表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アンチジャスティス -魔王戦隊ダークトリニティ-  作者: DD22


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
30/67

第2部 第7話『鋼の迷宮、揺れる赤心』

【前回のあらすじ】

ポルクが開発した魔力結晶化デバイス「魔導外殻マギア・シェル」を装着し、魔王たちは新たな力を手に入れた。ライガを救うため、彼らはバーニングレッド率いる「正義の味方」と森で対峙。魔導外殻を纏い変貌したグリムはバーニングと激突、ヴェルミリオンとネビュロスも敵を分断し、四対三の総力戦が幕を開けた。

※本作品の執筆にはAIを活用しています。


         


「オラオラオラァッ! 逃げんじゃねぇぞ、道化野郎!」


夜の森を焦がすほどの爆炎が、幾重にも炸裂する。

ブレイズレッドが両手の平から放つ火球は、一つ一つが手榴弾並みの威力を持ち、着弾するたびに大地を抉り取っていく。

だが、その灼熱の嵐の中を、一匹の紫の蝶のように舞う影があった。


「熱いねぇ。でも、単調だよ」


ヴェルミリオンだ。

彼が纏う紫の《魔導外殻マギア・シェル》は、昆虫の外骨格のように滑らかで、関節部からは常に幻覚作用のある鱗粉が噴出している。

ブレイズの放った火球が直撃する――と見せかけて、その身体が陽炎のように揺らぎ、すり抜ける。

実体がないのではない。マギア・シェルの補助で幻術の展開速度を極限まで上げ、攻撃が当たる瞬間に自身の位置情報を誤認させているのだ。


「クソッ、どこだ! 出てこい!」

ブレイズが焦燥の声を上げ、周囲を闇雲に焼き払う。

視界は紫の霧に覆われ、平衡感覚すら怪しくなってくる。


「君は焦りすぎだ。……カイに認められたくて必死なのはわかるけど、そんなにガツガツしてちゃ、誰も見てくれないよ?」

霧の奥から、嘲笑うような声が響く。


「テメェ……! 俺をナメるなァッ!!」

ブレイズの拳が空を切る。

だが次の瞬間、霧の中から無数の紫のニードルが出現し、ブレイズの装甲を雨のように穿った。

「ぐあぁぁっ!?」


         


一方、戦場の反対側では、静寂と轟音が交錯していた。


「演算完了。氷壁の強度は前回比250%……。物理破壊は非推奨」

セイジレッドが冷静に告げる。彼のバイザーには、目の前にそびえ立つ巨大な氷の城塞の構造図が表示されていた。

だが、隣に立つジャッジレッドは聞く耳を持たない。


「問答無用! 力で押し通る!」

ジャッジが大剣を振り上げる。数トンの質量を持つ鋼鉄の塊が、氷壁に叩きつけられた。


ズガァァァン!!


鼓膜を破るような衝撃音。氷の破片が散弾のように飛び散る。

だが、氷壁は健在だった。ヒビ一つ入っていない。

それどころか、砕けた破片が自律的に動き出し、ジャッジの装甲にまとわりついて凍結させていく。


「学習しないな」

氷の城塞の頂上。蒼き結晶の鎧を纏ったネビュロスが、冷ややかに見下ろしていた。

彼の指先には魔導書が浮遊し、戦場全体の魔力分布をリアルタイムで書き換えている。

マギア・シェルの演算補助により、複雑な術式の構築速度が飛躍的に向上していた。


「お前たちは『システム』に頼りすぎている。そこに『自分』がないから、想定外の事態に弱いのだ」

ネビュロスが呪文を紡ぐ。

氷狼牙フェンリル・ファング

氷壁から巨大な氷の狼たちが具現化し、セイジとジャッジに襲いかかる。

「くっ、迎撃ッ! 数が多い!」

セイジが双剣で捌き、ジャッジが大剣で薙ぎ払う。

一進一退。だが、無限に再生する氷の軍勢に、徐々にレッドたちのスタミナが削られていく。


         


そして、戦場の中央。

そこでは、次元の違う殴り合いが行われていた。


ドガァッ! ズドォン!!


衝撃波だけで地面が陥没し、巨木が爪楊枝のように折れ飛ぶ。

赤黒い溶岩の鎧を纏ったグリムと、真紅の科学スーツを纏ったバーニングレッド。

二つの「赤」が、真正面から激突していた。


「排除……排除……」

バーニングの動きに迷いはない。

右腕のヒート・ガントレットが唸りを上げ、正確無比にグリムの急所を狙う。

回避も防御も最小限。ダメージを顧みない、特攻兵器の動きだ。


グリムはその全てを、正面から受け止めていた。

拳を受け流し、肩でタックルを弾き返す。《魔導外殻マギア・シェル》が軋み、火花を散らす。


「排除排除って、壊れたラジオかお前は!」


ドスッ!

