始まる現場実習、生まれる葛藤
フルタイムパートになってから
三ヶ月ほど経とうとしていた頃
高等部へ上がった息子の
〘現場実習〙が始まった。
現場実習というのは
福祉施設や、一般企業へ
学校の代わりに
実際に出勤して、仕事を体験する
二年生から三年生にかけて
段階的に行われることが多く
三年生で行う実習は
そのまま会社の評価が
就職そのものに繋がることもある。
ちなみに
息子が通っている特別支援学校では
一年生の頃から
現場実習へ向かうことになっていた。
ちなみに、現場実習中は
学童の送迎サービスなどは
もちろん、企業側、福祉施設側の
送迎サービスも利用出来ない。
そのため…
親が送迎を行わなければならない。
期間は、一年生の場合
だいたい一週間ほど。
だから私は、その期間だけ
遅刻と早退をさせてほしいと
会社へ相談していた。
そして、会社側も
それを承諾してくれた。
当時の実習先は、市外だった。
そのため
送迎にも、かなり時間がかかる。
朝は10時出勤。
そして午後は
14時には退勤していた。
基本的に、この仕事は一人で行う作業が多い。
でも……物流の仕事は
次の日へ持ち越すことが出来ない。
だから、私が途中で抜けた分の仕事は
結局、誰かがやることになる。
私は、前の会社でも
息子に障害があることを
隠したことはなかった。
それを、恥ずかしいとも思わない。
本人だって、一生懸命
少しずつ成長しようとしている。
なのに、それを隠すというのは
本人を否定しているような気がしたからだ。
まぁ……
受け取り方は
人それぞれだったけれど。
もちろん、この会社でも
その考えは変わらない。
息子のことを聞かれて
学校のことを聞かれれば
私は、正直に答えてきた。
影で何を言われているのかは
正直、分からない。
知りたいとも思わない。
でも、今のところは
みんな、好意的だった。
「頑張ってね」
「大変だね~」
そんな言葉よりも
〘ここで働いてる人たちって
もう子育て終わってる人が多いから
気にしなくて大丈夫!
息子さんのこと、最優先にしてあげな~〙
そう言ってくれる人のほうが
ずっと多かった。
その言葉は、ありがたくもあった。
でも、同時に……
やっぱり、迷惑を掛ける
そんな申し訳なさも
どうしても出てきてしまう。
しかも、現場実習は
一年生だけで終わりではない。
二年生になれば
年に二回。
期間も、二週間ほどに伸びる。
そして……
最後の三年生になると
年二回の実習に加えて
学校との面談も増える。
さらに
〘就活〙みたいなものも
始まっていく。
ちなみに
実習の期間や頻度
送迎サービスが利用出来なくなる
などは、一年生の実習説明会で
説明されていた。
だから、フルタイムパートになると
決めた時の私は
まだ、そこまで知らなかった。
そして、知った今
先を考えると…
フルタイムパートに
なったばかりではあったけれど。
(……本当に
この仕事のままで、いいんだろうか)
そんな思いが、少しずつ
頭をよぎるようになっていた。




