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私は二度、三十キロ痩せた  作者: かゆると


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お姉さんとの出会いと疑問

ダイエットに難航しながらも

彼とは、相変わらずの付き合い方だった。


人に大事にしてもらうって

こういうことなんだなって

すごく、幸せだった。


そんなある日。


彼が言った。


「連れていきたいところがある」


着いたのは

とあるアパートの駐車場だった。


「ねぇ、誰の家?」


「ん?姉貴ん家」


「ふーん……

 ……ん?姉貴!?

 お姉さんの家ってこと!?」


「そうだよ。言ってなかった?

 まあ、とりあえず行こうよ」


そう言って、彼はスタスタと歩いていく。


(いや、言ってねぇって)


(……ま、いっか)


慌てて後を追い

インターフォンを押すと

すぐに、扉が開いた。


視線の先にいたのは——


お姉さん……ではなく

お姉さんの息子さん

つまり、彼の甥っ子だった。


人懐っこくて

ものすごい笑顔で、出迎えてくれる。


その後ろから、お姉さんが顔を出した。


「いらっしゃい」


そう言って、優しく挨拶してくれる。


実は

彼のお姉さんと甥っ子に会うのは

これが初めてではなかった。


甥っ子がまだ赤ちゃんの頃

彼の実家にお邪魔したときに

一度だけ会っている。


——寝ていたけれど。


でも、あのときよりも

ずっと大きくなっていて

少し、驚いた。


手を引かれて中に入ると

お姉さんの旦那さんもいた。


「いらっしゃい」


そう笑顔で、挨拶してくれた。


これが、この先


長い付き合いになる——


お姉さん一家揃っての

はじめての出会いだった。


軽く談笑したあと

一緒にご飯を食べに行くことになった。


何を食べたのかは、もう覚えていない。


でも、一つだけ

はっきり覚えていることがある。


お姉さんは——


見た目に反して、よく食べる人だった。


スラッとしていて

スタイルも良くて

とても綺麗な人。


正直


〘人を見た目で判断するな〙


なんて言葉は

このときばかりは無理だと思った。


それくらい、整っていた。


なのに

なぜか、自信がなくて

少し、自虐的なところがあった。


一方で、お姉さんの旦那さんは

見た目は少しイカついのに

とても穏やかで、優しい人だった。


奥さんを下げるようなことも

一切言わない。


だから、よくあるような


「旦那さんが原因で……」


という感じでもなさそうだった。


そこが、少し不思議で。


でも

あれだけ食べているのを見ると。


(……ダイエットしたとか?)


そんな考えが、ふと頭をよぎった。


お姉さん一家と別れたあと

私は、彼に聞いてみた。


「ねえ、お姉さんって

 ダイエットしたの?」


すると彼は、少し考えてから言った。


「ちったぁ、したかもしれないけど

 姉貴は、昔からあんな感じだよ」


(……そうなんだ)


痩せているのに、たくさん食べる。


綺麗なのに、自虐的。


——なんでだろう


その疑問は、この日ずっと

頭から離れなかった。

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