第13話:魔導技術の革命、または国家の脅威
学会壇上での発表と実演から数日後。
俺のもとに、王国軍の高官が訪ねてきた。
「セイル・アーヴ殿。我が軍は貴殿の“魔力拡散装置”および“共鳴核構造”に、戦略的価値を見出しております。ぜひ、開発部隊への協力をお願いしたい」
要するにこういうことだ。
――「お前の発明を軍事転用するから協力しろ」
俺は鼻で笑った。
「悪いが、俺は“兵器”を作る気はない。作った道具が、人の命を奪うために使われるくらいなら、全部壊してやる」
「……それは、国家への反逆とも取れる発言だぞ」
高官の目が鋭くなる。
だが、そのとき背後から声が飛んだ。
「彼の意志は、我が王家が保証する」
現れたのは――王妃、リィナ=エルステッド。
彼女は軍人たちの前に立ち、きっぱりと言い放つ。
「セイル・アーヴ殿の技術は、王子の命を救った。国家のためではなく、“命のため”にこそあると、私は信じております」
「……くっ、貴女のような立場の者が、学問に首を突っ込むとは――!」
「私は“母”として言っている。異論があるなら、王にでも進言なさい」
高官たちは顔を引きつらせながらも退いた。
王妃が見せた“盾”は、予想以上に大きなものだった。
「……また助けられたな」
「いいえ。私は借りを返しただけです。セイル殿の技術は、人を守るために在る。どうか、貴殿がその信念を失いませんように」
そう言って彼女は去っていった。
その背中を見送りながら、俺は再確認した。
――俺は魔導具を、“奪う”ためじゃなく、“生かす”ために作る。
たとえ、どれだけ大きな圧力がかかろうとも。




