甲が食い込み、口元に牙のような突起が並んでいた。


 タワーで全員を倒した姿が、再び目の前に立った。


「来るぞ!」


 ライガの声と同時に、レヴェリオが地面を蹴った。


 グリムが両腕を交差させる。


「黒曜鎧《オブシディアン・ガード》!」


 新たに固まった防御層へ、黒い拳が突き刺さった。

 厚い黒曜石が割れ、グリムの身体が後ろへ飛ぶ。ライガが受け止めたが、二人まとめて数歩押し戻された。


「絶対結界《アブソリュート・ウォール》!」


 ネビュロスが右へ氷壁を立てる。

 レヴェリオは掌で押し潰し、その破片をヴェルミリオンへ飛ばした。紫の蝶が散る前に雷が走り、退く先の地面まで砕かれる。


 ヴェルミリオンは横へ転がり、刃を地面へ突き立てて止まった。


 四人の包囲は崩れていた。

 先ほど白炎が届いた場所には、もう黒い装甲がある。


 レヴェリオが右手を上げた。


「今度は、その炎から消す」


 ライガはグリムを立たせ、白炎を拳へ集めた。


「やらせない」


 グリムが隣で拳を上げる。

 ネビュロスとヴェルミリオンも、二人の左右へ戻った。


 カイの声は届いた。

 その身体を取り戻すために、四人はもう一度、前へ出た。


(19話へ続く)

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。


仲間に任せ、任された役目へ進む。その中で、ライガが再び神聖バーニングレッドへ変身しました。四人の連携はレヴェリオへ届き、内側にいるカイからも反応が返ります。


しかし、白炎の危険を知った彼女は、ついにタワーで見せた姿へ変身しました。次回、カイを取り戻すための戦いが本格化します。


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