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アンチジャスティス -魔王戦隊ダークトリニティ-  作者: DD22


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第3部 第21話『白炎と紫雷(後編)』

【前回のあらすじ】

激戦の末、カイは疲れ果てた素顔を晒した。彼は自らの過去と、ライガたちを駒として利用したことを告白し謝罪。三魔王やグリムの言葉に、ライガは「お前を考えられる場所に連れ帰りたかった」と本心を伝える。

カイは一瞬微笑むが、その体は突如として紫の光に包まれ変貌。深紅のスーツに黒い装甲をまとった姿で再び立ち上がった。

※本作品の執筆にはAIを活用しています。


 グリムの拳が——無意識に、固まった。


 本能だった。


 言葉より先に、体が告げていた。


 あれは——カイではない、と。


「……待ちや」


 グリムは、《魔導外殻マギア・シェル》に残った魔力を右拳へ絞り出した。


 魔力は——ほとんど残っていなかった。


 それでも。


「お前がカイの中にずっとおったんか。……カイを全肯定し続けて、その隙に出てきた」


「そうだ」


 レヴェリオは、穏やかに答えた。


「カイの思想が歪んでいくにつれ——私は逆に抑圧された。カイの奥深くへ、押し込まれた。……今夜まで、ずっと」


「そりゃたちが悪いわ」


 グリムは、踏み込んだ。


「《紅蓮拳グレン・インパクト》!!」


 残り僅かな魔力を込めた一撃だった。


 レヴェリオは——右手を、軽く振るった。


 重力が歪んだ。


 グリムの拳が、軌道を逸れた。


「ぐ——ッ!!」


 グリムが吹き飛んだ。


 床を転がり——壁際まで叩きつけられた。


「グリム!!」


 ネビュロスが、《魔導外殻マギア・シェル》に残った僅かな魔力を絞り出した。


「《氷鎖・零結陣グレイシャル・チェーン》!!」


 冷気の鎖が、レヴェリオへ向かって伸びた。


 しかし——その速度も、密度も、本来の半分もない。


 レヴェリオは、紫の雷を軽く散らすだけで、鎖を霧散させた。


「ぐ——ッ!?」


 ヴェルミリオンが、残り僅かな魔力の全てを蝶に込めた。


「《夢幻蝶ファントム・バタフライ》!!」


 爆発を伴う幻惑の群れが、レヴェリオへ向かって殺到する。


 だが——レヴェリオは微笑んだ。


「カイの記憶の中で、何度も見た。……美しいね」


 紫の雷が一閃した。


 蝶が、全て散った。


「なッ——!?」


「……魔力が枯渇している。それでも向かってくるか」


 レヴェリオの声に——感情はなかった。


 称賛でも嘲笑でもない。


 ただの、純粋な——好奇心だった。


 その時。


 生身の三人が——前に出た。


 誰も、何も言わなかった。


 レクスは無言で、レヴェリオへ向かって走った。


 セイジが——構えた。


 勝率はゼロだと分かっていた。


 でも——動かない理由も、なかった。


 セイジは、無言で踏み込んだ。


「——ッ!!」


 アシュレイが——叫んだ。


 叫びながら、飛び込んだ。


 怒りか、悲しみか、自分でも分からなかった。


 カイに「扱いやすい駒」と言われた。


 カイに謝罪された。


 全部ぐちゃぐちゃのまま——それでも体が動いた。


 レヴェリオは——三人を見た。


 その目に。


 初めて——何かが、揺れた。


「……カイが傷つけた人間たちが、立っている」


 静かに呟いた。


 紫の雷と重力が、同時に解き放たれた。


 ドォォォォォンッ!!!


