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私は二度、三十キロ痩せた  作者: かゆると


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静かに壊れていった、心と身体

パートになって

しばらくは、順調だった。


定時は18時。


でも、仕事が終わるのは19時近く。


それでも、歩く時間を少し短くしたり

気分転換として歩くようにしたり


無理のない形で

ウォーキングを続けることが、できていた。


(ちょっと心配したけど、

 この調子なら大丈夫だな)


そう思っていた。


でも……

仕事内容が、アルバイトの頃とは

大きく変わっていった。


そして——


一緒に働く先輩から

執拗に注意を受けるようになった。


今更?ということも増えた。


頭ごなしな内容もたくさんあった。


これまでのやり方を

否定されることも、増えた。


さらには

その先輩と仲の良い人たちが


先輩のいない日に

私の仕事ぶりを見て


まるで報告するように

伝えていたようで


LINEでまで

注意を受けるようになった。


(……見られてる)


そんな感覚が

常につきまとっていた。


最初は、自分を変えようとした。


直せるところは直そうと

意識して動いた。


気にしないようにも、努めた。


お客様からの


「ありがとう」


その一言に

救われることもあった。


でも……

少しずつ、身体が

おかしくなっていった。


会社で、お昼ご飯を食べると

胃が、痛くなる。


家に帰って、夕ご飯を食べても


吐いてしまう。


徐々に……


本当に、少しずつ身体が

思ったように動かなくなっていく…。


行きの車の中で

理由もなく、涙が溢れ


帰りの車の中では

抑えきれず


声を上げて泣くことも…

何度もあった。


もし、これが——


パートとして

初めて入った会社での出来事だったら

まだ、違ったのかもしれない。


でも、何年も働いてきた会社で

パートになった途端


全員ではないにしても

周りの大半が

敵のように感じるようになった。


それも……

大きな要因だったんだと思う。


少しずつ


本当に、少しずつ


これまで積み上げてきた

仕事への自信が、崩れていった。


何をするにも


(何か言われるんじゃないか)


(やっても、大丈夫なのか)


(間違っていないだろうか)


そんな不安が

常に、付きまとっていた。


そんな日々が続いた

ある日の朝。


起きようとしたとき

身体に、力が入らなかった。


(……あれ?)


おかしいな、と思った。


でも、息子はその日から新学期。


送っていかなきゃいけない。


そのあとには……仕事もある。


無理やり身体を起こし

立とうとした、その瞬間——


尻もちをついた。


足にも、力が入らない。


(……え、なんで……)


そう思ったとき


ぽた、ぽた、と

目の前に、水滴が落ちた。


(……え?なに?)


気づけば視界がぼやけ

自分が泣いてることに気が付く。


泣きたいわけじゃない。


なのに——


止まらない。


自分では、止められない。


頭の中は、冷静。


でも、身体だけが

壊れていくみたいだった。


(……とにかく

 息子を送らなきゃ)


そう思って


這うように

四つん這いに近い格好で

息子の部屋へ向かった。


「お、起きて~……」


自分でも

間抜けな声だと思った。


目をこすりながら起きた息子は


「か、母ちゃん、どうしたんだ!」


と、驚いていた。


息子に支えられながら

なんとかリビングへ向かう。


震える手で

なんとか、会社に

休みの電話をかけた。


そして……


この日を境に

私は、仕事に行けなくなった。

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