第2部 第6話『魔導外殻(マギア・シェル)』
【前回のあらすじ】
ライガ(バーニング)が洗脳され、敵となったことに苦悩する魔王たち。しかし、助け出した研究員ポルクとエルザの協力により、ジャスティスの技術を応用した新たな力への糸口を掴む。
※本作品の執筆にはAIを活用しています。
地下水道のアジト。
作業台には、三つの黒い腕輪が並べられていた。
「完成しました」
ポルクが、隈だらけの目で笑う。
「名付けて《魔導外殻》。
あなた方の魔力を物理的な『鎧』として結晶化させ、身体能力と防御力を爆発的に引き上げるデバイスです」
「ほう、こいつが俺らの新しい牙か」
グリムが腕輪を手に取り、重さを確かめるように弄ぶ。
「けどよ、これ着たら俺らのイケメンが台無しにならへんか? 顔まで隠れるんは勘弁やで」
「大丈夫です」
エルザが苦笑する。
「頭部は露出する設計です。魔力の放出効率を考えた結果ですが……」
「顔が見えなきゃ、客にアピールできないからねぇ。ナイス判断だよ」
ヴェルミリオンが横から腕輪を受け取り、自分の腕に当ててみる。
「ふん。機能美に欠けるな。もっと洗練されたデザインにはできなかったのか?」
ネビュロスが文句を言いながらも、しっかりと腕輪を装着する。
「文句ばっか言うなや。……行くぞ」
グリムの目が据わる。
「ライガが待っとる。……あいつを、あんな鉄クズ(人形)のままにしとくわけにはいかん」
*
地上。夜明け前の森。
木々をなぎ倒す轟音と共に、四つの赤い影が進軍してくる。
先頭を行くのは、無機質な殺意を放つバーニングレッド。
その後ろに、アシュレイ(ブレイズ)、セイジ、レクス(ジャッジ)が続く。
「……おい、本当にあいつら此処にいるのか?」
アシュレイが苛立たしげに周囲を見回す。
「反応あり。座標誤差、修正済み」
セイジが淡々と答えるが、その指先は小刻みに動いている。
レクスは無言のまま、大剣の柄を強く握りしめていた。
「ターゲット確認。……排除を開始する」
バーニングが機械的に告げ、スラスターを点火しようとした――その時。
「待ちくたびれたわ、正義の味方さんよォ!!」
闇の中から、グリムの声が響いた。
同時に、三方向から凄まじい魔力の奔流が巻き起こる。
「《魔導・展開》!!」
轟音。
赤黒い閃光、蒼い冷気、紫の霧が森を飲み込む。
「なッ……!?」
アシュレイが足を止める。
煙が晴れたその先に立っていたのは、見たこともない姿の魔王たちだった。
グリムの全身は、溶岩のように赤熱する重厚な装甲に覆われている。
ネビュロスは、氷の結晶で編まれた鋭利な甲冑を。
ヴェルミリオンは、昆虫の外骨格を思わせる優美で不気味な紫の鎧を纏っていた。
「何だ、その姿は……!」
レクスが驚愕する。
「科学技術と魔力の融合……!? ありえない、短期間でここまで……」
セイジの分析は追いつかない。
「驚くのはまだ早いで」
グリムが、鎧に覆われた拳をガチンと鳴らす。
その顔は露出しており、獰猛な笑みが浮かんでいる。
「これは、お前らが捨てた『技術』と、俺たちが守った『意地』の結晶や。
……借り物のスーツでイキがっとるお前らとは、年季が違うんじゃい!」
「排除する」
バーニングだけが動じず、一直線に突っ込んでくる。
「来いッ!! ライガ!!」
ガキンッ!!
バーニングの拳と、グリムの《魔導外殻》が激突する。
衝撃波が周囲の木々を根こそぎ吹き飛ばすが、グリムは一歩も引かない。
「へッ……相変わらず、石頭やな」
至近距離。
グリムは、バーニングの無機質なバイザーを睨みつけた。
「けどな、今度は負けへんで。
……その仮面ひっぺがして、文句を山ほど言うたるわ!!」
「魔王共……! 調子に乗るなよ!」
アシュレイも炎を噴き上げ、加勢に入ろうとする。
「おっと、君の相手は僕だよ」
ヴェルミリオンが立ちはだかる。
「邪魔はさせん。……知恵比べの続きと行こうか」
ネビュロスが氷壁を展開し、セイジとレクスを分断する。
森の中で、四対三の総力戦が幕を開ける。
(第7話へ続く)
ここまでお読みいただきありがとうございます!
ついに魔導外殻が完成し、魔王たちが新たな姿を披露しましたね! ポルクが徹夜で作り上げた「魔導外殻」は、それぞれのキャラクターの個性に合わせてデザインされている点にも注目していただきたいです。グリムの熱い装甲、ネビュロスの鋭利な氷、ヴェルミリオンの優美かつ不気味な外殻……いかがでしたでしょうか?
そして「正義の味方」たちとの因縁の対決が幕を開けました。魔王たちの「捨てられた技術」と「守った意地」がぶつかり合う総力戦の行方に、ぜひご期待ください!
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次回もお楽しみに!




