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私は二度、三十キロ痩せた  作者: かゆると


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私らしくない事が、嫌じゃない。

当日、家まで迎えに来てくれることになった。


事前の連絡で


「好きなCD持ってきな」


そう言われていた。


でも当時の私は

家とバイト先の往復だけの毎日。


テレビもほとんど見なかった。


見られる環境じゃなかったのもあるけれど

画面の中の人たちを見ると


「いいな、スタイル良くて」


「デブなんて縁がないんだろうな」


そんなことを思ってしまって

だんだん見たいとも思わなくなっていた。


だから、自分が何を好きなのかも

よく分からなかった。


また姉に相談すると


「これ持ってけば?」と


福山雅治のCDを貸してくれた。


(いつの間に、こんなもの……)


そう思いながらも

とりあえず借りていくことにした。


迎えに来てくれた車に乗り込もうとすると

窓から姉が高速で手を振っていた。


それはそれは、いいニヤケ顔で。


(……なんだその顔。

 やめろ)


なんとなく腹が立って

見ないふりをした。


後から聞いた話だが

服を選んだり準備している私が

“乙女”に見えたらしい。


今までとは違う態度が

微笑ましかったのだと。


——そのときも

あのニヤケ顔で言われた。


車は出発し、信号で止まった。


車内には、私のCDではなく

サザンオールスターズが流れていた。


ふと、結婚式場の看板が目に入る。


「結婚ねぇ……」


思わず、口に出していた。


そのときだった。


「いつか、したいね」


彼は信号を見たまま、そう言った。


(……ん?

 私と、じゃないよね)


ないない、と心の中で笑った。


再び車は動き出し

コンビニに立ち寄った。


何か食べようかと思ったけれど

とりあえず飲み物だけにすることにした。


しばらく迷って——


せっかくだし

“女の子っぽいもの”でも

選んでみるかと思った。


普段は絶対に飲まない

ココアとチョコレートの甘い飲み物。


それを手に取った。


すると


「俺もそれにしよ」


そう言って

私の分も一緒に会計してくれた。


「あ、すいません。ご馳走さまです」


「全然いいよ。奢らせてよ」


頭をかいて、照れくさそうに言う。


そのまま車は、海へ向かった。


私が前に

海を見たいと言っていたのを

覚えてくれていたらしい。


——そんなこと

覚えてくれる人がいるなんて

思っても、いなかった。


そのあと、とある市場で

ご飯を食べた。


やっぱり、何を食べようか迷った。


結局、彼が選んだ

ミックスフライ定食

私も、同じものにした。


でも——


実は私は

魚のフライがあまり好きじゃない。


それでも

そのとき食べたミックスフライは

不思議なくらい美味しかった。


今思えば。


このとき、もう——

恋をしていたのだと思う。

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