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私は二度、三十キロ痩せた  作者: かゆると


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脳内のゴング

夕ご飯は、中華

しかも、ラーメン屋だった。


今もそうだが、ラーメンは大好きだ。


特に辛いものが好きな私は

迷わず担担麺にしようとした。


——が、一瞬、迷った。


絶対に、一杯じゃ足りないからだ。


空腹との戦いよりも。


『まだ足りない』


『もっと食べたい』


その欲求との戦いのほうが

実はよっぽど辛い。


今までは、一緒にご飯に行ったあと

すぐに送ってもらい

家に帰ってから

祖母の作ってくれたおにぎりを食べていた。


でも今日は

すぐ帰るとは限らない。


『このあと帰ります?』


なんて聞いたら

早く帰りたいのかと思われるかもしれない。


メニューブックを持ったまま

私は頭の中で戦っていた。


欲求に正直になって、担担麺を取るか。


それとも、定食にするか。


「決まった?」


不意に聞かれて


「は?!

 あ、いえ、ちょっと迷っていて……」


変な声が出て、慌てて取り繕う。


「何と迷ってるの?

 俺はこれにしようかと思ってる」


そう言って指差したのは

中華ラーメンとチャーハンのセットだった。


(……チャーハン)


(セットなら、いけるか……?)


(いや、でも量は……)


——ゴングが鳴った。


頭の中で、再び試合開始。

散々迷った末に


担担麺

チャーハン

そして、餃子


全部、頼んだ。


そう——


恋愛脳は、負けたのだ。


しかし


「お、いいね。

 迷ったんだけど

 餃子も食べたかったんだよね」


その屈託のない笑顔に

ホッと胸をなで下ろした。


注文してから

料理はすぐに運ばれてきた。


目の前には、大好きなものばかり。


——だが


私は、とにかく冷静さを貫いた。


大好きな食べ物を前にすると

どうしても血眼になって

がっついてしまうからだ。


昔からそうで

よく親や祖母に言われていた。


〘誰も取らないから、ゆっくり食べなさい〙と。


(ゆっくり……とにかく、ゆっくり……)


そう言い聞かせながら、食べる。


けれど

彼も、食べるのが早かった。


がっつくほどではないけれど

どちらかといえば早い。


それにつられないように

必死にペースを守った。


食べ終わる頃には

いつもよりお腹いっぱいに感じていた。


そして、店を出たあと。


「もう少し、時間いい?」


そう聞かれた。


「あ、はい。大丈夫です」


そう答えて、車に乗り込む。


——まだ、この時間が続くことに。


少しだけ、安心している自分がいた。

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