 グリム、ネビュロス、ヴェルミリオン——三魔王が、床に叩きつけられた。


 レクス、セイジ、アシュレイ——三レッドが、同時に吹き飛ばされた。


 全員が——動けなかった。


 最上層が——静まり返った。


 レヴェリオは、倒れた全員を見渡した。


 一人ずつ、確かめるように。


 そして——ライガへ向いた。


「……ライガ」


 初めて——名前を呼んだ。


「カイは君を、最後まで信じていた。……私はずっと、その理由が分からなかった」


 レヴェリオは、静かに続けた。


「今夜、少し分かった気がする」


 ライガは——答えなかった。


 ただ、まっすぐレヴェリオを見ていた。


「私はこれから、自分の道を定義する。——私自身の物語を」


 レヴェリオは、踵を返した。


「また会おう、ライガ。……君とは、もう一度交わることになるだろう」


 紫の霧が、レヴェリオを包んだ。


 消えた。


 最上層に——静寂が戻った。


 次の瞬間。


 モニターが——赤く染まった。


『アーネストシティ計画——同期率98%。最終統合シークエンス、残り時間——5分』


 セイジが——荒い息の中で叫んだ。


「まずい……! 残り5分でノクタリア全市民の意識が飲み込まれる……!! コアを物理的に破壊しなければ止められない……!!」


「コアってなんや!!」


 グリムが叫んだ。


「タワーの中枢だ——このシステム全体の心臓にあたる。あれを破壊すれば計画は止まる。だが——」


 セイジは、全員を見た。


「コアはジャスティスフェイスの特殊合金で作られている。通常の魔力では傷一つつかない。……破壊できるのは」


 全員が——ライガを見た。


「白炎だけだ」


 ライガは、床に片膝をついたまま——コアのある方向を、見ていた。


 白炎のオーラが。


 薄れていたが——消えていなかった。


「……分かってる」


 ライガは——立ち上がった。


 全身が、悲鳴を上げていた。


 それでも——立った。


「ポルク。俺達をこの場から転送できるか?」


 通信機から、ポルクの声が飛び込んできた。


『ラ、ライガさん……!』


「ポルク——」


 エルザの声が、割り込んだ。


 いつもの冷静さが——わずかに、崩れていた。


『聞いて、ライガ。今ポルクはタワーのシステムへのハッキングで座標を特定して、外への強制転送をかけられる。でもコアを破壊した瞬間——タワーの全システムが落ちる。そうなったらアクセスが切れて座標が特定できなくなる。崩壊が始まれば通信も——』


 エルザは、一瞬——止まった。


『……コアを壊したら、もうあなたを転送できない』


 最上層が——静まり返った。


 全員が、その言葉の意味を、理解した。


 グリムの目が——赤くなった。


「……ッ」


 言いたいことは、山ほどあった。


 行かせたくなかった。


「グリム」


 ライガは——笑った。


 満身創痍の、それでも確かな——笑顔だった。


「お前に何度救われたと思ってる。……今度は俺の番だ」


 グリムは——歯を食いしばった。


 ライガの目を見れば、分かった。


 この男は——もう決めている。


「……絶対死ぬなよ」


 震える声だった。


「絶対や。絶対どこかにおれ。……俺が、必ず見つけたる」


 ネビュロスが——静かに言った。


「……生き延びろ。お前にはまだ、やることがある」


 ヴェルミリオンが——床に倒れたまま、ライガを見た。


「幕を下ろすのは、君じゃない。……また舞台に立て」


 レクスが——重々しく、一言だけ言った。


「……生きて戻れ」


 セイジが——静かに言った。


「計算外だが——必ず戻れ」


 アシュレイが——顔を逸らしたまま、絞り出した。


「……死んだらぶん殴るからな」


 ライガは——全員を見た。


 言葉は、出なかった。


 ただ——頷いた。


 その頷きに、全てがあった。


「ポルク——転送、頼む」


 転送光が、全員を包み始めた。


 グリムは——最後まで、ライガを見ていた。


 ライガも——グリムを見ていた。


 転送光が、グリムを飲み込んだ。


 最上層に——ライガだけが、残された。


         *


 ライガは立ち上がった。


 全身が、悲鳴を上げていた。


 白炎のオーラが——消えかけていた。


 胸のドッグタグを——握った。


 冷たい金属の感触。


 あの日、救えなかった少女が残してくれたもの。


 ずっと——鎖だと思っていた。


 だが。


(お前が俺に残してくれたこれが——ずっと、俺を生かしてくれた)


 ライガは、タワーのコアへ向かって歩いた。


 一歩。


 また一歩。


『残り2分』


 白炎の残り火が——揺れていた。


(だから俺は——諦めない)


 コアの前に立った。


 残った白炎を——全て、右拳に込める。


 最後の一撃。


「《真紅の白炎クリムゾン・プロミネンス》——!!」


 ドォォォォォォォンッ!!!!!!


 タワーのコアが、白炎に飲み込まれた。


『アーネストシティ計画——停止。全システム——シャットダウン』


 そして——最上層が、崩れ始めた。


         *


 タワー外。


 グリムは——崩れ落ちるジャスティスタワーを見上げた。



「ライガ……」


 グリムの声が、震えた。


 ポルクが、端末を必死に操作していた。


 指が震えていた。


 何度も、何度も——検索をかけた。


「……ライガさんの、生体反応が……」


 ポルクの声が、詰まった。


「……見つかりません」


 端末を、落としそうになった。


「どこを探しても……タワー内にも、周辺にも……反応が——」


 ポルクは、画面を見つめたまま——動けなかった。


 沈黙が、落ちた。


 全員が——タワーの残骸を見ていた。



 グリムは——拳を、握りしめた。


 震えていた。


 それでも——顔を上げた。


「……アイツはこんなことで死なへん」


 低い声だった。


 震えていたが——確かだった。


「俺と約束したんや。どこかにおれって言うたら——おるって頷いたんや」


 グリムは、夜空を見上げた。



「ライガァァァ——————ッ!!!」


 叫んだ。


 夜空に、届けるように。


 

(第3部完/ 第4部へ続く)

第3部完結しました。


圧倒的な強さを誇るレヴェリオとの戦い、そして「アーネストシティ計画」を阻止するための最後の希望が描かれました。仲間たちの想いを受け止め、一人残る決断をしたライガ。それぞれのキャラクターの覚悟と絆が強く感じられる回になったかと思います。


第4部もぜひ見届けていただけると嬉しいです。


面白いと感じていただけたら、ぜひ下の★★★★★から評価をお願いします!

ブックマークや感想も、執筆の大きな励みになりますので、お待ちしております!

次回もお楽しみに!

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