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私は二度、三十キロ痩せた  作者: かゆると


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過去がよぎる面談前

話は

少し、時を遡る。


前の会社で

元上司と面談をしていた頃の話だ。


当時、パートになるにあたって

勤務時間について話をしていた。


パートになるということは


10時出勤から


9時出勤、17時退店へ変わる。


勤務時間が

大きく変わるということだった。


でも、当時の息子は

まだ支援学校の中学部。


今でこそ

電車に乗って学校へ行き


電車に乗って

自分で帰って来られるようになった。


でも、あの頃はまだ


自力通学も


自力下校も


難しかった。


だから朝は

学校まで送って行き


帰りは

学童の送迎サービスに頼っていた。


どう考えても

9時出勤は難しい。


そこもあって

私は、パートになる話を

ずっと悩んでいた。


けれど

元上司は、そこを考慮してくれた。


10時出勤、18時退店。


そして休みも


送迎サービスのない

学童の送迎へ行けるように


月曜日と木曜日にしてくれた。


(……それなら)


そう思えたからこそ

私は、パートになることを決めた。


そう、ここまでは…

順調だった。


でも、同じ部署になる人は

それが、気に入らなかったらしい。


直接ではない。


でも、自分が悪く思われないような

遠回しな苦言が、少しずつ増えていった。


「障害のある子に、理解はあるから」


「昔、障害のある子を見ても

 驚かなかったんだよね」


「障害のある子って、頑張り屋だよね」


そんな話を

何度もされるようになった。


もちろん、どれも

私から話したことではない。


聞いてもいない話だった。


でも、当時の私は


(……仲良くなろうとしてくれてるのかな)


そんなふうに思っていた。


ちなみに……


他のパートさんたちは違った。


私から話題を出せば

普通に聞いてくれる。


でも、自分から

そんな言い方をしてくる人は、いなかった。


それからも、事あるごとに

そんな話は続いた。


さらに、休みの日についても


学童の送迎がある日だと

話してあったはずなのに


「休み、変えてくれない?」


そう言われるようになった。


最初の頃は

仕方ないと思って


旦那に送迎を頼んでいた。


でも、それが何度も続くうちに


さすがに

変えられない日も増えていった。


その頃からだったと思う。


出勤して

開口一番にミスを指摘されることが増え


仲が良かった周りの人たちも


少しずつ

〘監視役〙のようになっていったのは。


元上司に相談しても

返ってくるのは


「まぁまぁ」


そんな軽い言葉だけだった。


思い出したところで……


今更な話なのかもしれない。


それは、自分でも分かっていた。


でも、新しい会社で

面談を待っている間


何故か、あの頃の出来事が

走馬灯みたいに

頭の中を巡っていた。


(……ここは違うよ、きっと)


そう思っても

どこか、心許ない。


「大丈夫……きっと、大丈夫……」


仕事をしながら

私は、呪文みたいに

小さく呟いていた。


すると


『次の方は、会議室へお願いします』


館内放送が流れる。


ついに……


私の番が来た。

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