表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私は二度、三十キロ痩せた  作者: かゆると


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

64/67

呼ばれた面談、条件付きの返事

ついに、呼ばれた面談。


ノックをして

会議室へ入る。


「失礼します。よろしくお願いします」


そう挨拶をすると

そこには

直属の上司と、もう一人。


ピッキングパート全体をまとめる

責任者の人が座っていた。


(……一対一じゃないんだ)


少しだけ、ホッとする。


促された椅子へ座ると


「では、始めますね~」


そう言われ

面談が始まった。


「で、ですね

 早速なんですけど、勤務時間どうします?」


「………………」


(ついに来た)


そう思った。


「……そう、ですね……」


本当なら


『フルタイムパートになります』


そう言えば済む話だった。


でも……その一言が

どうしても、出てこない。


そんな私の様子に

直属の上司が

少し首を傾げながら言った。


「何か、気になることあります?」


「……給料が……気になる……的な……」


今思えば

少し、的外れな返答だったのかもしれない。


でも


『フルタイムパートになることに迷っています』


そう言えば

きっと、理由を聞かれる。


でも、過去の話を

一から説明するわけにもいかない。


そもそも

一従業員の過去なんて


会社からすれば

関係のない話だろう。


色々考えた末に出てきたのが

あの言葉だった。


その一言を口にするので

精一杯だった。


「あ、そうですよね」


「まず、時給がこのくらい上がりまして

 おそらく、一ヶ月の手取りは

 このくらいになると思います」


そう説明されたあと

二人は、少し間を置いて


総まとめの上司と

直属の上司が

お互いに顔を見合わせた。


そして、少しだけ苦笑いをする。


「……ご存知の通り」


「うち、残業の多い会社なので

 もし協力していただけるなら

 お支払いする額としては

 もう少し増えると思います」


さらに、直属の上司が

ゆっくりと言葉を続けた。


「……入ってからの働きを見ていると

 本当に、一生懸命

 やってくださってるのが分かりますし

 仕事も早くて

 会社としては、本当に助かっています」


「だから……」


そこで、もう一度


二人は顔を見合わせ

小さく頷き合った。


そして、それまでの柔らかい表情から

少し真剣な顔になる。


「……出来れば、ですが」


「フルタイムパートに

 なっていただきたいと思っています」


「その場合、時給も

 長年働いてくださっている

 パートさんたちと同じ

 MAXの金額にしたいと考えています」


ここまで評価されて

嬉しくないわけがなかった。


でも……

心の引っ掛かりが、どうしても消えない。


どう答えるべきなのか。


いや……

どう答えたいのか。


頭の中で

ずっと葛藤していた。


そんな私を

二人は急かすことなく


ただ、穏やかな笑顔で

待ち続けてくれていた。


時間にして

五分ほどだったと思う。


そして私は

条件付きで答えた。


「……入ってまだ短い期間なのに」


「評価していただけたこと……

 本当に、ありがとうございます」


「その上で……

 一つだけ、条件を出したいんですが……」


言い終えた瞬間

自分でも分かるほど


心臓が、強く鳴っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