グリムの拳が、バーニングの腹部に突き刺さる。

だが、バーニングは表情一つ変えずに、カウンターの肘打ちを返してきた。

グリムの頬が裂け、血が飛ぶ。


「……痛いなァ、クソッ」

グリムは血を拭い、ニヤリと笑った。


「けどな、全然効かへんわ。

……お前の拳は、こんなに軽くなかったはずやろが!!」


グリムが踏み込む。

魔導外殻マギア・シェル》のリミッターを解除。背中の排気口から、赤黒い魔力がジェット噴射のように吹き出す。

その推進力を乗せた拳は、もはや砲弾だ。


「うおおおおおッ!!」


渾身の右ストレート。

それは技術でも速度でもない。「目を覚ませ」という、魂の叫びを乗せた一撃。


ガギィィィィン!!


バーニングのガードごと、その身体を吹き飛ばす。

巨木を三本なぎ倒してようやく止まったバーニングは、ゆらりと立ち上がろうとして――膝をついた。


『思考回路……異常検知。ターゲットの音声パターン……記憶領域と照合……』


無機質なバイザーの奥で、赤い光が明滅した。

完璧に書き換えられたはずのプログラムに、微かなノイズが走る。

グリムの声、殴られた痛み。それらが、深層意識に眠るライガの記憶を刺激する。


「ぐ……う、うぅ……」


バーニングが頭を抱える。

洗脳が解けたわけではない。だが、相反する命令(カイの支配と、本能的な記憶)が衝突し、システムエラーを引き起こしているのだ。


「バーニング! 機体損傷率40%突破……これ以上の戦闘は危険だ!」

後方のセイジが焦りの声を上げる。

「敵の戦力……想定を遥かに上回っている。このままでは全滅するぞ!」


「ふざけるな! まだやれる!」

ブレイズが叫ぶが、その装甲もボロボロだ。


「……撤退だ」

セイジが即座に判断を下す。

「ライガの再調整が必要だ。それに、奴らの新兵器マギア・シェル……データを持ち帰らねば対策が立てられない」


セイジは煙幕弾を投下する。

白い煙が戦場を覆い隠す。


「覚えておけ、魔王。……次は必ず」

ジャッジが悔しげに捨て台詞を吐き、動けなくなったバーニングを回収して姿を消した。


静寂が戻った森。

魔導外殻マギア・シェル》を解除したグリムは、荒い息を吐きながら大の字に寝転がった。

全身から湯気が立ち上り、マギア・シェルの冷却音が鳴り響く。


「……逃げられたか」


「だが、手応えはあった」

ネビュロスが眼鏡を拭きながら言う。

「我々の力は奴らに通じる。そして、あのバーニングレッド……完全な人形ではないようだ」


「だね。少し揺さぶってやるだけで、あんなに脆くなるなんて」

ヴェルミリオンがからかうように笑う。


グリムは、空を見上げた。

夜が明け、白々とした空が広がっている。


「次は……必ず連れ戻す。

首輪引きちぎってでもな」


その頃。

帰還したジャスティスフェイス本部では、カイ(ユナイト)がモニターを睨みつけていた。

「……洗脳深度を上げろ。

『記憶』などという不純物、完全に焼き消してしまえ」

冷徹な命令が下される。

ライガの精神は、さらに深い闇へと沈められようとしていた。


(第8話へ続く)

ここまでお読みいただき、誠にありがとうございます!

今回の第7話は、魔王戦隊とジャスティスフェイス、それぞれのキャラクターたちの内面に深く切り込む回となりました。

特にグリムとバーニングレッド(ライガ)の戦いは、単なる力の衝突ではなく、まさに魂のぶつかり合い。グリムの「目を覚ませ」という渾身の一撃が、ライガの心の奥底に届いた瞬間は、書いていて非常に熱くなりました。彼の洗脳が完全に解けるのか、それともまだ一波乱あるのか、ぜひ今後の展開にもご期待ください。

また、ヴェルミリオンの幻惑術や、ネビュロスがジャスティスフェイス側の「システムへの依存」を突きつける描写も、今回注目していただきたいポイントです。彼らが「自分」を見つける日は来るのでしょうか……?


少しでも楽しんでいただけたなら、画面下の★★★★★から評価をいただけると大変励みになります!

ブックマークやご感想も、執筆のモチベーションに繋がりますので、ぜひお気軽に送ってくださいね!


それでは、次話でまたお会いしましょう!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